表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

448/2453

第448話:肉たっぷり鍋に釣られて

 おっぱいさんがカトマス出身なら聞いとこ。


「あたしカトマス行くのは初めてなんだ。何か注意することあるかな?」

「雑多で活気のある村です。各地から様々な人が来ますので、治安はいいとは言えませんね。盗まれるのが悪い、騙されるのが悪いとする気風があります。でもユーラシアさんなら全然問題ないと思いますよ」

「食べ物とか名産品とかは?」

「ああ、注意ってそういうことでしたか」


 おっぱいさんが笑う。

 あっ、ヴィルがおっぱいさんに寄ってったぞ?

 黒い瘴気が抜けたらしいな。


「西域から出荷されたものが集まる地です」

「ふんふん、西域の産物の集積地か。じゃあレイノスより物価安そーでいいねえ」

「大体何でもレイノスより安く買えますよ。強いて言えば砂糖とか?」

「あっ、砂糖欲しいな。カトマスで買えばいいのか。サクラさん、ありがとう!」

「いえいえ、楽しんできてください」

「バイバイぬ!」


 甘味は貴重だ。

 それに今のあたしは、醤油と砂糖のコンビネーションがパワフルだとゆーことを知ってるしな。

 カトマスへ行く楽しみが増えたぞ。


 依頼受付所を離れたところで、ダンが話しかけてくる。


「おい、サクラさんって時々怖くねえか?」

「まあねえ」

「怖いぬよ?」

「逆らっちゃいけないタイプの人であることは間違いないわ」

「ユーラシアでもかよ」


 あたしでもってどーゆーことだ。

 あたしはごく常識的な平和主義者だぞ?

 無闇やたらとケンカ売ってる狂犬じゃないわ。 


「あんた、今日の午後はどうするんだ?」

「どうしよっかな……」


 特に決めてはいなかった。

 魔境へ気晴らしに行くか、あるいはあたしの名前に変更した盗賊村に顔を出すか。

 それこそ先回りでカトマス見物でもいい。


「絶対やんなきゃいけない用事はないんだよね」

「ちょっと付き合ってくれねえか?」

「デート?」

「まあそんなもんだ」

「夕御飯で手を打つよ」

「肉たっぷり鍋でいいか?」

「もちろんだよ親友」


 やったぜ夜はお肉たっぷり鍋だ!

 ウシのお肉は鍋に合うんだよなー。

 ダンとともに『オーランファーム』へ。


          ◇


「ユーラシアさん、その節は大変お世話になりました」


 あたしがレベル上げした『オーランファーム』従業員さん達だ。

 ふむ、ダンが鍛えてるからか、随分と様になってる気がする。

 帝国戦になっても『オーランファーム』は大丈夫だ。

 安心感が増した。


「いやいや、今日もお肉たっぷり鍋のいい匂いに釣られてお邪魔しちゃったよ」


 皆が笑う。


「新しい転送魔法陣が出たんだが」

「え? あんたもう魔境の一〇〇体倒す条件クリアしたんだ?」


 ダンの家の庭の転送魔法陣が並ぶエリアだ。

 魔境トレーニングエリアのクリア条件は、一〇〇体の魔物を倒すか真の竜族を倒すかである。

 結構大変だと思うがな?

 いや、ダンは普通の魔境初心者よりかなりレベルが高いから、何とかなっちゃうのか。


「まあな。といってもあんたとの愛の共同作業がかなりある」

「いやん、共闘って言いなよ」


 共闘で倒した分は二分の一で算定されると聞いた。

 あれ? そーいや確かダンが『アトラスの冒険者』じゃない内から、世界樹エリアも含めて魔境で共闘してるな。

 あの辺の算定どうなってるんだろ?

 まーどうでもいいけれども。


「一人じゃちと面倒なクエストなんだ」

「どんなんなの?」

「ま、直接見たほうが早いぜ」

「ん、わかった」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 

「ダンさん、お待ちしておりました」


 ここは?

 どこかの自由開拓民集落みたいだな。

 いかにも村人っぽい、三〇代くらいの男性がにこやかに挨拶してくれる。


「助っ人を連れてきたぜ。精霊使いユーラシアだ」

「こんにちはー」

「ユーラシアさんというと、あの有名な?」

「そう、美少女として有名な」

「おい、美少女よりも、いい性格が前に出過ぎだぞ?」

「どっちをウリにするのがいいかなあ?」


 あたしも有名になったもんだ。

 三〇男が大丈夫かコイツみたいな顔してるけど。


「悪いがもう一度説明してやってくれ」


 つまり両側に出入り口があるトンネルみたいなダンジョンがあり、中に魔物が生息しているってことらしい。

 向こう側にも集落があるので、片方から討伐を進めると、向こうに魔物を押し出してしまって都合がよろしくない。


「なるほど、両側の出入り口から攻めてくから、あたしに夕御飯を奢るってことか」

「夕御飯はこの際関係ねえんだ」

「夜稀にしか魔物が集落に出てくることはなく、実害はほぼないんですが……」

「気味悪いだろ?」

「うん。両側の入り口塞いだらどう?」

「そんなんでクエストクリアの条件になるのならな」


 なるわけないわなあ。


「じゃ、片っぽ塞いどいてもう片っぽから攻めるのは?」

「中に住み着いてる一番の大物はレッサーデーモンらしい。岩や土で塞いどくのと美少女精霊使いで塞いどくの、どっちが安全だと思う?」

「ダンも考えてるんだなあ。りょーかいしたよ」


 レッサーデーモンは魔境ワイバーン帯に住む魔物だ。

 例えばカイルさんと二つのパーティーに分けて挑んだとするなら、かなり危険。


「デーモンって暗いところが好きなのかな? 魔境であんまり遭わないのもそのせい?」

「かもな」


 三〇男が言う。


「魔物が外からやってきたのか、中に発生源があるのかわからないんです」

「発生源かは知らんが、中に何かあるから魔物が住みつくと考えるのが自然だろ?」

「うんうん。こんな人里近くの洞窟にレッサーデーモンがいるなんて相当おかしい」


 比較的大きい洞窟に思える。


「で、一方の入り口がここってことね」

「歩いて一〇分ほどのところにもう一方の入り口があります。知られている限り、普通に歩けないような狭いところはないです」

「俺らが向こう側から入る。ユーラシアは一〇分経ったらこっちから入ってくれ。中に分岐はないって話だが、言い伝えレベルなんで実際のところはどうかわからねえ。分岐があったら止まって、少なくともこっちの集落に魔物を出さないようにしてくれ」

「オーケー。ダンのほうが心配だから、ヴィルついて行ってあげてくれる?」

「わかったぬ!」


 間違ってグレーターデーモンクラスの魔物がいたとしても、ヴィルがいれば逃げるくらいできるだろ。


「助かるぜ。ヴィル、よろしくな」

「よろしくだぬ!」

「では一〇分後、よろしくお願いします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ