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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第503話:誤魔化したった

 ――――――――――一〇二日目。


 デカブツを落としてから今日で四日目になる。

 そろそろイベントなりハプニングなりを期待したいとゆーか。

 帝国軍はあたしを楽しませるために存在してるんじゃないって?

 違うわ、ちょっとはやる気を見せろと言ってるんだわ。

 

「御主人!」


 ヴィルが飛び込んでくる。


「来たぬ! 役人と兵隊が合わせて一〇〇人くらい。魔道士らしい者もいるぬ」

「ようやく来たかー。待ちわびちゃったな。手筈通りに」

「「「了解!」」」

「今日はもうヴィルの出番はないから、見つからないように隠れててね」

「わかったぬ!」


 よしよし、ぎゅっとしてやる。

 魔道士が来ているなら、ヴィルを見せて間違いなく悪魔だと確認させておくのも一つの手ではある。

 ただ、まだ先は長いからな。

 ヴィルを活躍させる場面はいくらでもあるだろ。


 岩穴から外に出る。

 おお、強い風で今日も寒いね。

 一枚上に羽織って南の盆地へゆっくり歩いていく。

 およ? もう来たじゃん。

 帝国軍の兵隊さんはメッチャ働き者だな。

 確かに一〇〇人くらいいる。


 精霊使いユーラシアの先制攻撃!


「あっ、この前の集団詐欺師だな!」

「違う! これを見よ!」


 役人が何かを取り出す。

 今回は正式な命令書を持ってきたらしい。


「いかにももっともらしいもの見せてもムダだぞ? あんたらがインチキだってわかってるからな?」

「よく見ろ! 陛下の御名と印璽だ」


 ほう、たかが山の中の村一つ制圧するのに、皇帝陛下の名前の入った書類持ってきたぞ?

 とゆーか重要機密であろう飛空艇の絡んだ計画だ。

 軍だけの処理じゃなくて、陛下の裁可を必要とするということなんだろう。

 四日前もそれ持ってくりゃよかったのに。


「大丈夫? 陛下の名前を騙ると首ちょんぱだよ? あんたの首に価値があるのかは知らんけど」

「本物だ! 心配いらぬ!」


 役人が胸を反らす。


「じゃあ信じるよ。陛下の名前を持ち出すほど大それた悪党には見えないから」

「うむ!」


 からかってるのが通じてないみたいだけど、いいのか?

 後ろの兵士達笑ってるぞ?

 あんた人望ないだろ。


「じゃあ握手」

「ん? うむ」


 ぎゅっと握る。


「ひああああああ、痛い痛い!」

「おーげさだなー」


 さらに笑う後ろの兵士達。

 見ろ、エンターテインメントはこういうものだ。

 手をふーふーしながら役人が猛る。


「こ、このバカ力め!」

「ごめんよ。毎日クワ握ってるとパワーついちゃうんだよ」


 頷いてる人達がいるよ。

 実家が農家なのかな。

 家を継げない農家の次男三男とかが兵隊さんになるのかもしれない。


「本物の役人さんと兵隊さんならちょうどよかった。あれ何とかしておくれよ。畑にする予定のところなんだ」


 デカブツを指し示す。


「本日はそんなことのために来たのではない!」

「え? じゃあ何しに来たのさ」

「『美少女戦士』なる者を逮捕しに来たのだ!」

「村に美少女と言えばあたししかいないけど」


 村の皆さんは皆避難しちゃったし、クララとヴィルは見た目幼女だし。


「まさにお前だ! 飛空艇を墜落させ破壊した容疑がかかっている!」

「おっちゃん、本気で言ってるの?」

「本気も本気だ!」

「何をどーしたらあたしがあんなん落とせるのよ?」

「飛空艇に乗り込んで中から……」


 段々声が小さくなる役人。

 自分の言ってることにムリがあると思い始めたのだろう。

 チャンスだ。

 目一杯おちょくれという心の声が聞こえる。

 これが天啓か。


「兵隊さん達全員に聞くけど、今の役人さんの言ったことに信憑性があると思う人、手を挙げて?」


 誰も手を挙げない。

 だろうね。

 あたしとクララが飛行魔法で乗り込んで操舵室を壊したなんて、誰が信じるというのか?

 事実は小説より奇なり。


「もういっぺん聞くけど、さっきのあたしがあのデカブツ壊したっていうの、本気で言ってたの?」

「……」

「あんな大きな空飛ぶ船が落ちるんだったら、普通に考えて動力系の故障か、それとも強風に煽られて操縦ミスったかなんじゃないの?」

「……」


 ザワザワする兵士達。

 あたしの言うことに明らかに理があると感じているのだろう。

 事情知らなければ当然だよな。


「自分でも信じてないことでしょっ引こうとするのは変だなー」

「……」

「そんなのが栄えある帝国の法だなんて、考えられないなー」

「……」

「どっかに何かの間違いがあるんじゃないかなー」

「……」

「あたしを誤認逮捕したとしてさ。お前ら一〇〇人も雁首並べて一人もおかしいと思わなかったのかって、上の人に怒られたらどうすんのよ? 経歴に傷がつくぞ? いつまで経っても間抜け扱いされるぞ?」


 急に責任が飛び火して慌てだす兵士達と魔道士達。

 ハハッ、大いに迷え惑え。


「……ババドーン殿、これは確かにおかしいですぞ」

「……一度戻って確認されては」

「う、うむ」


 役人が兵士長と魔道士長だろうか? と話し合っている。

 どーゆー結論を出すかな?

 ニヤニヤ。


「別にあたしは逃げやしないからさ。事実関係を調査しておいでよ。今度来る時は、あのデカブツ何とかしてね」


 役人が言う。


「い、一旦戻って確認してまいる。さらばだ」

「ばいばーい」


 潮が引くように去っていく。

 あれえ? マジで戻ってったぞ?

 岩壁の上でスタンバイしていたうちの子達が降りてくる。


「姐御、どういうことです?」

「帰っちゃった」

「ワッツ?」

「ワッツ言われても、まさか納得して帰っちゃうなんて思わなかったから」


 想定外の展開だよ。

 からかってただけのつもりだったのに、あんなんで誤魔化されるって大丈夫か?


「あの役人さん、こっぴどく叱責されそうですけど」

「ドーラにスカウトするね?」

「艦長さんみたいに? いやー、あの役人みたいな進歩しなさそうなおバカはいらないかな。ドーラの平均知能指数が下がっちゃう」

「準備してたやつ、どうしやす?」

「明日使おう。どうせまた来るよ」


 消化不良な気はするが、まあ口先で時間稼ぎできたと思えばいいか。

 謀られたと気付けば、次はどうせすぐ来るだろ。


「帝国の人達、あんな簡単に騙されちゃってやっていけるのかな? 人が好過ぎない? こっちが不安になるんだけど」

「ユー様の話術は悪魔的ですから」

「悪魔的ってたまに言われるなあ。褒め言葉かそうでないのか、判断しづらいわ」


 皆が笑う。


「ま、いいや。今日の仕事は終わり。御飯のことでも考えようか」

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