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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第449話:『精霊石』

「魔力濃度濃くない? 入る前もそんな気してたけど」

「イエスね」


 一〇分経ったので、ダンジョン内部へ突入だ。

 正直手持ちの『光る石』の明かりだけでは心許ないが、レベルが上がってある程度カンも働くので何とかなる。

 カンはレベルのせいじゃないかもしれないけど。


「素材がすごく多いねえ。歩くのが捗らない」


 何故なら素材を回収するのは冒険者のマナーだから。

 クララが心配そうに言う。


「ユー様、『鹿威し』で魔物散らすだけでいいんですか?」

「だってあたし達は魔物を通さないのが役目じゃん。向こうのダンが率いるメンバーが戦って経験値稼ぐのが合理的でしょ」

「見通し利かねえ足場も不安定で、戦うのが嫌なんでやしょ?」

「そーとも言う」


 とゆーか、今のところ大した魔物出てきてない。

 暗いからハッキリはわからんけど、気配がザコっぽいんだよな。

 向こう『威厳』持ちのカイルさんいるし、ヴィルが『闇のブレス』吐くだけであらかた片付くだろ。

 しっかり経験値を稼いでください。


「分岐はないでやすね」

「うん、これならどんどん進んで構わないね。聞いてた通り、通路もまあまあの広さだし」


 本当に一本道のトンネルみたいなダンジョンだな。

 おっと、素材素材っと。


「すこーし曲がって入り組んでるからかなー。もう一〇分は余裕で歩いてるよね?」

「素材回収で、あまり距離を稼げていないのかも知れませんねえ」


 そーゆーこともあり得るか。

 何だかんだで暗いから、歩みも遅いしな。


「そろそろダンジョンの真ん中なんじゃないでやすか?」

「うん。ちょっと変な気配がある」

「マジックパワー濃度がハイになってきたね。何かいるね」


 広くなったところにレッサーデーモンとその他大勢。

 反対側からダンのパーティーが到着したところで共闘扱いにして倒すのがベストだが、どーも遅れてるみたいだな?

 ザコを押しつけちゃってるからか?


「倒しとこうか」

「「「了解!」」」


 レッツファイッ!


 ダンテの豊穣祈念! アトムの五月雨連撃! 弱い魔物を一掃した! レッサーデーモンの強撃! アトムが受ける。あたしの雑魚は往ね!


「……効かないな。ボス補正っぽい。火力集中に切り替え!」

「「「了解!」」」


 ダンテのインフェルノ! あたしのハヤブサ斬り・改! 『あやかし鏡』の効果でもう一度ハヤブサ斬り・改! よし、倒した!


「『悪魔の尻尾』だけは回収して、と」

「ここ、魔力濃度が高いのは気になりますねえ」

「またモンスターがスポーンするかもしれないね」

「調べたいけどあとでいいや。ダンが遅れてるのが気にかかる。どんどん行くよ」

「「「了解!」」」


 さらに進む。


「……さっきから音が聞こえるねえ」

「戦ってる音のようですが……」


 おかしいな?

 ずーっと音がするんだけど。

 結構高レベルの面々だし、苦戦するはずはないがなあ?


「姐御、人形系レアが固まっちまってるんじゃ?」

「あっ、なるほど!」


 あり得る。

 向こうのパーティーで人形系レアに有効なスキルは、ダンの『経穴砕き』のみか?


「急ごう!」


 人形系レア魔物が多いなら、おそらくダンのワントップで防御主体。

 攻撃はヴィルに任せて人形系以外の魔物を塵にし、あたしの到着を待ってるはず。


「踊る人形だったら、ダンが倒してるはず。戦闘が長引くってことは、ヒットポイント一以上のやつが出てるってことかな?」

「だと思います」

「こっちから『鹿威し』で圧力かけてやすから、向こうで人形系が逃げないんですぜ、きっと」

「実にありそーで困る」


 しまったな。

 親切のつもりだった『鹿威し』が裏目に出たか?

 ダンテが言う。


「やはりマジックパワー濃度は、さっきのボスルームが一番ハイね」

「どーゆー理屈なんだろうな?」


 『永久鉱山』チックなところなのかもしれない。

 すると単純に魔物倒したり封鎖したりするだけじゃダメなのか?

 また魔物が湧いちゃう?


「素材が多いのも魔力濃度が高いせいかな?」

「おそらくは」

「急ぐのに素材は拾ってくんでやすねえ」

「だって冒険者の義務だから」


 あーはいはいみたいな顔をするうちの子達。

 でも暗いからなー、大分見逃しちゃってるかも。


「もうちょっとだね」


 戦闘音が大きくなってきた。


「おーい、美少女精霊使いだぞー。聞こえるー?」


 返答がある。


「来たか、ユーラシア! 人形系だ。そっちから攻めてくれ!」

「りょーかーい!」


 いた、向こうの明かりが見える。

 結構魔物の数が多い、七、八体いる!


「ギャルルカンです。ヒットポイントは二。土系の魔法を使います」

「わかった!」


 何か魔法食らったけど薙ぎ払い一閃! ギャルルカンどもを駆逐した。


「御主人!」


 ヴィルが飛びついてくる。


「よしよし、頑張ったね。リフレッシュ!」

「助かったぜ」


 ダンと従業員さん達がホッとした顔をしている。


「やたらと好戦的な人形系だったんだぜ。追ってきそうだったから退却するわけにいかなくてよ」

「ごめんよ。途中までそっちで人形系が固まってる可能性に気付かなくてさ」

「いや、あんたのせいじゃねえ」

「『鹿威し』でどんどん魔物追ってた」

「あんたのせいかよ!」


 だから謝ってるじゃないか。


「ところでどっちから帰る?」

「レッサーデーモンがいた、魔力濃度の濃いところってのを見てえな」

「あたしも何で魔力濃度が高いのか知りたいんだよね。じゃ、あたし達の来た側へ戻ろうか。あ、ちょっと待って。ドロップ拾ってくるね」


 墨珠七つに藍珠が三つ。


「あげる」

「全部? 愛情表現か?」

「お詫びのしるしだってばよ」

「ありがたくもらっとくぜ」 


 全員であたし達の通った道を戻る。


「ここなんだけど」

「なるほど、広い場所だな」


 問題はどうして魔力濃度が高まるのかなのだが。

 自然に高まるんだと、また魔物湧いちゃうことが考えられる

 まことによろしくない。


「ボス!」


 珍しいな。

 『精霊の友』じゃない人間がいるのに、ダンテが声かけてくるなんて。


「『ファントマイト』ね!」

「何それ?」


 クララの説明によると、別名を『精霊石』ともいう、周辺から魔力を集める特性のある石で、レア素材でもあるという。

 いろんな利用法が考えられるな。

 レア素材で手に入りにくいのが残念だ。


「へー。結構大きいね」


 どうやら洞窟みたいな空気のよどんだところに長い間こんなもんがあったから、魔物を寄せちゃったということらしい。

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