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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第546話:緑の民族長家長老連

 ここで緑の民の二人に決断を促してみる。

 あくまでもかるーくね。

 まー方向性なんか決まってるわけだが。


「あんた達はどうしたいの?」

「そりゃあ、なあ」

「うむ、ショップにもレイノス交易にも参加すべきだと思う」

「でも実際緑の民が現在参加してないってことは、参加できない理由があるんでしょ? あたしみたいな他色の民のおゼゼ大好き効率主義者にはわからんけど。皆でよーく話し合わないと先へ進めないぞ?」

「「……」」


 まあ燃料はこんなもんで足りるだろ。

 せいぜい景気よく燃えてちょうだい。


「あたし達は今からオイゲン族長のところへ行くんだよ」

「ショップのことでか?」

「いや、別口。聞いてないかな? 今後帝国から移民がメッチャたくさん来るんだそーな。三ヶ月前に掃討戦で魔物追っ払った土地があるじゃん? あそこを開墾して移民のために使えるようにしたいの。今日は意見交換みたいのものかな」

「「……」」


 ガッカリしたか?

 まだ何か言いたいのかな?

 煽り過ぎちゃったか?


「な、なあ。族長が商売に乗り気じゃないのか?」

「ショップの出店中止は上からの命令だったが……」

「以前魔物退治で緑の民の村行った時、オイゲンさんとは話したけど、ショップにも交易にも前向きだったよ」

「じゃあどうして……」

「オイゲンさんの一存では決められないからなんじゃないの?」

「族長の一存じゃ決められない?」

「待てよ? ということは……」


 ハハッ、大分ヒント出したったぞ。

 自分達で結論出しなさい。

 どーだ、長老連もこんなところから地道に攻撃されてるとは思うまい。


「じゃねー」

「あっ、オレ達も帰る! もう少し話聞かせてくれ」

「そお? あたしも緑の民の様子知りたいから、話しながら行こうよ」


 緑の民の村へ。


「……とゆーわけで、聖火教徒は蝋燭を欲しがってるんだよ」

「何だよ。木蝋ならうちで扱ってるぜ。蝋燭作って売るチャンスなのになあ」

「現在本部礼拝堂の聖火教徒は、レイノスまで買いに行ってるの。緑の民が売ってくれれば輸送隊が運べるから、手間が減って喜ばれるだろうになー」


 商機を逸していると知ってヤキモキする二人。

 気持ちはわかる。

 儲けられる時に儲けないなんて人間の摂理に反する(大げさ)。


「もう一度確認するけど、あんた達二人はショップにもレイノス交易にも賛成なんだね?」

「「もちろんだ!」」

「じゃあ村の皆にそーゆー話をしなよ。別に村主導でショップ出さなくても、賛成者だけで出店しても構わないんでしょ? サイナスさん」


 サイナスさんにちょっと族長らしい働きをさせとく。

 とゆーか何で今まで話に参加してこないのだ。

 少しは働け。


「構わない。元々は各村主導でショップを出していたが、最近他色の民では個人の店も出てきているよ。ただし、緑の民内部で問題になるかはこちらじゃ判断できないがね」

「ほらほら、自分で努力しないと。文句並べてるだけじゃ状況変わんないぞ?」

「「……」」


 メッチャ揺さぶっておく。

 最大の懸念であった戦争は終わったし、少々緑の民が割れても構わん。

 どうせオイゲンさんは賛成派なのだ。

 着地点は決まっている。


 徐々に緑の民の村の門が見えてくる。

 二本の大木をまんま門に見立てたものだ。

 緑の民がエルフの血を引いているというのはよく知られている。

 木に対する信仰とゆーか慈しみとゆーか?

 木を大切にするという森エルフの考えを取り入れてるのかな、と思わせる。


「あたし緑の民の村に入り口から入るの、何げに初めてだな。格好いい門だねえ」


 前に来た時はエルマのフレンドで飛んできたのだ。


「自慢の門だぜ」

「精霊使いと灰の族長さん、じゃあな」

「オレ達も考えてみるよ」

「よーく考えるといいよ。頭は使ってもおゼゼかかんないからね」


 二人と別れる。

 せいぜい頑張ってちょうだい。


「大分焚きつけてたね」

「何かよく燃えそうな雰囲気だったから火つけたったよ」

「大火事になったらどうするつもりだ」

「サイナスさんはそう取ったのか。あたしは火葬場の話をしてる気分だったわ」


 サイナスさんは苦笑するが、あれくらいは普通。

 もう戦争は終わったのだから、燃えるほど議論してちょうだい。


「ところで緑の民もショップに来ることは多いんだ?」

「最近多くなったな」

「ショップは出さないのに、買い物を禁止しないのはよくわからんな?」

「買い物だけしてると緑の民から金が流出してしまうという、さっきの理論かい?」

「当たり前のことじゃん」


 オイゲンさんもわかってて放置してるんじゃないかな。

 欲しいもの買うなっていうのは不満が高まるから、制止できないってのもあるかもしれない。

 誰だって欲しいものが手に入る生活は嬉しいからね。

 特にショップへ買い物に来るような人達は。

 じゃあ放っといても緑の民経済は破綻して、自然と交易参加の運びになったのか。


「あれが族長宅?」

「ああ」

「立派な建物だねえ」


 当然なのかもしれないが、どこの村も族長宅はデカい。


「灰の民の村の族長宅は小さいよねえ。何で?」

「灰の民は贅沢を好まない、族長が世襲じゃない、精霊が嫌がるから他所の人をなるべく呼びたくない、好きな理由を選んでくれよ」

「村入ってすぐのところに、接客用の大きめの建物があってもいいねえ。普段は公民館として使えばいいし」

「金があったらな」


 おゼゼは大事だなー。

 緑の民族長宅へ。


「こんにちはー」

「はいよ、どなただい?」


 一人の老婆が出てくる。

 使用人っぽくはないな。

 問題の長老連の一人、オイゲンさんの叔父叔母の誰かか。


「精霊使いユーラシアのパーティーとその他一名でーす」

「おいこら。灰の民の村の族長サイナスです。オイゲン族長にお目にかかりに来ました」

「こちらへ」


 広い部屋に通される。

 肩身狭そうなオイゲンさんと、部屋の中にも二人の老人がいた。

 ははあ、見るだけで力関係がわかって笑える。


「灰の民族長のサイナスです。本日は転移石碑設置後の、掃討戦獲得地の開墾について話し合いに参りました」

「最近、族長にいらんことを吹き込む輩がいるんでね。悪いが我らも同席させてもらうよ」


 えっらい警戒されとるやん。

 オイゲンさんが説明する。


「わしの叔父と二人の叔母です」


 やはり長老連か。

 つまり先代の族長である三男家長男の弟妹ということだね。

 了解っと。

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