第466話:きっと大丈夫
「言ってみるもんだねえ」
帰宅してアトム、ダンテと話をする。
もちろん今アルアさん家で依頼した、飛行用パワーカードについてだ。
アルアさんが請けてくれたからには、実現可能なのだろう。
クララはまだ灰の民の村から帰っていない。
アレクに大地から魔力を吸収する技術のレクチャーを受けてるんだろうな。
たまには図書室の本を読みたいのかもしれないし、ゆっくりしてくりゃいいよ。
今日はもう、大した用がない。
「飛べちゃうでやすか?」
「飛べちゃうっぽいねえ」
「フライね? フライね?」
アトムやダンテもテンションが高い。
やっぱ自由に飛べるかもしれないと思うとワクワクするなあ。
開発がうまく進むといいが。
「あんた達もこんなカードあったらいいな、ってのがあったら提案してよ」
「うーす」「イエス、ボス」
アトムはカード大好きっ子だし、ダンテもたまに変なこと思いつくから、奇想天外なカード案が飛び出てくるかもしれない。
レベルカンストした今のあたし達には、戦闘に役立つパワーカードはそう必要ないと思う。
でもパワーカードは戦闘に使わなきゃいけない制限があるわけじゃない。
もっといろんなタイプがあってもいいと思うのだ。
「あたしギルド行ってくるね。クララが帰ってきたら、一応アレクから教わってきたことを理解しようと努力してくれる? あたしにはムリだった」
「え? 姐御にムリだったとは?」
二人が用心したような表情になる。
「どーも魔道の素養と知識がないとわかんないんじゃないかと思う」
ダンテは三系統の魔法を使いこなすし、アトムは土魔法を使える上に『魔力操作』の固有能力持ちだ。
少なくともあたしよりずっと魔法に縁が深いから、見込みはある。
ただあの『スライムスキン』の折り方なんてのは、感覚的な理解じゃダメな気がするな?
とすると魔道理論をある程度理解してるクララならともかく、アトムダンテが習得することは難しいのかもしれない。
「クララがキャントアンダスタンだったらどうするね?」
「クララにわからないものが、あたしらにわかるはずないじゃん。あたしはムダなこと嫌い。実りのない努力なんてポイだね。その時はアレクをこき使えばいい」
「「了解!」」
「じゃ、行ってくるね!」
◇
フイィィーンシュパパパッ。
「やあ、いらっしゃいユーラシアさん。今日もチャーミングだね」
「こんにちはー、ポロックさん」
「ちょっといいかい?」
ポロックさんが声を潜める。
戦争関係の話だな?
「今日の午前中、レイノス副市長オルムス・ヤンの名で正式な通達が来た。『アトラスの冒険者』は西域を守れと」
「オニオンさんに話聞いてる? 西域が離反しない条件というのが『アトラスの冒険者』による防衛なんだって」
「呆れた条件だねえ」
ドーラが一つと考えればポロックさんの言う通りだ。
ただドーラの中だけでも様々な考えの人がいるとゆーことでもある。
その条件に関してあたしは非難する気になれない。
「こっちの対応と布陣は変更なし。帝国艦隊はもう向こうを出航してるはず。おそらく数日中に開戦だよ」
「わ、わかった」
緊張してるね?
総合受付が緊張してると周りに伝染するから、リラックスしていてもらいたい。
「きっと大した問題はないから大丈夫だよ」
「でもユーラシアさん達は……」
「きっと大丈夫」
ポロックさんの目を真っ直ぐ見つめる。
まだ決定しているわけではない。
ただポロックさんも何となく察知しているに違いない。
一番小回りが利き、かつレベルの高いうちのパーティーが、一番ヤバいところを担当するだろうということを。
「……」
「粛々と準備を進めてね」
「ああ」
ギルド内部へ。
「御主人!」
「よしよし、ヴィルはいい子だね」
飛びついてきたヴィルと一緒にお店ゾーンへ。
買い取り屋さんで換金、道具屋さんでハイポーションとマジックウォーター、万能薬、蘇生薬を買い込み、武器・防具屋さんへ行く。
「こんにちはー。売り上げに貢献しに来ましたよ」
「いらっしゃいませ。パワーカードですか?」
「はい、そうでーす」
「現在販売中の商品はこちらになります」
『ナックル』【殴打】、攻撃力+二〇%
『ニードル』【刺突】、攻撃力+二〇%
『スラッシュ』【斬撃】、攻撃力+二〇%
『ライトスタッフ』【殴打】、攻撃力+一〇%、魔法力+一〇%
『スナイプ』攻撃が遠隔化、攻撃力+二〇%
『風林火山』攻撃力+二〇%、MP再生三%
『サイドワインダー』【斬撃】、攻撃力+一五%、スキル:『薙ぎ払い』
『シールド』防御力+二五%、回避率+七%
『光の幕』防御力+一五%、魔法防御+一五%、沈黙無効
『シンプルガード』防御力+二五%、クリティカル無効
『ハードボード』防御力+三〇%、暗闇無効
『武神の守護』防御力+二五%、HP再生五%
『スカロップ』防御力+八%、魔法防御+八%、回避率+一〇%、毒無効
『サイコシャッター』防御力+五%、魔法防御+一〇%、睡眠/混乱/激昂無効
『火の杖』魔法力+一五%、スキル:『プチファイア』
『ホワイトベーシック』魔法力+一五%、スキル:『ヒール』、『キュア』
『マジシャンシール』魔法力+二〇%、MP再生三%
『オールレジスト』基本八状態異常および即死に耐性五〇%
『ボトムアッパー』攻撃力/防御力/魔法力/魔法防御/敏捷性全て+七%
『ファイブスター』火耐性/氷耐性/雷耐性/風耐性/土耐性三〇%
『スプリットリング』HP再生一〇%、MP再生四%
『逃げ足サンダル』敏捷性+一五%、回避率+五%、スキル:『煙玉』
『誰も寝てはならぬ』防御力+一〇%、睡眠無効、最大HP+一〇%
『ヒット&乱』攻撃力+一〇%、混乱付与、混乱無効
『前向きギャンブラー』攻撃力+一五%、会心率+八五%、防御力-三〇%、魔法力-三〇%
※一枚一五〇〇ゴールド、ただし『サイドワインダー』は二〇〇〇ゴールド、『逃げ足サンダル』は一〇〇〇ゴールド。
おおう、輸送隊員用のパワーカード買おうと思ったら、結構たくさんラインナップされてるじゃないの。
迷っちゃうなー。
「いつの間にか常時買えるカードも随分充実したねえ」
「ある程度現物を見せると売れるということがわかりまして」
「なるほど、お主も悪よのう」
「精霊使い殿のお仕込みで」
「悪なんだぬ!」
アハハと笑い合う。




