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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第545話:不都合がないというのは大きな間違いだ

 ――――――――――一一九日目。


「……やっぱダメか。わかっちゃいたけど」


 何がダメかって、超すごい茶を普通の井戸水を使って水出ししてみたらどうなるかの実験だ。


「おいしいことはおいしいですけど……」

「コモンレベルね」


 うむ、これでは超すごいお茶のパフォーマンスを二割程度しか発揮していない。

 やはりそんじょそこらの水ではダメってことだな。

 昨日の魔法の水で水出ししたものが圧倒的においしかったとゆー事実がある以上、ザバンの水は比較的混ざりものが少ないのだろうというアトムの意見はおそらく正しい。


「ピュアウォーターは必須ね」

「うんうん、必須だな」

「姐御、もう一つ試してもらいたいことがありやす」

「ん、アトム? 何だろ?」

「金属製の鍋は使えねえんじゃないかと思いやすが」


 さすがに剛石の精霊。

 鍋の金属が成分として染みだしてきてしまうのではないかとの意見だ。

 あたしも何となく同じことを感じていて、最初はガラスの器で水出ししたのだが。


「一応試してみないといけないね」

「でやしょう?」


 金属製の鍋では美味さが死んでしまう気はする。

 しかしこの超すごいお茶を帝国のお金持ちに高値で売りつける以上(既に決定事項)、どんな点に注意すべきかこと細かくチェックしておくべきだとは思うから。

 金属鍋に『プチウォーター』で作り出した水を入れ、茶葉を投入した。


「夜飲んで確かめてみよう」

「そうですね」

「じゃ出発するよ」

「「「了解!」」」


 今日は緑の民の村へ遊びに行くのだ。

 まず灰の民の村へゴー。


          ◇


「サイナスさーん、おっはよー! 天下に名を響かせる美少女精霊使いユーラシアがやって来ましたよ」


 朝も早よから灰の民の村に来た。

 サイナスさんと一緒に緑の民の村に行かねばならぬのだ。

 精霊使いとしての体裁が必要なので、うちの子達も連れてきている。


「待ってたよ。行こうか」

「アレク達を連れてくべきかなって、チラッと思ったんだ」


 無論、札取りゲームの開発者としてだが。

 アレクケスハヤテの経験にもなる。

 またハヤテが緑の民の村の『精霊の森』に住んでる精霊だから、話題にできそうという思惑もある。


「まだ早いんじゃないか? ゲームの紹介だけだったら君だけでいいし、大体ゲームにまで話が転がるかわからん」

「話は転がすからいいんだけど。うーん、そーだね。もう少しあとにしよう」


 開発者が実績のない子供&精霊と知れると、軽く見られるかもしれないしな?

 会うのが族長オイゲンさんだけなら連れていきたいが、長老連が疑いの目を持って待ち構えていることもあり得る。

 となるとあたしが丸め込んでからのがいいだろ。


「よーし、しゅっぱーつ!」


 灰の民の村を後にする。


          ◇


 サイナスさんと話しながら、のんびりカラーズ緩衝地帯へ歩を進める。

 足の遅いクララがいるからのんびりなのだ。

 サイナスさんが文句言ったら、有無を言わせず飛行魔法でびゅーんと飛んでいこうと思っていた。

 しかしヒーヒー言うほど飛行魔法が大好きなサイナスさんは、トラップに引っかかる隙を見せやしない。

 つまらん。


「緩衝地帯での野菜販売は好調なの?」

「そりゃあな。他所の野菜とは出来が違うから」


 精霊の中には、うちのクララのように植物の生育条件をよく知る者がいる。

 精霊とともに生きる灰の民は、自然と野菜作りは上手くなるのだ。


「本当だ、お客さん多いね」

「売り切れが早いからな。朝一番に来る人が多い」

「いい傾向だなー」


 灰の民のショップはさながら朝市のような様相を呈している。

 商売繁盛、ありがたいことだ。


「あれ? 君達、緑の民じゃなかったっけ?」

「ああ、精霊使いじゃないか」

「灰の民の作物は丸々してて美味いから買いに来たんだよ」


 魔物退治で緑の村行った時に見た顔でした。

 とゆーか若干緑の入った、見た髪色と言うべきか。


「毎度あり。緑の民はショップ出してないんだっけ? 出せばいいのに」


 世間話っぽく水を向けてみる。

 一般の緑の民はどう思ってるんだか、知っておきたいというのもある。


「ああ。最近急に俺達もショップを出すべきだ、交易に参加すべきだって意見が出始めてるんだ」

「逆に昔のままで不都合ないからいいじゃないかって意見も根強い」

「精霊使いがショップと交易を推し進めてる中心人物だと聞いたよ。どう思う?」


 緑の民二人が聞いてくる。

 ちょっと脅しとくか。


「待った。不都合がないというのは大きな間違いだぞ?」

「「えっ?」」

「各色の民が得意分野でショップ出してるでしょ? 当然いいものだから買いたくなるじゃん? 緑の民からお金が出て行く一方じゃないか。お金ってのは使うとなくなるんだぞ?」

「つ、つまり買えなくなっちゃうと?」

「そりゃそうだ。当たり前じゃん。『昔のままで不都合ないからいいじゃないか』ってのは、緑の民の内部でお金を回してるなら問題がないってことだよ。他所から買うことを考えちゃいけない」

「「……」」


 考えてるね?

 あたしは難しいことは言ってないぞ?


「他所のものを買いたいなら、自分のものも売ってお金を作らないと。ちなみに各所で取り引きが活発になってくると、それに釣り合うだけのお金が世の中に必要になってくるでしょ? 一人当たりのお金の量が多く出回らなければいけないことになる。言い方を変えると、皆が少しずつ金持ちになるんだ」

「「……」」

「つまり昔のままでいいって言いながら発展していく世の中に背を向けてると、周りと比べて徐々にビンボーになっていくんだぞ?」 

「「……」」

「ビンボーが好きって価値観の人もいるかもしれないから勝手にすりゃいいけど、あたしはおゼゼがあって買いたいものを買えることが楽しいんだ。だから商売と交易を推進するよ。わかりやすいでしょ?」


 慌てる二人。


「ど、どうすりゃいいんだ?」

「そりゃあ緑の民が話し合って決めることだよ」

「遅れて交易に参加するのはありなのか?」

「緑の民がショップや交易に参加してくれるなら大歓迎だぞ? だって緑の民の得意とするものが買えるようになるし、レイノスとの交易だったら一つの物品当たりの輸送コストが下がるんだもん。今まで緑の民が他色の民と距離置いてたからって、仲間外れにすることは絶対にない。心配する必要ない」

「う、うん」


 ちょっとホッとしたか?

 こーやって考えを誘導するのは好き。

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