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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第508話:使用法も説明してもらわないと

 ――――――――――一一〇日目。


 デカブツを落としてからは一二日目になる。

 ヒゲ隊長が全然相手にならなかったから、次は凝った戦い方してくるかなーと思ったけど、四日も間が開くと暇だな。


「御主人!」


 ヴィルが飛び込んでくる。


「敵が来たぬ!」

「来たかー。今回はかなり違った編成でしょ?」


 指揮官代わってるだろうし、四日も準備にかけてるし。


「大軍だぬ! 五〇〇人くらいぬ!」

「今日の指揮官はなってないなー。人数多けりゃ勝てると思ってるのかな?」

「何か装置をたくさん持ってきてるぬよ?」

「そお? 一応考えてはいるのか」

「シークレットウェポンね?」


 狭いところに引き込めば楽勝ではある。

 が、エンターテインメントの精神がそれを許さない。


「……持ってきた装置ってのに興味あるね」

「戦利品でやすね?」

「おお、わかってるねアトム。いただいてしまおう」

「どういうメソッドね?」

「盆地で待ち受けよう」


 クララが驚く。


「危険ではないですか? 隘路か渓谷で叩けばよいのでは?」

「正論だね」


 ただ勝つだけだったらクララの言う通りなんだが。


「問題の装置を使うところを見たいんだよね。せっかくくれる装置なら、使用法も説明してもらわないと」

「そうでしたか」


 クララも諦めたようだ。


「今日はヴィルも活躍してもらうからね」

「頑張るぬ!」


 よしよし、いい子だね。

 ユーラシア隊出撃。


          ◇


「山の四天王なる不逞の輩はお前らか!」


 貫禄だけはある太り気味の新隊長が声を張り上げる。

 おーおー、隊を思い通りに布陣できたから満足なようだ。

 でも気付いてるか?

 あんたの率いてきた歩兵や魔道士は、あたしらの強さを知ってるから相当ビビってるぞ?

 実績とはかように重いものなのだ。


「山の四天王の『美少女戦士』とはあたしのことだよ」

「そんなことは聞いておらん!」

「あたしが言いたかっただけだってばよ」


 ユー様掛け合いしないと気がすまないんですかって幼女ヒーラーの視線だ。

 四日もあたしを待たせたんだから、ちょっとはエンタメに付き合わせないと。


「ま、いいけど。何しに来たの?」

「決まっておる! お前らを捕えに来たのだ!」

「どうして渓谷で迎え撃たずに、ここで兵隊さん達が布陣するのを黙って見てたのか、理解できないようじゃムリだと思うけど」

「ど、どういう意味だ!」


 動揺する新隊長。


「あんたらの足元には、空飛ぶ船が積んでた爆弾がたっぷり埋まってるんだよ。下手に動くと、刺激で爆発するぞ?」

「な、何だと!」


 実際には刺激で爆発しないことをは確認済みではある。

 けど、どーせ爆弾の詳しい仕様なんて知らんだろ。

 兵士達の間に混乱が広がったところでレッツファイッ!


 ダンテのウィークポイントフレイム!


「ひ、火魔法だあ!」

「助けてくれえ!」


 もちろん地面はうんともすんとも言わない。

 だって爆弾埋めたとかウソだもん。


「た、隊長。爆弾とはハッタリなのでは?」

「うむ、小癪な! 全員防御態勢を取れ!」


 ……ん、防御態勢?


「……クララ、『煙玉』」

「了解!」


 あたしの薙ぎ払い×二! アトムの五月雨連撃! 敵軍が何かを発射するが、『トルネード』をキャンセルしたクララの煙玉! 後方へ離脱する。網か? 敵陣から打ち出された大きな槍の先のようなものがいくつか地面に突き刺さる。


「ば、バカな! あれを躱すとは!」


 驚愕する新隊長。

 ははあ、広範囲に金属製の網を打ち出す装置を使って、あたし達を捕まえる魂胆だったか。

 ネタ割れたからもういいや。

 岩壁の上で待機していたヴィルに合図する。


「出でよ我が眷属! やっておしまい!」

「はいだぬ!」


 ヴィルの恐怖の息吹! 兵士達も魔道士達も恐慌状態に陥る! とどめにあたしの鹿威し×二! 全員が我勝ちに逃げ出す!


「ウィーウィン!」

「やったでやすね!」

「もうちょっとヴィルを印象付けておこうか。追撃!」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」


 聖火教徒じゃないよーってことをアピールするために、散々追い掛け回して『恐怖の息吹』を連発してきました。

 十分な戦果だろ。

 五〇〇人でも相手にならず貴重な兵器を打ち捨ててきたとなれば、もう攻めてこないかもしれないな。

 ちと退屈ではあるが、あと二、三日のことだから。


「楽しかったねえ」

「御主人と一緒だと楽しいぬ!」


 あっ、恐怖の感情を与えるだけだとヴィルは不快なのか。

 ごめんよ、そこまで気が回らなかったよ。


「よしよし、いい子だぞ。ぎゅー」

「ふおおおおおおおおお?」


 よかったね。


「戦利品! 戦利品!」


 先ほどの網のところへ戻る。


「姐御! この網切れやせんぜ」

「え? 何の金属だろ?」

「メイビー、マジックパワーによる強化ね」


 ただの網じゃなかったのか。

 思ったよりやるな。


「強化を無効化してやれば切れそうです。ユー様、『暴虐海王』も起動して切ってみていただけませんか」


 パワーカードを七枚フル起動してえいやっ!

 あ、切れた。


「なるほど、アイデアだな」


 結果論として、この仕掛けを看破できずに食らったとしても、あたしの『薙ぎ払い』でバラバラにできたはずだから実害はなかっただろう。

 でもヤバめのギミックであることは間違いない。


「魔法の効果が乗りやすい金属なのかな? 面白い特性だねえ。帝国の技術は侮れんな」

「どんな金属でもできるのかどんな術式なのか、興味ありますねえ」

「術式が特殊の可能性もあるのか。金属は少しサンプルとして持っていこう」

「はい」


 切り取り切り取り、と。

 あれ、アトムとダンテは発射装置に興味があるのか?


「どう、面白い?」

「無骨なのはそそられやすがね」

「ウェポンは普通ね。エクセレントなのは火薬ね」

「むーん?」

「姐御、難しい顔してやすね?」


 兵器とか火薬とかあんまり好きじゃないんだけど、帝国が持っててドーラにないのは面白くない。


「やっぱ火薬は必要なのかなー。ムリヤリ言うこと聞けって迫られる原因になり得るもんねえ。あたし主導権を相手に握られるのは嫌いなんだ」

「ユー様の価値観はそうですよね」

「そうだぬ!」


 皆で笑う。

 もっともドーラは兵器に頼れなかったから、魔物に対抗するためにレベルが必須なんだろう。

 悪いことじゃないな。


「よーし、次の戦いを最後にしてドーラに帰ろう。爆弾もう使わないから、持って帰る分だけキープして残りは池に沈めちゃうよ」

「「「了解!」」」

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