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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第513話:バアルという悪魔

 リモネスのおっちゃんとの会話で出てきたバアルという悪魔。

 ドーラ戦を主導したならかなりの影響力があると思われるが、帝国上層部にどれほど食い込んでるんだろうな?


「ヴィルがストロングって言ってたね。アテンションね」

「妙な力を持ってるみたいだけど?」

「……」

「クララ、緊張しなくていいんだぞ?」

「は、はい」


 クララ最大の攻撃白魔法『セイクリッドポール』は聖属性だ。

 魔族であれば例外なく聖属性には弱いはず。

 食らわせればかなりのダメージを与えられるんじゃないかと思われる。

 ただヴィルが言うには、バアルは今まで負けたことがないらしい。

 それが本当ならば、何らかの理由で聖属性魔法が通用しないのだろうか?


「楽しみだねえ」

「どうしてでやす?」

「高位魔族ってヴィル以外に会ったことないからさ。いい子しか相手してないと、たまにはクソガキを見てみたくなるんだよ」

「ゲテモノ食いのロジックね」


 皆で笑う。

 まー何だかんだでうちのパーティーはレベルが高い。

 とゆーか全員がレベルカンストしてるパーティーなんて世界最強だろ。

 リモネスのおっちゃんはあたしがバアルの恨みを買ってるみたいなこと言ってたけど、だからといって間抜けにもあたし達の前に姿を現すなんてことあるかな?


「さて、明日からどうしようか?」


 やることはたくさんある。


「聖火教礼拝堂へ連絡、カラーズの確認、塔の村の様子見、新しいクエスト、ギルドへ顔出し、海の王国へ報告くらいが優先順位の高いところですか?」


 その他にもパラキアスさん、イシュトバーンさん、マルーさんあたりにコンタクト取りたいが。

 いや、パラキアスさんはドーラの急な独立で忙しいかもしれないな。

 どうしてもあたしから連絡しなきゃいけないことがあるわけじゃなし、邪魔はせんどこ。

 イシュトバーンさんやマルーさんは暇だろうから、こっちがある程度落ち着いたら遊びに行けばいいか。


「聖火教礼拝堂は最優先だね。明日お肉持っていこう。次いでカラーズの状況確認かな。今晩サイナスさんとこにヴィル飛ばして聞いてみるよ。残りはあとだな」

「ギルドは後回しでよろしいですか?」

「ギルド? いいよ今は。売るもの何にもないし」

「姐御は案外ドライでやすね」

「もーそんなに褒めるなよ」

「あっしも褒め言葉が進化しやしたか?」


 おおう、どうしたアトム。

 新しいパターンだな。


「以上かな。ごちそうさまっ!」


          ◇


「サイナスさーん、こんばんはー。久しぶり」


 寝る前にヴィル通信で連絡取っておく。


『ユーラシアか? 無事だったのか?』

「無事だし元気だわ。ユーラシアさんだぞ?」

『軽口叩けるようなら平気だな』


 アハハと笑い合う。


「もーしばらく連絡しなかったからって心配しちゃって」

『いや、君の死亡説がまことしやかに流れていたんだぞ?』

「らしいねえ。薄幸の美少女とゆーのにも憧れなくはないんだけどさ。運のステータスパラメーターが邪魔しちゃうの」

『全然邪魔じゃない件』


 こうして楽しくお喋りできるのも生きてたからだ。

 めでたしめでたし。


「今日帰ってきたんだよ」

『ずいぶんゆっくりだったじゃないか』

「パラキアスさんに一〇日何とかしてくれって言われてたんだ。だから一〇日プラスアルファの期間、向こうで頑張るのは予定通りだったんだけどな」

『そうだったのか』

「ドーラの情報が入ってこなかったからさ。片付いたことを知ってれば、もちろんすぐ帰ったんだけど」

『『アトラスの冒険者』達から君が生死不明って伝えられていてね。本当によかった』


 危なかったことは危なかった。


「……塔の村には早めに顔出しとくのがいいかな?」

『何故?』

「コケシがエア供え物分何か寄越せとか言いそう。コルム兄がその手のトラブルに遭ってるんだよ」

『ありそうだけど、ユーラシアはコケシに絡まれたってどうってことないだろう?』

「ないけど、あたし以外の誰かにとばっちりが行きそう」

『すごく迷惑な話だなあ』

「灰の民の村まで被害が及ばないといいねえ」

『嫌なこと言うなよ』


 楽しみが増えたでしょ?


「あたしがいない間、カラーズはどうだった?」

『白の酪農品と灰の農作物が交易のラインナップに加わったくらいだな。やはりヨハン氏を通しているわけだが』

「ふむふむ、順調だね」

『転移石碑はドワーフのアルアさんのところへ、刻印してもらうために送ったところだ。完成には少し時間がかかるらしいが』

「あっ、デス爺とアルアさんへのお礼、どうしてる?」

『ドーラのためになることだし、いらないって言ってたんだ』

「ちと心苦しいなー。いいや、あたしが何とかしとく」

『すまんね』


 よしよし、転移石碑さえ設置できれば、掃討戦跡地の開発は進められる。


「緑の民に動きあった?」

『ない。というかオイゲン族長は君が帰ってくるのを待ってたみたいだぞ? フェイ族長代理の話によると』

「あちこちで待たれちゃうなあ」


 緑の民の交易の件はどうにでもなるからいつでもいい。

 伝えなきゃならんのは……。


「ヤバいことがわかった。移民がすごくたくさん来るって。来年一年間で一万人以上」

『一万人? バカな、食料が足りなくなるぞ……』


 唖然とするサイナスさん。

 わかる。

 ドーラの総人口が大体一〇万人くらいだろうって言われているのだ。

 一割が一年間で来ちゃうって正直あり得ん。


「たくさんの移民を受け入れられる土地って、掃討戦跡地しかないじゃん?」

『これを見越しての掃討戦か。しかし土地だけあったってどうしようもないんだが』

「来年分の麦やトウモロコシの種って余分ないよねえ? じゃあもうイモを必死で増やすしかないかなーって思ってるんだけど」

『……ああ。オレは食べられる野草のリストでも作っておくよ』

「再来年からは穀物生産を計画的に増やしていけば、何とかなる気がするんだよね。でも来年餓死者出しちゃうと、移民来なくなっちゃうからさ」

『再来年は米も期待できるしな』

「うん。もう作りさえすれば売れるのは決まったようなもん」


 大雑把に言っとかなきゃいけないことは言った。


「明日午後にカラーズの様子見に行くよ」

『わかった。おやすみ』

「おやすみなさい。ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『わかったぬ!』


 明日は聖火教礼拝堂とカラーズ、夜はバエちゃんとこだ。

 メッチャ忙しくなったぞ?

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