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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第495話:帝国兵を追っ払う

「じゃ、そろそろ帝国兵来そうなんでからかってくるね」

「御武運を」

「任せて。今から始まるのはただのショータイムだけどね」

「「えっ?」」


 ミスティさんともじゃもじゃ長老が首かしげてる。

 対飛空艇戦が本番だとするなら、対歩兵戦なんてのはただの前座ってことだよ。

 苦戦なんかしてらんないのだ。

 エンタメとして消化してしまう。


「じゃーねー」 


 ミスティさんと別れ、南の盆地へ飛んで戻る。

 ソル君とセリカも戻ってきていた。


「もう数分で来ると思います」

「向こうに魔道士風の人いる?」

「いないですね。銃と剣を装備した歩兵ばかりです」

「油断してるな?」


 まーでも魔道士が必要になる事態はさすがに想定してないわな。


「偵察ありがとう。距離を取ろうか。飛び道具だけは注意してね」


 長老を安全な高台に避難させ、帝国兵を待ち受ける。


「来ましたよ?」

「来たねえ」


 セリカちょっと緊張してる?

 今から始まるのは茶番だぞ?

 歩兵の隊長らしき男が叫ぶ。


「はん! 渓谷で待ち伏せているかと思えば、開けた地まで我らを通すとは! とんだ素人ではないか!」

「国軍を詐称する弱虫が人数集めたって、別に怖くないんだなー」

「な、何だと!」

「ところで何しに来たの?」

「は?」

「あたしらビンボーだから、騙して何か取りあげよーったってムダだぞ?」


 ソル君達は今になって交渉ですかって顔してるけど、うちの子達は始まったぞーって顔してる。

 面白おかしく撤退してもらうための伏線だよ。

 隊長が声を張り上げる。


「テンケン山岳地帯の聖火教徒どもが、帝国政府に反旗を翻すという情報が入っているぞ! 大人しくお縄につけ!」

「ほら見ろ、ウソがバレた」

「何がウソだ!」

「あたしら聖火教徒じゃないもん」

「……は?」


 アホ面を晒す隊長。


「やっぱり集団詐欺師だね! 我が眷属よ、やっておしまい!」

「わかったぬ!」


 レッツファイッ!


 ヴィルの恐怖の息吹! 歩兵達が恐慌状態に陥って逃げてゆく!


「ば、バカな。高位魔族だと……」

「へー。あんたはなかなか根性あるじゃん」


 一人踏みとどまる隊長に声をかける。


「聖火教徒が高位魔族を使役するなど……」

「だから聖火教なんて知らないってばよ。わっかんないおっちゃんだなー。で、どうする? まだやる?」

「くっ。覚えておれよ!」

「この期に及んであたしの記憶力を試そーとするとは」


 よし、逃げた。

 これでいい。


「あー楽しかった」

「完勝ですよ!」

「隙を突けばこんなもんだな」

「精霊使い殿!」


 長老が駆け寄ってくる。

 危ないよ、ヒゲ踏むぞ?


「今のは?」

「サービスだよ。他の聖火教徒が白い目で見られても可哀そうだからね」


 聖火教徒の村が帝国に盾突いたとなると、当然他所の聖火教徒も疑いの目で見られるに違いない。

 しかし聖火教の教義では、悪魔と決して慣れ合ってはならないことになっている。

 聖火教徒の村というのが誤った情報で、悪魔を操る怪しげな集団だったとなれば、聖火教との関連は追及されまい。


「芸が細かい!」

「さすがはユーラシアさん!」

「まあまあ、大したことあるよ」

「何から何まですみませぬな」


 ハッハッハッ。

 気分がいいなあ。


「ヴィル、ここへ空飛ぶでっかい船が来る予定なんだ。いつ頃来そうか、様子を見てきてくれる? 攻撃されるかもしれないから、あんまり近付いちゃダメだよ」

「了解だぬ! 行ってくるぬ!」


 よーし、ヴィルいい子。

 皆に向き直る。


「まだ時間があるよ。今後の方針を大雑把に決めておこうか」


          ◇


「冷たい! 何ですか、これ?」

「『氷晶石』っていう、魔力を吸って冷たくなる石だよ。食べ物が悪くなりにくいから重宝してるんだ」

「へえ」

「便利ですねえ」

「今は冬だからどうってほどの違いはないけど、夏は結構活躍しそう」


 アンセリが食いついてくる。

 ソル君見てるか?

 かまどを預かる女性は、こういうものに興味があるのだ。


「魔境で見つけたんだ。天気も悪くないのに寒いところがあってさ」

「なるほど、魔境の魔力を吸収して冷たくなると」

「チュートリアルルームのバエちゃんとこに『氷晶石』を利用した冷蔵庫があるじゃん? 便利だから前から探してたんだ」


 感心しきりのアンセリ。


「夏に部屋を涼しくするのにも使えそうですねえ」

「セリカ賢いな。魔境は素材も様々なものを拾えるけど、食べられる植物も多いよ。あたし達もいろんなやつを取ってきて、来年育てようとしてるんだ。ソル君家も庭広いんだし、生活重視の観点で魔境探索すると楽しいよ?」

「「そうですねっ!」」


 いやあ、楽しい魔境探索に賛同を得られてよかった。

 ソル君は置いてけぼりな顔してるけど。


「問題の空飛ぶ巨大軍艦の件ですけど」

「精霊使い殿はどういうおつもりで?」


 男性陣は性急だねえ。

 といっても飛空艇に関してあたしの知ってることも多くない。


「……まだわかんないかな。情報が少ない」

「「情報?」」

「高々度から爆弾落としてくる、魔法が通用しないってことはわかってるけど、それだけなんだな。実際の大きさやスピード、小回りが利くかみたいのは見てみないと何とも」


 向こうのスペックでこっちのやれることも変わるしな。


「どうにも勝ち目がないようなら、尻尾巻いて逃げるしかないじゃん? でも最初の試作機から完成度高いわけないと思うんだよねえ」


 アンセリもこっちの話に加わる。


「で、どうせ今日は攻撃されるなんて思ってないだろうから、最低限の操縦要員と爆撃要員、あとは魔道結界の様子をチェックする魔道士? くらいしか乗ってないんじゃないかな」

「だ、だから空中戦ですか?」

「まさか目の前で着陸なんて油断はしてくれないだろうから」


 全員が難しい顔をして頷く。

 とゆーか今日は爆撃の演習のつもりで来るんだろうから。


「対応策としては二つのパターンを考えてるんだ。パターンAはソル君に『フライ』を覚えてもらう」

「二パーティーで空中からバトルスキルを浴びせるんですね?」


 セリカが勢い込む。


「うん。正攻法と言える。ただこの方法は問題点もあるんだよね。『フライ』ってかなり扱うのが難しい魔法なんだ。覚えていきなり空中戦って厳しいのかもしれない。飛空艇側から狙い撃ちされる危険もある。で、最大の問題点というのが……」

「完全破壊するのは難しい」


 長老が重々しく言う。

 その通り。

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