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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第527話:潜入工作兵に事情を説明する

「で、戦争どうだったの? 塔の村はやっぱり攻められたんでしょ?」


 一番聞きたかったことだ。

 既に終わったんだからいいっちゃいいんだが、あたしもエンターテインメントに飢えてるから。

 コモさんが簡潔に要点を説明してくれる。


「ああ、朝駆けもいいところだった。偵察に出ていたレイカパーティーの察知が早くてな。冒険者達を叩き起こして迎え撃ち、最後はリリーの演説で降した」

「降参させたのか。その人達どうしてる?」

「冒険者に混じってその辺にいるだろ。黒めの服着た連中がそうだぜ」


 えっ? 野放しなのかよ。


「もう戦争は終わったんだ。ちょっと毛色が変わってるが、移民扱いでいいだろってことになってる」

「塔の村の方針ならいいとして、元潜入工作兵は納得いく説明もらってるのかな? モヤモヤしたままじゃ、なかなかドーラに馴染めないと思うんだけど?」

「いや、ドーラ独立までの全容を知ってるのは村長だけだろ。俺もよくわからねえ」

「デス爺は自分が何でもわかるからって、他人に対して説明足んないからなー。いいや、あたしが会ってくるよ」

「おう、頼むぜ」


 事情を知らされなきゃ、帝国に帰れるのかドーラで暮らすのか処刑されるのかすらわからんだろーが。

 反乱でも起こされたらどーするつもりだ。

 さてと、よく見れば確かに隙の少ない工作員っぽい人がチラホラいる。

 一番レベルが高いのは、っと。


「こんにちはー!」

「!」


 ビクッとすんな。

 もうちょっと美少女を愛でる目で見ろ。


「あんたが帝国の潜入工作兵の隊長さんでいいのかな?」

「……君は?」

「美少女精霊使いユーラシアだよ」

「ユーラシア……皇女殿下の話にも出てきた、もう一人の精霊使いか」

「そうそう。今回のドーラ独立までの内幕とか今後どうなるとか、隊長さんや隊員の皆さんはどこまで知ってるのかなーと思って」

「サッパリだ。わけがわからない。どうしてこうなったのか……」

「そこであたしが登場! 大体知ってるから説明するよ」

「君が? 何故?」

「ドーラに来て爆弾落とす予定だった飛空艇を、テンケン山岳地帯への試運転で墜落させて壊したのはあたしだから」


 驚愕する隊長。

 よし、あたしが事情通だということを一発で理解してもらえた。


「……飛空艇は今回の作戦で最大の秘密だったはずだ。オレもドーラ戦に投入されるということしか聞いていない」

「山で聖火教徒が反乱を起こすって噂があったから、試験投入されたんだよ」

「もっともなことだな。君がどうやって帝国とドーラを行き来してるのかは知らんが。決定力がなくなったから、ドーラの独立を認める方向で話をまとめ、オレ達は切り捨てられたのか」


 理解が早いね。


「隊長さんの名前は?」

「メキスだ」

「メキスさん、隊員皆集めてよ。何人いるのかな?」

「オレを含めて二五名だ」

「他に冒険者いたら食堂じゃ場所足りないなー。正門外の草っ原で座って話そうか。今日天気いいし」

「了解だ」

「あたし料理と飲み物頼んでくるよ。奢りだぞー!」

「ハハハ、すまんな」


          ◇


「さて、何から聞きたいかな?」


 ほとんどの隊員達が不安そうな目をしている。

 唐揚げか魚フライ食べなよ。

 メキス隊長の質問が口火を切る。


「オレ達はどうなるんだ?」

「どうもこうも。ドーラで楽しく村人ライフを送ってもいいし、帝国に帰って処刑されるのも自由だよ」


 隊員達の間に衝撃が走る。


「し、処刑?」

「そんなバカな……」

「表向き帝国とドーラとの間には、何もなかったことになってるんだよ。ドーラが帝国に世界に一つしかない秘宝を献上し、円満に友好国として独立した。戦争? 何それ? って感じ。あんた達は任務に失敗した上、帝国にとってドーラに引け目を感じざるを得ない、不都合な秘密を握ってるわけだ。帰ったらどうなるか想像できるでしょ?」

「「「「「「「「……」」」」」」」」


 一言も発しない隊員達。

 メキス隊長が続ける。


「ドーラはオレ達を迎え入れてくれるのか? どうしてだ?」

「だってあんた達は命令に従っただけで悪人じゃないじゃん。しかも見たとこメキスさんがレベル三〇オーバー、隊員の皆さんがレベル二〇~二五くらいでしょ? 有能集団を味方にしたいのは当然なんだなー」

「こ、ここにいていいんだな!」

「いいよ。村長であるデス爺が認めてるんだから。ドーラなんか元々皆移民だぞ? 元犯罪者もいれば皇族もいる。でも身分の上下はないんだ。ドーラのルールに従ってくれればいい」

「オレ達が結束して蜂起する可能性は怖くないのか?」

「困るは困るけど、そんなことして何になるのよ? メキスさんくらいになれば、皆で逆らったところであたし達に勝てないことくらいわかるでしょ? でもつまんないことすると許さないぞ?」


 怖そうで怖くない、少し怖いキメ顔を見せておく。


「「「「「「「「ヒッ……」」」」」」」」


 人の顔見て『ヒッ』とは何だ。

 あんたら鍛えられた兵士だろ?

 乙女に対して失礼じゃないか。

 メキス隊長がさらに聞いてくる。


「とりあえず身の保障はされたところで、もう少し質問いいだろうか? オレ自身納得いってないことが多いのだ」

「もちろんどうぞ。あたしの知ってることなら話してあげるよ」


 帝国政府の思惑以外は大体わかると思うぞ?


「オレ達がこの村を襲ったのは、完全に不意を突いていたはずだ。しかし冒険者達は待ち構えていたように思える。理由がわからん」

「おおう、そのことか」


 やはり隊長としては、自分の仕事が不調に終わったのが最も心残りと見える。


「いろんな要因があるな。まずあんた達がドーラに上陸するときに使った、海の一族の監視をすり抜けて小舟でそーっと来る技術と戦法のネタは、とっくに割れてたと思って」

「軍事機密だったはずだが、何故知っている?」

「皇女リリーはあれでドーラに来たから」

「リリー皇女があんな危険な手法で?」

「まさか……」


 驚きの声が上がる。

 わかる、べつに当時の帝国とドーラは戦争してるわけじゃなかったし、普通にレイノスに入港すればよかったと思う。

 ただしその場合リリーはパラキアスさんなりオルムスさんなりに引き止められて、塔の村で冒険者することはなかったろうな。

 危険を冒した価値はあった。


 ……本の世界の謎情報源によって軍事機密の技術を知ったことは、明かす必要ないだろ。

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