表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

496/2453

第496話:奇襲

「そこそこのダメージを与えることはできても、落とせないだろうね。でも飛空艇に思ったより機動力があったりすると、パターンAの方法しか取れないかな」


 ダメージを与えたからドーラ戦に出張ってこないと考えるのは甘過ぎる。

 決定力はおそらく高々度からの爆撃しかないと思うから、少々の修理で直っちゃうものなら必ずドーラ戦に投入されると考えるべきだ。

 可能ならば完全に破壊しなければならない。


「パターンBは何でしょう?」

「ソル君に『デトネートストライク』を覚えてもらう」

「「「!」」」


 驚くソル君パーティー。

 『デトネートストライク』とは最大最強の魔法なんだよ、と長老に説明しておく。

 アンが聞いてくる。


「攻撃魔法は効かないんだろう?」

「何をもって効かないと言ってるんだと思う?」

「「「えっ?」」」


 虚を突かれるソル君パーティー。


「例えば人形系レア魔物には攻撃魔法でダメージを与えることはできないけど、魔法当てると吹っ飛ぶでしょ?」

「え、ええ」

「ドカンとデカい魔法ぶつけるとするよ? 魔法無効なら船体を壊すことはできないんだろうけど、中の乗組員はビックリするんじゃないかな」

「ユーラシアさんはそんなことを考えていたんですか」

「乗員が混乱して狙い撃ちさえされなければ、あたしとクララは『フライ』で乗り込める。中入っちゃえばこっちのもんだよ。ぶっ壊してくる」


 実際はどうやって無効化するんだか知らんけれども。

 どうせ『ファイアーボール』や『サンダーボルト』を撃たれて燃やされることを一番の警戒対象にしてるに違いない。

 魔法自体の衝撃の威力がどうこうなんて、完全に想定外だと思われる。

 反射であっても吸収であっても、『デトネートストライク』の威力全てを消せはしないだろ。


「そうか、魔法が効かなくても、乗員を動揺させればいいというだけなら……」

「可能性は高いです!」

「敵艦が鈍重なデカブツだったらパターンBでいく。これなら確実に落とせる」

「「「わかりました!」」」

「最大最強の魔法は勇者に相応しいぞ!」

「「そうですねっ!」」「……」


 こらソル君。

 ノリが悪いぞ。


『御主人!』


 赤プレートに連絡が入る。

 ヴィルが敵艦を発見したか?


「どう?」

『大きな船がゆっくりそちらに飛行中ぬ! まだあと一時間くらいはかかると思うぬ』

「一時間か。ヴィル、ありがとう。そのまま見つからないように監視しててね。変化があったら連絡して」

『はいだぬ!』


 長老が言う。


「いい子ですな」

「とってもいい子なんだよ。聖火教もヴィルは認めてやって欲しいねえ。聖火教徒のために働いてるとも言えるんだから」


 大きく頷くもじゃもじゃ長老。

 ヴィルは本当にいい子だからね。

 偏見で見るのはやめて欲しいな。


「さて、一時間あるって言うから、お昼食べちゃおうよ」


          ◇


 ――――――――――飛空艇内部にて。艦長クリーク・ミュラー視点。


「……つまらん任務だ」

「提督、まあそう言わずに」


 好天の空を往くオレの心中は荒天だ。

 カル帝国が誇る新型戦艦飛空艇の初作戦だというのに、どうしてこうなった?


「動力炉、魔力炉、ともに異常ありません」

「大したものであるとお思いになりませんか?」


 魔道士の言葉に不承不承ながら頷く。

 飛空艇が大したものであることは認めざるを得ない。

 しかし、ただ大したものであるだけだ。

 何故こんなデカブツが空を飛ぶのか、オレの単純な頭では何度説明されても理解できない。

 オレに理解できるのは、この飛空艇の戦略上戦術上の価値だけだ。


「貴公は御機嫌ではないか」

「提督のおかげをもちまして、大変順調でございますれば」


 オレの補佐につき、主として魔道結界の運用保守を担当している宮廷魔道士、名前を何といったか。

 こんなに偉そうに諂うやつを見たことがない。

 飛空艇開発における中心人物の一人とのことだったが。


「オレは弱者をいたぶる趣味はない」

「反乱軍ですぞ?」


 テンケン山岳地帯の聖火教徒に反乱の気配があるという。

 反乱だと?

 貧しい村民に何ができるというのだ。

 試験飛行だけでいいではないか。

 どうして爆撃が必要なのだ?


「実績が必要なのでございます」

「わからんではないがな」


 実績を作り予算が下りれば、無敵の飛行艦隊を組織できるだろう。

 中将に昇進したオレが飛行艦隊を率いる。

 そうした欲がないわけではないが。


「この野蛮なピクニックが必要とは思えん」

「反乱軍ですぞ?」


 またそれか。

 本当なのか?

 目障りな聖火教徒を掃除したい、何者かの恨みか望みかが結晶化しただけじゃないのか?

 あるいは飛空艇の実績を得たいがために、集落一つを犠牲にするなどということを考えたとか……。


「……オレも軍人だ。任務には最大限の努力を払う」

「さすがは提督でございます!」


 お前は黙ってろ!

 心の中で毒づく。


 まあいい、どの道命令拒否などできなかった。

 反乱の噂の出所と真偽はわからんが、疑われるようなことをするやつらも悪い。

 つまらん任務はとっとと片付けて、ドーラ遠征に参加すればいいのだ。

 華々しい武勲を立てる場が待っている。


 ドゴゴゴッゴワーーーーーーーンンンンン!


 突然の轟音と激しい揺れ。

 椅子ごと壁に叩きつけられる。


「な、何事だっ!」


 どこからも返事がない。

 哀れにも滑稽な魔道士は、頭から血を流して倒れている。

 部屋を飛び出し機関室へ。


「どうした! 事故か?」

「ど、動力炉、魔力炉、ともに異常ありません。外部からの攻撃と思われます!」

「攻撃だと?」


 ドゴゴゴッゴワーーーーーーーンンンンン!


 再びの轟音と激しい揺れ。

 船体が大きく傾く。

 たまたま動力炉の窪みに身体を預けることができ、転倒を免れる。


 間違いない、確かにこれは攻撃だ!

 あり得ないことが起こっているのだ。

 オレは伝声管に飛びつき、操舵室に指示を出す。


「操舵室、聞こえるか! オレだ! 艦長クリーク・ミュラーだ! 当艦は攻撃されている! 基地へ転進しろ!」

『了解!』


 よし、操舵室は機能している。

 再び伝声管に声を発する。


「艦底倉庫、応答せよ! 艦長クリーク・ミュラー少将である。爆薬は無事か!」

『艦底倉庫、異常ありません。艦長、これは何事でありますか?』

「外部からの攻撃だ」

『攻撃? まさか……』


 絶句する艦底倉庫の兵。

 まさかで思考停止していいものなら、オレだってそうしたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ