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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第468話:着々と準備を進める

 戦争についてはそんなもんだ。

 『アトラスの冒険者』は大体皆真面目だし、ラルフ君も例に漏れないので、しっかり働いてくれるだろう。

 ま、レイノスより東が戦場になることなどないと、あたしのカンが告げているしな。

 一応の用意でしかない。


 緑の民との内緒通信についてはどうだ?

 せっかくラルフ君に会えたんだから聞いておこ。


「ヨハンさんとオイゲンさんのやり取りって進展ある?」

「ちょうど手紙が一往復したところですね。今のところ久闊を叙すという感じで、特に進展はないと思います」


 うん、ゆっくりでいい。


「ヨハンさんからの手紙ってバレるとよろしくないけど?」

「変名にしていますので」

「抜かりないね」


 よしよし、ヨハンさんとオイゲンさんの間は、機が熟すのを待てばいい。

 意思の疎通が取れているなら、物事を動かそうと思った時に呼吸合わせていっぺんにできるだろ。

 どうせ今は戦争前だから派手に動けないし。


「ラルフ君達が働いてくれると、あたしも楽ができるよ」

「楽できるぬよ?」

「いえいえ、とんでもないです」


 よしよし、ヴィルいい子。

 ぎゅっとしてやる。

 この場合の『楽』には後顧の憂いが小さくなる、くらいの意味しかないのだが。


「ところでグリフォンの羽毛って何か役に立つかな?」

「は? グリフォンの羽毛ですか?」


 唐突な話題転換にラルフ君が首をかしげる。

 いや、陰謀チックな話ばっかりだったから、ちょっと変わった話題を提供しようかと思ってね。

 エンタメ精神の発露。


「グリフォンって、魔境に生息している大型鳥の魔物のグリフォンですよね? まだ見たことはないですけれども」

「うん、ドラゴン帯にいるやつ。グリフォンの羽毛って、洗って乾かすとふっかふかになるんだって」

「羽毛とはどういうことでしょう?」

「昔、グリフォンの羽毛で布団作って大儲けした人がいたって聞いたんだよ。でも今、誰かが買い取ってくれるわけじゃないからさあ。イシュトバーンさんに相談したら、ヨハンさんならうまい利用法を思いつくかもって言ってたんだ」

「ああ、商売ネタということですか。父に確認しておきますよ」

「よろしくね」


 ラルフ君パーティーの肩の力も抜けたろ。

 よーし、ギルドの用は終わったな。


「じゃ、あたし帰るね」

「またよろしくお願いします!」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「サイナスさん、こんばんはー」


 夕食後、寝る前ののんびりタイムことヴィル通信だ。

 心を鎮めて考えをまとめるのにいい時間。


『ああ、こんばんは』

「今日マルーさんに、土の中の魔力を吸い集める技術教えてもらったんだ」

『どうだった?』

「むっつかしいの。魔道の基礎知識が必要みたい。あたしにはムリだと思った」

『アレクとクララが図書館でゴソゴソやってたぞ?』

「アレクは理解してたみたいだから、クララがアレクに教わってたんだ。ちょうどマルーさんに教えてもらってた時、クララは昼食の調達に出ててさ」


 とゆーかふつーの人に教わる状況が精霊であるクララにはツラいから。


『アレクとクララはその技術を身につけたってことだな?』

「うん。アトムとダンテもクララに聞いてたけど、やっぱダメだった」


 でもアレクとクララが理解してれば、計画に全然支障ないな。


「転移術次第で製塩はかなり自動化できそう」

『転移術も難しいだろ』

「うーん、戦争終わったら、基礎的な仕組みくらい早めに何とかしたいんだけど?」

『フェイ族長代理だって、米と塩両方はムリだって言ってたじゃないか』

「まあ米を一年目から莫大な収穫量にしろってのはムリだけど、塩はそうでもない気がしてきたから」


 大体フェイさんと塩の話してた時は、まだマルーさんと会ってもいない、架空の話だったもんな。

 今はデス爺の協力を得られれば実現できるところまで来ているのだ。


「ところでサイナスさん。魔力が供給されてたら、火をつけっぱなしにできそうなものじゃん? どうやったらいいか心当たりない?」

『おいおい、海水を煮詰めるところまで自動にするのかい?』

「可能であれば楽だからね。考えるだけは考えておこうと思って」


 バエちゃんとこの魔道コンロは、スイッチ一つでずっと火を灯し続けることができる。

 あれどんな仕組みになってるんだろうな?


『魔力の流れを一方通行にして溜める技術があるなら、逆も可能だろ。どこか一ヶ所から魔力を逃げやすくしておいて火魔法が発動し続けるならば、火は燃え続ける理屈だ』

「なるほどわからん」


 魔力を逃げやすくする?

 どうやって?

 魔力の流れを一方通行にするのは『スライムスキン』で可能だけど、火には弱いから燃えちゃうしな?

 そういえばカカシはどうやって黒妖石から魔力を取り出してるんだろ?

 あの黒妖石は土に埋まってるから……。


「うーん、閃きそうで閃かない」

『そうかい?』

「逆に魔力を通さない材料が必要なのかなあ? いや、魔力を通しやすくて火に強い材料が先か。誰かに教えてもらお。サイナスさん、ありがとう!」

『礼を言われるほどのことはしてないが』


 でも満更でもないんでしょ?

 しかし製塩は海水転移の方が重要で、煮詰めるのは人の手でもいいからな。

 後回しになりそう。


「カラーズでは何かあった?」

『特にないな。ケスとハヤテが来てたぞ。図書室にいた』

「へー、何しに?」

『二人とも字を覚えにだな』


 ハヤテが字に興味あるみたいな話があったけど、ケスもか。

 勉強熱心なのはいいことだ。

 あたし? 不向きなことはやらない。


「字を覚えるのは重要だと思うけど」

『アレクとクララを含めた四人で楽しそうだったぞ。ああ、ケスは『精霊の友』なんだ』

「マジか」


 気付かなかったな。

 クララ、大事なことは報告してよ。


「フェイさんは明日帰ってくるんだっけ?」

『予定通りならば。君が言ってたんじゃないか』

「輸送隊が帰ってくるのも明日だよね。パワーカード注文したんだ。明後日届くから、フェイさんと輸送隊にプレゼントするよ」

『いいのかい? 高いんだろう?』

「いいのいいの。今あたしお金持ちだから還元しないと」

『ハハハ。まあムダになるものではないしな』

「じゃあサイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日は海の王国で素材を交換してくるか。

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