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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第456話:ディスアドバンテージがとんでもなく大きい

 スリの男が言う。


「これはお茶の葉だぜ」

「お茶?」

「本物のな。いわゆるハーブティーとか柿の葉を煎じたものじゃねえ。湯に浸して、いい香りがしてきたら飲むといいぜ」

「へー、珍しいね。帝国からの輸入品? 高いんじゃないの?」


 もうあたしはこのスリ男のことを何とも思ってない。

 あんまり高価なものを巻き上げちゃ悪いしな。


「ドーラ産なんだぜ」

「ドーラ産のお茶? マジか」


 お茶みたいな嗜好品をドーラで作ってるとは思わなかった。

 十分な需要があるように思えんけど?

 スリ男が得意げだ。


「俺らの村では一般的な飲み物なんだ。ドーラで茶を作ってるのは、うちの村だけじゃねえかな」

「教えてくれてありがとう! あんたの村だとお茶が手に入るんだね。どこ?」


 お騒がせ皇女リリーが、お茶がないと朝起きれんとか言ってたそーだ。

 お土産に持ってってやってもいいな。

 ドーラのお茶がどの程度のものかもわかりそう。

 

「おお? 食いついてくるやつは珍しいな。ここから西へ強歩三時間くらいの、ザバンっていう自由開拓民集落だ」

「ザバンね。覚えておくよ。いろんな種類のお茶があるのかな?」

「ん? まあ発酵度合いや混ぜ物で好みはあるな。あんた、いやに熱心じゃねえか。どういうことだい?」


 探るような目付きだね?

 まードーラ人でお茶に興味がある人は少ないだろうけれども。


「知り合いのお嬢にお茶の好きな子がいるんだよ。今その子西の塔の村にいるから、お茶が手に入らないみたいで。あたしはドーラがもっと裕福になったら、お茶も広めたいって思ってるんだ」

「お茶を広める? 結構な話だが、あんた何者だ?」

「美少女精霊使いユーラシアだよ」

「あっ、先月レイノスで魚フライのフェス仕掛けたっていう、あの?」

「よく知ってるね」


 西域の自由開拓民集落の住民でも、カトマスに来るような人は情報に対して敏感なのかもしれない。


「ほえー、有名な冒険者じゃねえか」

「うん、あたし何か最近有名人なんだよね」

「ハハッ、いい気になってるじゃねえか。その有名な冒険者様がどうして丸腰なんだ?」

「よく丸腰って言われるけど、有名な美少女冒険者様は武器持ってるんだってば」


 パワーカードを起動して見せてやる。


「……どうやら本物の精霊使いユーラシアだな」

「本物だとゆーのに」


 ちょっと腕のある人なら、あたしがどんだけのレベル持ちか見ただけでわかるもんだぞ?

 シロートさんはこれだから。

 精霊連れじゃなくても美少女度で理解しろよ。


「悪かった。カトマスは騙し騙される村だからな」

「どえらい物騒な謳い文句だなー」

「ザバンは物騒なことないぜ? 純朴な田舎だ。しかし貧乏な村なんでよ。精霊使いがお茶を広めてくれると嬉しいがな」

「当分はムリだよ。ドーラにはお茶におゼゼ出せる人がほとんどいない。皆をもっとお金持ちにしないと」

「ハハッ、皆を金持ちにするって発想がすげえな。夢見せてもらったぜ。じゃあな」


 男が去ってゆく。

 『いい子』の効用のヒントとお茶の産地ザバンか。

 いいことを知ったぞ。


「いいんですか? 逃がしてしまって」

「いいんだよ。実害なかったし、面白い情報仕入れられたし」


 お茶ももらったしな。


「悪い人ですよ?」

「かもしれないけど、敵じゃないから」

「ユーラシアさんにとっては、自分を狙うスリも敵じゃないんですね?」

「世の中いろんな立場があるからねえ。この人はいつか仲間になるかも、役に立ってくれるかもって考えると楽しいよ?」

「ユーラシアさんは心が広いですねえ」


 あたしは慈悲の塊。

 今のスリイベントはあたしにとって大変有益でした。

 さて、マルーさん家に戻ってきたぞ。


「ただいまー」

「お帰り。カトマスはどうだった? 賑やかなところだろう?」

「なかなかそそられる村だね。それよりばっちゃん、大変だよ」

「何だい? 面倒ごとかい?」

「ニルエに縁談が殺到する予感がする」

「「えっ?」」


 ポカンとするマルーさんとニルエ。


「レベル九九『閃き』能力持ちのカンだよ」

「……当たりそうだねえ。ニルエは色っぽい話があってもおかしかない年齢だけども、今までちーっとも、気配すらなかったよ」

「ばっちゃんの孫っていうディスアドバンテージがとんでもなく大きいから、しょうがないっちゃしょうがない」

「ズバッとお言いでないよ! アタシだってね、たまには傷つくんだよ!」


 たまにはなのか。

 マルーさんおもろいな。


「ばっちゃんのことはどうでもいいけれども」

「よかあないよ!」

「『いい子』の固有能力は思ったよりチートだった」

「えっ?」


 心当たりがないようだ。

 固有能力のプロフェッショナルと言っていいマルーさんでもか。

 『いい子』はレアな固有能力で、あんまり知られてないってこともあるだろうが。


「『いい子』ってあれだろ? 褒めるとパワーアップするっていう……」

「あたしも似た説明をされてたんだけど、どうも単純な固有能力じゃない気がするな。自己評価が上がることはイコール自分で自分を褒めることだから、それだけでパワーアップするっぽい。冒険者的なステータスパラメーターだけじゃなくて、魅力とかも」

「ふん?」

「今ニルエと村を練り歩いてきたじゃん? 男の子がチラチラ見てくる理由を考えるとね」


 昨日までと違ってニルエが生き生きしてるってこともあるんだろうけど。


「私も感じましたが……ユーラシアさんを見ていたのでは」

「いや、視線の半分はニルエ行きだった」


 あれ、戸惑ってるね。


「もっと言うと、周りの害意も受けにくいみたい」

「ほお」

「まあどうでもいいけれども」

「よかあないよ!」


 だってあたし関係ないんだもん。


「どっちにしても、これからラブな話は絶対出てくるよ。備えておきなよ」

「私が結婚……」


 嬉しそうじゃないか。

 よかったねえ。


「ばっちゃんはどんな婿がいいの?」

「そうさね、アンタが男ならいいのに」

「美少女精霊使いに何てことをゆーんだ」


 いくらあたしがハンサムだからって。


「じゃ、あたし帰るね」

「あっ、ユーラシアさん、ありがとうございました!」

「大感謝だよ!」

「明日午前中に、迎えに来るよ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。


『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』


 これでどうやら魔宝玉クエストが終了か。

 新しい『地図の石板』が出るかな?

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