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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第540話:にっくき仇敵じゃ!

 フイィィーンシュパパパッ。

 本の世界でコブタマンを狩ってから海の王国に来た。

 魅惑の銅鑼の前に立つ。


「デザインも格好いいけど、音も最高なんだよなーこれ」

「反響の度合いが素敵ですよね」


 クララはいつの間に肯定派になったんだ?

 いや、この前もガンガンいけって言ってたか。


「この銅鑼は何げに海の王国最高の発明品のような気がする」

「姐御、ガンガンいきやしょうぜ!」

「ガンガンゴーね!」


 何だ、うちの子達もこの銅鑼大好きなんじゃないか。

 じゃあ、いくぞお!


「グオングオングオングオングオングオーン!」


 女王が転げ出てくる。


「肉か? 肉か? 肉か?」

「肉だ! 肉だ! 肉だ!」

「やったわい!」


 優雅にヒラヒラと舞い踊る女王。

 ここに来た時は挨拶もなしでお肉の確認なのな?

 まあいいけれども。

 衛兵達が持ってきた台車でコブタマンを調理場へ運んでいく。


「食べていくのかの?」

「うん、食べてくつもりだよ」

「さようか」


 女王嬉しそうだね。


「今日は新しい趣向があるんだよ」

「新しい趣向?」

「焼き肉のタレとゆーものを作って持ってきたんだ。半分こっちで食べない? これは脂を落とさずに鉄板で焼くとおいしいと思うんだ」

「ほう? 興味深いの。では半分鉄板で焼いてたもれ」

「「「はっ!」」」


 衛兵が指示を調理場に伝える。

 あれ、女王どうしたの?

 何か言いづらそうだけど。


「あー、戦争はどうなったのじゃ?」

「うん。ドーラとしてはほぼ被害もなくて、最高の結果に終わった」


 結果について聞きたかったのか。

 女王は戦争嫌いなのかもしれないな。

 幸い今回、ドーラと帝国の間では戦闘らしい戦闘もなかったんだけど。


「良かったの!」

「ありがとう。ドーラは帝国から独立したんだ。しばらく地上は混乱するかもしれないけど、時間が経てばきっといい国になるよ」

「うむうむ」

「独立の仕方も上手だったから、すぐに帝国との貿易も拡大されると思うよ。でもドーラからの輸出品が足りないんだよね。その段階になったら海の王国も協力してよ」

「帝国と商売できるということじゃな? よろしい、任せい!」


 よし、女王も乗り気だぞ。

 たくさん移民が来るのが決定ならば、帝国との関係は絶対に強化される。

 ならば貿易が活発化するのも既定路線みたいなものだ……と思うけど、あたし独立の経緯はよく知らんからな。

 帝国との今後の付き合いがどうなるのか、パラキアスさんあたりに聞いてみなきゃいけない。 


「……戦争はできればせぬほうがよい。どっちが勝とうが失われるものが大きいでの」

「まったくその通りだね」


 女王の言葉には実感がこもっている。

 泥沼の内戦を経験しているからか。

 ……聞いてみるべきか。


「今回の帝国とドーラの争いは、裏にバアルって悪魔がいたらしいんだ」

「バアル……」

「帝国側にいて戦争を煽ったみたい。バアルがいなかったら帝国と揉めなかったんじゃないかな」


 結果としてドーラは独立したから、今までより植民地としての枷がない発展が可能になった。

 悪いことばかりではない。

 が、ドーラの独立にバアルの意図はなかったはず。

 バアルは混乱により流れ出る悪感情を求めて戦争を起こそうとしたんだろうから。


 女王の目が細くなり吊り上がる。

 それは怒りの表情ですね?

 了解です。


「悪魔バアルはにっくき仇敵じゃ! 昔、我が一族の争いにきゃつが出しゃばってきたせいで、何倍もの死者が出た!」

「チラッと聞いたから少しは知ってる」

「あやつはまた性懲りもなく戦争を企んだのか! 何というやつじゃ! ともに天を戴けぬ!」

「バアルはあたし達の前に現れるかもしれないんだ」

「何じゃと!」


 まー女王にとってはにっくき仇敵かもしれんけど、あたしにとっては仇敵とまでは言えない。

 もちろん敵ではあるよ? 一応。

 でもどんな愉快なイベントを提供してくれるか楽しみまである。

 

「バアルのこと、教えてくれない?」

「よかろう。しかし肉が先じゃ!」


 炙り肉と鉄板焼肉が運ばれてきた。

 ちょうどお腹が減ったところだぞー!


          ◇


「おーい、女王生きてる?」


 のたうち回り過ぎてピクピクしている女王に声をかける。

 大丈夫かなあ?

 瀕死から変死にならなきゃいいけど。


「はあはあ、この焼き肉のタレ! なかなかやるではないか!」

「ね? これだと脂落とさない方がパワフルでしょ?」

「まことにそうじゃの! 炙り塩とは対照的じゃ。実に美味し!」


 うちのメンバーだとアトムがガツガツ食べてた。

 クララとダンテは炙り塩が好きみたいだな。


「焼き肉のタレあるだけ置いてく。レシピも教えたげるよ。でも地上でもまだ醤油とショウガの流通量が少なくて、なかなか手に入らないの。二、三年中には何とかするから」

「さようか、楽しみにしておるぞ」

「焼き肉のタレは砂糖入ってるから甘ったるいけど、本来の醤油は辛くてお魚にも合うはずなんだ」

「ふむふむ」


 熱心だこと。

 しかし焼き肉のタレだけを取り上げてみても、手に入りづらいものがあるなあ。

 欲しいものが簡単に手に入る世の中はまだまだ先だ。


「いやあ、堪能した。地上にはまだまだ美味いものがあるのかの?」

「食卓の主役ということでは、お肉に勝てるものはないなー。違う方向性でおいしいものはあるよ」


 旬の果物なんかおいしいよ。

 でもドーラには果物が少ないんだよなー。

 帝国から導入したい。


「……バアルのことじゃが」


 女王がおもむろに話し出す。


「戦争を起こして多くの種類の、そして数多くの悪感情をまとめて摂取するのが何よりの愉悦であると、何者をも憚らず公言するやつじゃ。しかし、何故やつがおんしの前に現れるというのじゃ?」

「本来帝国とはもっと大きな戦争になるはずだったんだ。あたし達がバアルの楽しみを潰しちゃったからということみたい。バアル残念の巻」

「痛快なことであるが……」


 女王が考え込む。


「わらわ達の争いの時、きゃつは敵陣の先頭に現れた。全く歯が立たなんだ……」

「そこを詳しく聞きたいんだよ。知り合いの聖職者に、最大の聖属性白魔法で攻撃しようとしたけど、発動できなかったって聞いてさ」

「うむ。魔法もバトルスキルも効かなかったな。いや、『薙ぎ払い』は通ったか」

「『薙ぎ払い』は通った?」


 重要なヒントの気がする。 

 とゆーことはスキル封じの類ではないようだ。

 どんなカラクリなんだろ?

 バアルの強さには秘密があるみたい。

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