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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第461話:どっちもダメだあ!

 あたしの固有能力の話か。

 どーも自分の固有能力について語るのは、くすぐったい気持ちにならんでもない。


「あたしが持ってるのは『精霊使い』の他に、沈黙・麻痺・睡眠に耐性がある『自然抵抗』でしょ? 気合いでドンみたいなスキルを覚える『発気術』。それから運がいいっていう『ゴールデンラッキー』。カンがいい『閃き』の五つだよ」

「五つって……聞いたことがないですね」

「ハハッ、メチャクチャだな」

「メチャクチャゆーな」

「何だよ運がいい、カンがいいって」


 いや、あたし自身も何だそれって思わなくはないけど。

 あとから増えた『ゴールデンラッキー』と『閃き』は、気に入ってはいるのだ。

 おかげで楽しい人生を送れているのかもしれないから。


 ちょっと真面目そうな表情になってるイシュトバーンさん。

 どーした?

 ここはネタにして笑うところだろ。


「しかし意外だな。直接戦闘に有利になりそうなのは『発気術』だけじゃねえか」

「ほんとだ、言われてみれば」

「精霊使いユーラシア殿は若手ナンバーワンの冒険者ですからな。強力なスキルを習得したり、ステータス値の補正のある固有能力をお持ちなのかと思っていました」


 確かに。

 『精霊使い』はレアかもしれないけど、だから強いってもんではない。

 強い精霊と出会える運があって、初めて真価を発揮する。


「運のパラメーターが高いと、変わったスキル覚えやすいみたいだよ」

「ほお? 例えば」

「『雑魚は往ね』っていうのがあるんだけど……」

「あっ、聞いたことがある! 自分よりレベルの低い魔物を一撃で全部倒せる、デタラメなバトルスキルだろ?」

「うん。すげー重宝してるんだ。うちのパーティーのメイン火力」

「『雑魚は往ね』の使い手だったのかよ。あんたにピッタリだな」

「でしょ? ドラゴンくらいまでは効くから便利だよ」

「ハハッ、普通はドラゴンに効くわけねえじゃねえか」


 イシュトバーンさんはよく知ってるなあ。

 やっぱ一流の商人とゆーものは、分野が違っても様々な知識やそれを得ようとする好奇心が必要なんだな。

 あたしも見習わないと。


「他には?」

「これ運関係ないっぽいんだけど、『リフレッシュ』っていう低コストの全体回復魔法を習得してる」

「パーティーに一人欲しいやつだな。『リフレッシュ』も運じゃないかって聞いたことあるが、関係ないってのは根拠あるのか?」

「あたしの知り合いにもこれ覚えた子いるんだけど、特別運のパラメーター高いってわけじゃないんだよね」

「面白えな」


 イシュトバーンさんはいろんなことを面白がる人だ。


「さて、すっかり遅くまでお邪魔してしまいました。私どもはこれで失礼させていただきます」

「おう、楽しかったぜ」

「あたし達も帰るよ」

「また来いよ」

「ユーラシアさん、約束の本ですが」


 そーだった。

 クララの期待感がありあり。

 ヘリオスさんが本を取り出す。


「どうぞ」

「ありがとう。三冊ももらっちゃっていいの?」

「はい」


 クララが大喜びだよ。

 『詳細図説・薬草食草』、『土と岩の民の生活』、『世界樹とともに』……最後のペペさんが書いた本じゃん。


「何か却って悪いから、これお土産にしてよ」

「ハハハ、透輝珠か。もらっとけもらっとけ」

「や、これはすみませんな」


 恐縮するヘリオスさん。


「本書く人って少ないみたいだよ。イシュトバーンさんも書けば?」

「翁に書いていただけるなら望外の喜びですが」

「オレが書くのなら商売の手引書だろうが、説教臭くて面白くねえんじゃねえか?」


 でも満更でもなさそうだね。


「精霊使いは書く気ねえのか」

「あたしはムリだなー。書く側より書かれる側がいいよ」

「普通は書く側と読む側に分けるもんだけどな」

「書く読むはどっちもダメだあ!」


 笑いの中解散となり、転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「サイナスさん、こんばんはー」


 寝る前恒例のヴィル通信だ。


『ああ、こんばんは』


「今日、輸送隊出る日だっけ?」

『ああ、ズシェン隊長以下五人で』

「五人か。今の交易規模だとちょうどよさそうだねえ」


 もうちょっと大きな取り引きをしたいものだが。

 今は緑の民が不参加で、戦時の食料となり得る白の民と灰の民の農産物もセーブしてるから仕方ないか。

 これも将来に楽しみが残ってると思えばいい。


『青の民セレシア族長の店で売る呪術グッズ、今日持っていったぞ』

「精霊様ペンダント? 間に合ったんだ」


 やるな呪術グッズ工房。

 仕事が早い。


『何なんだ、精霊様ペンダントって?』


 サイナスさん詳細は知らなかったか。


「マジで運が上がる開運グッズだよ。クララをモチーフにした可愛いデザインなの」

『ほう。いくらで売るつもりなんだ?』

「五〇〇ゴールドくらいじゃないかな。儲けの一割はモデル料としてもらえるんだ」

『しっかりしてるな』


 一個売れて一〇ゴールドだから微々たるものだけど。


『君、今日カトマス行ってきたんだろう?』

「うん、すごく活気のある村だった」

『『強欲魔女』は?』

「協力取りつけたよ。大地から魔力を吸う技術を教えてもらえることになった。時間わかんないけど、明日そっちにアレク取りに行くよ」

『取りに行くって』


 サイナスさん苦笑してるんだろうな。


『よく『強欲魔女』に了承させたね?』

「美少女が誠心誠意話せば大体わかってもらえるの」

『……君がそういう言い方するのは、何かやらかした時だけど?』

「信用ないなー」


 本当に大したことしてないのに。


「明日はカトマスにうちの子達連れていくんだ」

『大丈夫なのかい?』

「普通に獣人とか歩いてるし、全然問題ないと思う」

『ほう、カトマスは大らかなところだな』

「でも治安は良くないよ。三人もスリが出た。美少女はターゲットにされちゃう」

『ユーラシアはスリくらいどうってことないんだろう?』

「まあ。そのスリから、お茶作ってる自由開拓民集落を教えてもらったんだ」

『情報源が限りなくグレーだな』 


 いや、ウソ言ってる顔じゃなかったよ?

 ドーラでお茶作ってることを知れたのは収穫だった。


『そんなところか?』

「うん、サイナスさん。おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 さて、クララが『詳細図説・薬草食草』を見てるから、あたしは『世界樹とともに』を読みながら寝るか、ぐー。

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