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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第470話:画策する悪いやつ

 パラキアスさんとの話を続ける。

 あたしも確認しとかなきゃいけないことがある。


「大型飛行軍艦は試験飛行を兼ねて別の作戦に投入予定だって。パラキアスさん、これどう思う?」

『別の作戦?』


 ……やはりパラキアスさんは知っている。

 しらばっくれてもあたしにはわかるわ。


「パラキアスさん、『別の作戦』に心当たりありそうだけど?」

『なくもないが、証拠もない。君にいらぬ先入観を与えそうだから言えないな』

「あたしにも心当たりはあるんだよ」

『ほう?』


 声のトーンが警戒を帯びたものになる。

 おそらくその別の作戦とは、パラキアスさんの情報操作によって実施されることになったのだ。


「パラキアスさんはあたしが帝国の山の中の聖火教徒の集落へ、『アトラスの冒険者』の転送魔法陣で飛べること知ってたっけ?」

『ミスティに聞いた』


 おそらくパラキアスさんはドーラ独立戦争を見越して、帝国内部に撹乱要因を作っていたのだ。

 テンケン山岳地帯の聖火教徒が反乱を起こす、みたいな噂を流したんだろう。

 で、最初から山の村人達をドーラに避難させるつもりで、マジックウォーターで起動する転移石碑を用意させていた。


 一方で帝国は飛空艇の試験運転に使用する地として、テンケン山岳地帯がベストだと考えた。

 謀反人はいるわ険しい山の中で他に情報が漏れにくいわという好条件が揃っているから。

 飛空艇はパラキアスさんも計算外だったろうけど、飛行試験を兼ねた作戦を実行するならテンケン山岳地帯と考えたのだろう。


『どこで気付いた?』

「怪しいと思ったのは山の集落に持ってった転移石碑だな」

『やはりユーラシアはあれが転移石碑だとわかっていたか』

「まあね。あとはミスティさんが、本部礼拝堂の北の広い範囲を整地させてることかな。なのに理由は言えないってことだったから。あそこドーラに避難させた人達の集落になるんでしょ?」

『ハハハ。精霊使いに隠し事はできないな』

「パラキアスさん、悪いやつだなあ」

『自覚してるよ』


 自嘲気味だね?


『軽蔑するかい?』

「いや、狙いはわかるから。あたしの好きな方法じゃないなーってだけで」

『しかし最も犠牲を少なくできる』


 かもしれない。

 犠牲を人死にに限ればだが。


「ってことは、あたしが飛空艇担当でいいのかな?」

『頼めるか?』

「ソル君のパーティーを貸してくれれば」

『ソル君というと、君のあとにドラゴンスレイヤーになった?』

「そうそう」


 沈黙が時を支配する。


『……何か考えがあるんだな? よかろう、任せた』

「やったあ!」


 ソル君達がいるなら百人力だ。


「可能なら飛空艇壊しちゃうけど、ムリかもしれない。ムリだったら派手に陽動して引きつけとくよ」

『パーフェクトだ。一〇日足止めしておいてもらえると助かるな。その間でこっちも決着をつける』

「一〇日だね、わかったよ」


 パラキアスさんには、帝国の工作潜入兵を手早く片付ける策があるらしい?


『では、さらばだ』

「じゃあまた。ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 さて、いよいよ動き出したな。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 コブタマンを持って海の王国に来た。


「この銅鑼はどうしてこんなに魅力的な形をしているんだろうねえ?」


 もー今すぐ叩けはよ叩けと言わんばかり。


「ボス、鳴らないドラはナッシングね」

「その通りだ!」

「どっちにしても鳴らすんでやしょ? ならば早く叩きやしょう」

「その通りだ!」

「ユー様、ガンガンいきましょう!」

「その通りだけれども……えっ?」


 今何と?


「……うちのパーティーの良識派であるクララに賛成されると、何だかとってもいいことをしているような気がして不安になる」

「理屈がおかしくないでやすか?」


 どんだけ何を言ってもあたしがガンガン鳴らすことを、クララはわかっているからだと思うけど。

 どーれ、いくぞお!


「グオングオングオングオングオングオーン!」


 女王が転げ出てくる。


「肉襲かっ!」

「肉襲だぞーっ!」

「待ちわびたぞ!」


 あ、衛兵達最初から台車持ってくるのな。

 調理場へコブタマンを運んでいく。


「食べていくのかの?」

「ごめん、今日は帰るよ。お肉持ってきただけ」

「そうか」


 女王が残念そうだ。


「次に報告ね。地上は四日後に開戦になりそう。戦争終わったら、またゆっくり遊びに来るよ」

「うむ。肉を持ってくるならいつでも歓迎するぞ」

「えー? 持ってこなくても歓迎してよ」


 アハハと皆で笑う。


「『逆鱗』と『巨人樫の幹』持ってきたよ」

「素材と交換じゃったの。用意してあるぞよ」


 素材を取り出す。


「えーと、『逆鱗』が残りの四枚と、『巨人樫の幹』五つね」

「うむ、確かに。コモンの素材約一万四〇〇〇ゴールド分と、レア素材『クラムボン』と『埋没コイン』を用意したがどうじゃ?」


 『クラムボン』は以前手に入れたことがあるけど、『埋没コイン』というのは初めてだな。

 クララが言うにはコインのような形をしているが、正体は古代生物の化石なのだという。

 変わったものがあるんだなあ。

 素材としてどう生かせるのか知らんけど。


「うん、ありがとう。それでいいよ」


 取り引き成立。

 また素材が山のように手に入った。

 嬉しいなあ。


「地上との交易は、その後どうかな?」

「レイノスの取り引きが大きくなってきたの」

「おっ、てことはレイノスでは魚がよく食べられてるってことだね。よしよし。戦争終わって一段落ついたら、地上の物品も海底に売るよう働きかけるから」

「楽しみじゃのう」


 女王の表情の読みにくい顔があたしを見据える。


「戦争は四日後からか」

「正確に言うと、帝国の艦隊がドーラに到着するのが四日後だって」

「さようか……長引きそうか?」

「敵味方含めて、長引いて嬉しい人は誰もいないはずなんだよ。だから早いとこ終戦に持っていきたいんだよねえ」

「戦争は本当にうんざりするからの」

「手早く終えられるかは、うちのパーティーの活躍にかかってるみたいなんだ」


 女王は何か言いたそうだったが、結局声には出さなかった。


「適当に頑張ってくるよ」

「武運を祈っておるぞ」

「ありがとう。じゃあ帰るね」

「気をつけてな。また来るのじゃぞ」

「うん」


 女王にも『気をつけて』と言われたか。

 そして『また』という言葉が重くのしかかる。

 転移の玉を起動し帰宅する。

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