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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第460話:あんたはパワフルだから

「あんた、レイノスの商人を一人も知らない内から、何か仕掛けようとしてたのかよ?」


 イシュトバーンさんの言葉にちょっと違和感。

 仕掛けようとしていたとゆーのは印象が違うよーな。


「いや、以前はカラーズの品をどうにかしてレイノスに売り込みたかったから、間に入ってくれる商人さんが欲しかったんだよ」

「ヨハンの役割を受け持つ商人を探してたってことだな? 今は?」

「緑の民が紙を作ってるから、その辺とっかかりにして交易に引き込みたいな。ドーラの識字率を上げるのに何か仕掛けたい」

「識字率?」


 今度はイシュトバーンさんが首をかしげる。

 それにしてもカラーズ~レイノス間交易のためにあたしが商人を見つけようとしてたことくらい、イシュトバーンさんは知ってるだろうに。

 あ、意味ありげな視線を寄越したぞ?

 ヘリオスさんは役に立つから、考えを聞かせて引き込んでおけって?

 了解。


「『精霊使いユーラシアのサーガ』が出版された時、売れ行きよくないと面白くないらしいですよ?」

「ハハハ、で、本当のところは?」

「読み書き計算ができないとお金持ちになれないと思う。少なくとも成り上がるチャンスは減っちゃうわ。貧乏人相手に商売しても、儲かんないからつまんないんだよねえ」


 イシュトバーンさんが頷く。


「まあ、そっちの考えが本音に近そうだな。ヘリオスよ、この自分が儲けるために全体を底上げするって思考が精霊使いユーラシアだぜ」

「はい」

「で、マルーはどうなったんだ?」


 あれ、マルーさんの名前が出た途端、ヘリオスさんとお供の人達、動揺してるね? 

 マルーさんってどんだけ恐れられてるんだろ?

 ダンパパのカリフさんもそうだったけど、有力な商売関係の人は皆マルーさんと多かれ少なかれ関係があるのかな?


「どうもこうも。今日カトマスを案内してもらったよ。精霊連れでも大丈夫そうな村だったから、明日はうちの子達も連れていこうかと思って」

「ああ、カトマスは普通に亜人も出入りしてるよな。ヘリオスよ、精霊使いは高級魔宝玉を持ってこいってクエストにバカ正直に仕事して、マルーを破産させたんだぜ」


 破産はしてないってばよ。

 破産させる気は満々だったけど、依頼者がマルーさんだとわかったから、協力してもらう方針に切り替えたんだよ。


「あっ、あの黄金皇珠二〇〇個というのは?」

「黄金皇珠だけじゃねえんだ。鳳凰双眸珠だの邪鬼王斑珠だの一粒万倍珠だの、大秘宝クラスの魔宝玉をこれでもかって届けたんだ」

「だって個数無制限だったんだもん。ぼろ儲けするチャンスを逃すほど、あたしは人間が甘くできてないんだもん」

「鳳凰双眸珠って、帝国の宝物庫に一つだけ保管されているという噂の?」

「そうそう、結構奇麗なの」

「おう、オレも初めて拝ませてもらったわ」


 唖然とするヘリオスさん。

 どーもイシュトバーンさんがわざわざマルーさんを話題に出したのは、ヘリオスさんをビビらせる意図があったみたいだ。

 おそらくあたしがマルーさんを手玉に取ってることを知ったら、ヘリオスさんはあたしに一目も二目も置くから。

 イシュトバーンさんのサービスはわかりにくいんだよな。


「鳳凰双眸珠持ってこいって依頼出してくれたら、あたしが請けるよ。あれちょっと難しくて、今のところうちのパーティーでしか取ってこられないから」

「いやいやいやいや!」


 ヘリオスさんが首と手を同時に振る。

 案外器用だな。


「で、マルーさん大喜びで色々協力してくれることになったから、あたしもやれることが増えたんだ。未来のエンターテインメントの材料だね」

「……変だな? たとえ払えきれねえ借金押しつけたって、ふて腐れるか開き直るかが関の山だろう。あのクソババアが大喜びで協力するなんてあり得ねえんだが」


 ヘリオスさんが何度も大きく頷き、イシュトバーンさんがニヤッと笑う。


「あんた他にも何かやってるだろ?」

「大したことじゃないわ。マルーさんの孫娘が固有能力の素因を何も持たない人でさ。その子のお父さん、マルーさんの息子さんも同様だったらしくて、血で受け継がれる呪いだって言ってた」

「ほお?」

「呪いどうこうという噂は私も聞いたことありますね」


 話に引き込まれる二人。


「あんたみたいな恵まれた子にはわからないって言ってたんだけど、その子どう見ても身体の魔力の流れが悪いんだよ。ぎゅっとハグしたら治った」

「待て待て待て、サッパリわからねえ。端折ったとこ丁寧に話せよ」


 え、面倒くさいな。


「ニルエっていう名前の子なんだ。一目見ておかしいって思えるほど魔力の流れが滞ってたんだよ。ケガでも病気でもないのに」

「つまり、外見上何でもないのに調子が悪い状態だった、と?」

「うん。だからぎゅっとハグしたら調子良くなるかなーと思ってそうしたの」

「何故?」

「説明しづらい部分だな。カン?」


 何となくとしか言いようがないのだ。

 ただハグしたら元気がよくなるだろうっていう、期待はあった。


「まああんたはパワフルだから、ぎゅっとされたら調子良くなるってのは、わからんでもないけどな」

「治ったというのは、身体の魔力の流れが改善したということですか?」

「それ以外に固有能力も発現したの。ヴィルと同じ『いい子』ってやつ」

「「えっ?」」


 驚く二人。


「おい、ちょっと待て、素因もないって話じゃなかったか?」

「うん、だからマルーさんもビックリしてた」

「あんた、そこまで計算してハグしたのか?」

「いや、プロが知らないことをあたしがわかるわけないじゃん。元気のいい人はほぼ例外なく身体の魔力の流れも活発だからさ。元気が出れば固有能力なんかなくたっていいと思ったんだけど、結果が思わぬ方向に行った」


 マルーさんでも見えない、固有能力の素因のそのまた種みたいなものがあるんじゃないかっていう、あたしの考えだ。

 で、それは体内の魔力なり元気なりに関連するのかもしれない。


「呪いが解けた……」

「なるほど、あのマルーが協力的になる理由もわかる」

「感動的なドラマですなあ」


 納得する二人。

 ドラマっちゃドラマかもな。

 あたしにとって後味のいいイベントだったから、結構満足ではある。


「あんた自身の固有能力はどうなってんだ? いくつか持ってるって噂は聞いたことあるが」

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