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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第465話:飛行のためのパワーカード?

 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさーん、こんにちはー」

「おや、いらっしゃい。いつも元気だね」


 クララがアレクを送っていく間に、アトムとダンテを連れてアルアさん家に来た。


「素材換金に来ましたよ。これ『ファントマイト』、すっごい重いの。どこ置いとけばいいかな?」

「ほお? 『精霊石』かい。作業場の台の下がいいね。こっちへ持ってきてくれるかい?」


 お、ゼンさんとエルマがせっせと働いてるね。

 活気があってよろしいことだ。

 暇な工房ってもの悲しくなるからな。


「元気してる?」

「はい!」「もちろんだぜ」

「ごめん。ちょっとこれ重いんだ。ここ置いとくね」


 どっこいせ、と。


「ふー、これでよし。アルアさん、お土産だよ」

「肉かい? いつもありがとうよ」

「エルマん家の分もあるから、家に持って帰ってね」

「ありがとうございます!」


 お肉は元気とパワーの源だからね。

 さて素材の換金だ。

 交換ポイントは七九九となる。


「カードと交換していくかい?」

「うーんと。いや、今日はやめときまーす」


 『ファントマイト』を換金したことで何が交換対象になったか、気になるところではあるが、まあいつでもいいからな。

 今のあたし達にとっては、カードが欲しくなった時に、すぐ交換できるだけのポイントを溜めておくことが大事。

 ……具体的には戦争が近い。

 何かのパワーカードが有効だと知れたら、すぐさま手に入れる余地が必要なのだ。


 そーだ、アルアさんに言っとかないといけない。

 

「ギルドから大量にパワーカードの発注があると思うんだ。大変だと思うけど、よろしくお願いしまーす」

「ん? どういうことだい?」

「カラーズ~レイノス間の輸送隊に、装備品としてカードを支給しようと考えてるの」


 示威効果を狙って隊員には棍を持たせてはある。

 ただ盗賊や魔物とマジ戦闘になるようなら、もっとしっかりした装備がないといけない。

 帝国軍潜入工作部隊との戦いの可能性を考えるとなおさらだ。


「ふん、輸送隊だと嵩張らないパワーカードはちょうどいいだろうねえ」

「あたしもかなりお金持ちになったんで、ギルドで買ってプレゼントしようかと思って」


 エルマが言う。


「あっ、あの魔宝玉のクエストが終わったんですね?」

「終わっちゃった。これからあんまり魔境行かなくなっちゃうかと思うと、ちょっとおセンチな気分なの」


 アハハと笑い合い、アルアさんが聞いてくる。


「隊員達に持たせたいのは、要するに基本的なカードということだね?」

「うん。特化型じゃない、汎用性の高いものがいいと考えてるんだ。パワー型の人とか魔法の使える後衛型の人とかがいるから、種類は様々になるけど」

「だったら全く問題はないよ。ゼンの手はかなり速くなったし、エルマもスキル付与のない基本的なカードは作れる」

「おお、すごいねえ!」


 照れる二人。

 いや、大した進歩だよ。

 エルマの器用不器用は知らなかったけど、もう基本的なカード作製に関してアルアさんの御墨付きが出ているなんてやるじゃないか。

 オリジナルのカードを作れるようになるのも、遠い未来じゃないね。


「アンタは今日これからどうするんだい?」

「んーどうしようかな……」


 ……アレはゼンさんに関係のあることだ。

 話しておくのがいいだろうか?

 いや、暴走されると対帝国戦があること自体が知らんでもいい人に広まって、ややこしいことになっちゃうか?


 ゼンさんが不思議そうに聞いてくる。


「ユーさんの歯切れが悪いの、珍しいな」

「あたしも悩み多き年頃だから」


 皆で笑う。


「ギルド行こうかな。エルマはクエストの進捗どうなってるの?」

「はい、ここのクエストは終わりまして、『スナイプ』のカードを手に入れました。今、薬草をたくさん持ってこいというクエストになっています」

「あれ? 魔境行きじゃなかったんだ?」


 エルマはレベルこそあるけど、装備も立ち回りもまだまだだ。

 ギルドも配慮してくれたんだろうな。

 これでエルマの手持ちカードは『スラッシュ』『武神の守護』『ポンコツトーイ』『シンプルガード』『スナイプ』の五枚か。

 今のクエストを終える頃には、さらに装備も充実するだろう。


「今のクエストの魔法陣の転送先は、かなり素材を得やすいところなのです。修行のつもりで頑張ります」

「うんうん、偉いねえ」


 エルマは問題なさそう。

 何よりニコニコ楽しそうなのがいい。


「ゼンさんは困ってることない?」

「順調だぜ。そうさな、強いて言えば発想がな」

「発想?」


 どゆこと?


「今うちはパワーカード作りも応用編に入ってるんだ」

「レア素材を使ったカードとか?」

「ああ。それに伴ってユニークカードについて考えなきゃいけねえと、師匠に言われていてな」


 ほうほう、つまりオリジナルのカードってことか。

 いいじゃんいいじゃん。


「常識的じゃねえ発想のカードとか。ユーさんに考えはないのかい?」

「あたしは職人じゃないからなー。ただの思いつきだけれども、自由に空を飛べるカードがあったら便利だから欲しいわ」


 アルアさんも興味を持ったようだ。


「飛行魔法『フライ』が自動発動する、のような?」

「そゆこと。ただ飛行カード使用中にマジックポイントが減ってくと悲しいから、自動回復して飛び放題だと嬉しいねえ」


 あれ、アルアさんもゼンさんも考えてるね?

 実現可能なのか?


「面白いね」

「でも『フライ』って、かなりレベル高くならないと自由に飛び回れないんだよ。皆が必要とするカードじゃないんだけど」


 逆にレベルの高い人は、パワーカード使いじゃなくても欲しがる気がするな。

 とすると意外と需要があるかな? 


「ちなみにこのカードがもし実現できたら、アンタは何枚欲しい?」

「四枚だねえ」


 マジックポイントが減らないならクララの分も欲しい。


「わたしも欲しいです!」


 うん、エルマのレベルなら問題なく使用できるだろう。


「条件的に製作可能だとは思うんだが、何せ今までにないタイプのパワーカードだ。時間がかかるよ」

「楽しみにしてるね」


 ただ言ってみただけだった。

 全然急いでないし。 


「じゃあ完成を心待ちにしてな」

「はーい」


 あたしが注文したみたいな形になったぞ?

 構わんけれども。


「じゃ、あたし達帰るね」

「気をつけてな」「じゃあな」「お姉さまさようなら」


 転移の玉を起動し帰宅する。

 飛行カードは便利だと思うぞ?

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