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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第504話:兵隊さんから情報収集

 ――――――――――一〇三日目。


 デカブツを落としてからもう五日目になる。

 昨日が昨日だったから、今日は帝国軍の歩兵の皆さんが怒り狂って攻めてくるんじゃないかなーと、とっても楽しみにしている。


「御主人!」


 ヴィルが飛び込んでくる。


「来たぬ! 昨日より多いぬ!」

「うん、どれくらい?」

「一五〇人くらいぬ! 兵隊が多いぬ!」


 ほう、ちょっと多いね。

 御苦労さんなことだ。


「毎日朝から来るのは、何かのルールなのかな?」

「サムデイ、パターンを外して、イブニングアタックね」

「あり得んではないけど、あたし達がどこで寝てるか知らないよね?」

「いや、連中は村人がまだいると思ってやすから」

「あ、そーだった」


 じゃ、夜襲もなくはないのか。

 もっとも昼夜ヴィルを偵察に出してるあたし達が、夜襲なんか食らうわけはない。

 でも睡眠時間が減るからやめて欲しい。


「実力行使で来るようだね。今日はさすがにこっちの言うこと聞かないだろうから、派手にいくよ」

「「「了解!」」」

「アトム、『マジックボム』仕掛けるからついて来て」

「わかりやした!」

「ごめんね。今日もヴィルの出番はなし。見つからないように隠れててね」

「はいだぬ!」


 ユーラシア隊出撃。


          ◇


「また来たんだ。あれ、昨日までの役人のおっちゃんは?」


 今日は盆地まで引き込まず、渓谷との境で相手する。

 今日の代表者は文官じゃなくて軍人だな?

 威張った口ヒゲの大男だ。

 歩兵部隊の隊長さんだろうか。


「やつはクビだ!」

「えーと、クビって物理的に? 比喩的に?」

「物理的にだ!」

「メッチャ厳しくない? あたしの寝覚めが悪くなっちゃう」

「先日は不手際で任務を遂行できず、昨日汚名返上のチャンスを与えられたにも拘らず手ぶらで帰ってきた。低脳は陛下の下に必要ない!」

「その意見には全面的に賛成するけど、処刑は可哀そうだなー」

「時間稼ぎのつもりか? くだらぬ手には乗らんぞ!」


 ほう、さすがに警戒してるね?

 ムダだけどな。

 その位置にいることで既にあたしの術中に嵌っているのだ。


「で、今日は何しに来たの?」

「『美少女戦士』なるふざけた賊を捕らえに来たのだ!」

「あたしのことだと思うけど、何の容疑で?」

「ええい黙れ! きゃつを捕らえろ!」

「他人の言うこと聞かないね。じゃああたしも聞かないよ?」


 合図をし、その場を飛び退く。


 ズゴオオオオオオオーーーーーーン!


「な、何事だっ!」

「爆弾だよ。あのでっかい船が一杯積んでたんだ」


 渓谷側に控えていた兵士が数人吹き飛ばされ、残りは慌てて逃げ散っていく。

 岩場から足を踏み外し転落する者もいる。


 ズゴオオオオオオオーーーーーーン!


「ほらほら、爆弾はまだまだあるよ? 全滅しちゃうぞ?」

「ええい、お前のところには爆弾を落とせまい! 進め! 捕まえろ!」


 ドカンドカーンと、アトムの仕掛けた『マジックボム』に引っかかる。

 まあ魔力探知なんかしてる暇ないからな。

 思い通り過ぎて面白くない。

 こっちのエンタメの都合も考えてくれないかなあ。

 ハプニングがエンタメに花を添えるのに。


 ズゴオオオオオオオーーーーーーン!


「勝てない時は退くのが優秀な指揮官だぞ? これ以上犠牲多くなると、あんたのクビも胴体とサヨナラしなきゃならなくなるよ?」

「くっ、撤退しろ!」


 隊長の号令の下、一目散に去ってゆく兵士達。

 ばいばーい。

 逃げ足速いなー。


「倒れてる人達を集めて」


 八人か。

 思ったよりは少ないな。

 全員クララが『レイズ』と『ヒール』で治療する。

 あえて『リフレッシュ』はかけず、少しケガを残しておく。

 助けられた兵士達が話しかけてくる。


「亜人……なのか?」

「まあそんなとこ」


 帝国の人は精霊に馴染みがないみたい。

 一人の兵士が疑い深そうに聞いてくる。


「どうして俺達を助けた?」

「あんた達は命令に従って来てるだけでしょ? あたし達も村を守ろうとしてるだけ。似た者同士だよ」

「そうか、すまないな」


 奇妙な連帯感を生んだった。


「昨日の役人のおっちゃん、処刑されちゃったんだ?」

「いや、まだなんだが、間違いないだろうとの噂だな」

「ああ、以前から評判悪いやつなんだ」


 上に媚を売る、下に威張り散らす、金に汚い、女性関係に問題あり、悪口が出るわ出るわ。

 人望がないことは昨日察してたけど。


「悪徳フルコースじゃん。結構偉い人だったんでしょ?」

「貴族だからな。それなりに如才なく物事こなせりゃ出世はするだろ」

「伯爵家の次男だったか?」

「やつ本人も確か男爵だぜ」

「今回の失敗で、ようやく伯爵もこれ以上やつの面倒を見きれんと考えたんだろうぜ」


 へー、事情を聞いてるだけで面白いな。

 身分制度のないドーラ人にゃわからん感覚だ。


「リリアルカシアロクサーヌ皇女にしつこく言い寄って煙たがられたという。あの噂も確かやつだろ?」


 ぶふぉ、何じゃとて?


「リリなんとか皇女って、武道大会とかに参加したことある太眉の? えっ、年齢かなり離れてない?」

「二〇以上は余裕で離れてるな」

「まあ皇族と貴族だから、年齢は大した問題じゃないんだろうが、やつの積み上げた評判が悪すぎる」

「陛下がお許しになるはずがなかったよ」


 せっかくだからリリーの情報仕入れとこ。


「太眉皇女ってモテるんだ? あたしみたいな田舎者は知らんけれども」

「そりゃあリリー皇女は気さくで明るくてキュートな姫だからな」

「ん? 何で君は太眉って知ってるんだ?」

「ともに戦ったことあるから」

「ああ、武道大会でか。君も強いもんな」


 納得する兵士達。

 ウソは言ってない。

 やっぱ略称リリー皇女呼びでいいんだな。


「下手すりゃ、皇子皇女の中で最も知名度高いんじゃねえか?」

「一番人気者なのは確かだな」

「お忍びで街歩いててごろつきをぶっ飛ばしたの、孤児院にしょっちゅう顔出すのって話はあるぜ?」

「何で皇女がごろつきのいるよーな場所を歩いてるのよ。おっかしーだろ」

「最近リリー様の姿を見ないって聞いたぞ?」


 ドーラにいることは秘密なんだろう。

 まあ下々の者が消息を知ってるわけもなし。


「帝都にいなくて、地方の別邸にでも引きこもってるのかも知れんな」

「地方に行かなきゃいけない事情でもあるの?」


 何げなく聞いただけなんだが、兵士達が互いに顔を見渡している。

 何だ何だ?

 皆の顔がちょっと真剣味を帯びる。

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