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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第447話:『強欲魔女』を丸め込む

 ポカンと口を開けたままのマルーさん。

 口の中に埃が入るよ。


「んーでも魔宝玉なんだから、売れば結構なお金になるんじゃないの?」

「誰が鳳凰双眸珠や雨紫陽花珠を買えるんだよ! 冗談お言いでないよ!」

「だろうなーとは思った」


 買える人いないってのも同意だけど、あれだけの数放出したら、相場ガタ落ちで大損だろうしな。

 マルーさんはがめついって話だったし、損するようなことはやんない人だろ。

 魔宝玉市場がどんなもんか知らんけど、相場が壊れるのはよろしくない。

 そーゆー意味ではマルーさんが持っててくれると安心。

 あたしも追い込む気はないので、自暴自棄になって手持ち魔宝玉を放出することもあるまい。


「ばっちゃんは何で高級魔宝玉が欲しかったの?」

「魔宝玉は単純に奇麗だろう?」

「わかる。種類で個性があるよね」

「黄金皇珠なんかは縁起物で引きはあるしねい。十分鑑賞して、見飽きたら転売すればいいと思ってたんだよ」


 バカげた依頼だと思ってたけど、案外動機は真っ当だったでござる。


「黄金皇珠だけが目的だったの?」

「いや、可能なら黄金皇珠以上の魔宝玉も拝んでみたかったねい。でも納品期限を一ヶ月にしてたろう? ムリだと思ってたよ」

「だったら一個か二個依頼してくれればよかったのに」

「どの口が言うんだい! 正当な依頼料払えるかどうかがわかんないって煽ったのはアンタだろうが!」

「親切のつもりだったのになー」

「誰が三〇〇も持ってくると思うんだよ!」

「えー結果を出したのに文句言うってひどくない?」


 血圧上がるよ?

 マルーさんに柿の葉茶を勧める。

 ふー、ホッとする味だな。


「ごちそーさま。おいしかった!」

「……アンタは最初からあれだけの数を集める自信があったのかい?」

「あるわけないじゃん。最初は全然集まんなかったし。ウィッカーマンを倒せるようになってからだな、集まり始めたの」

「えっ? ウィッカーマンって、あのドラゴンスレイヤー三人がかりでも全然力及ばなかったという……」

「知ってるんだ? ウィッカーマンを倒せれば、魔宝玉クエストで満足できる結果を残せるかもしれないって教えてもらってさ。結局今回のクエストではメインターゲットだったね」


 マルーさんが呆然とする。


「ウィッカーマンはヒットポイントがイビルドラゴンくらいあるんだ。一ターンで倒すのメッチャ大変で、かなり試行錯誤したよ」

「……」

「でもウィッカーマンね。黄金皇珠を絶対落として、レアドロップが羽仙泡珠、スーパーレアが鳳凰双眸珠なんだ」

「……」

「この一ヶ月すごく楽しかった。ばっちゃんが個数無制限って条件をつけてくれなかったら、こんなに楽しめなかったよ。ありがとう!」

「ふっ」


 含み笑いをし、肩を上下させるマルーさん。


「……なるほど。これが精霊使いユーラシアかい」

「美少女精霊使いだってばよ」


 マルーさんがせいせいした表情で言う。


「わかったよ。アタシの負けだ。何をすればいい?」

「マルーさんに教えてもらいたいことがあるんだ。でもそんなに気にしなくていいよ。実力者に貸しを押しつけるのは、あたしの趣味だからね」

「え?」


 キメ顔を見せておく。

 初めて心配そうな顔になるマルーさん。


「ばっちゃん家、カトマスにあるんでしょ? あたしもカトマス行きの転送魔法陣出たから、近々遊びに行くよ。明日の午前中大丈夫かな?」

「あ、ああ。じゃあ待ってるよ。ごちそうさん」


 転移の玉を起動し消えるマルーさん。

 あれ? マルーさんも『アトラスの冒険者』だったのか?


「すげえ、『強欲魔女』を丸め込んだぜ!」

「いいもん見た。精霊使いはさすがだな」


 やじ馬が言うけど、そんなんじゃないのになー。


「面白かったぜ」


 ツンツンした銀髪の男がニヤニヤしている。


「不安がらせて帰すとこなんざ最高だ」

「ダン。依頼者がわかったのって、やっぱカトマスは遠いから?」

「まあな。レイノス納めなら前日でいいはずだし、カトマス以西にこんなバカげた依頼出せる金持ちは、あのクソババアしかいねえ」

「ふーん」


 ダンも金持ち事情をよく知ってるのな。

 情報屋だからか。


「ユーラシアさん、ちょっとよろしいですか?」


 おっぱいさんだ。

 何だろ?

 依頼受付所へ。

 ダンもニヤニヤしながらついて来るがな。 


「満額受け取れないユーラシアさんには申し訳ありませんが、ギルドとしては違約金含め、ゴッソリ毟り取ることができました。ありがとうございます」


 ツヤツヤしてるおっぱいさん美人。


「サクラさんはカトマス出身なんだ?」

「はい。昔からあの魔女はお金のことしか頭になくて、村中の嫌われ者なのです」

「アンセリも似たよーなこと言ってたな。カトマスでは成人になると必ずマルーさんに鑑定してもらうけど、金額が法外だって」

「私も見てもらったときに言われました。『巨乳』以外の固有能力を発現させたかったら金を払いなって」

「何それ? その無敵な固有能力あたしも欲しい」


 いや、おっぱいさん能力持ちじゃないから冗談だってわかるけど。

 あれ? ちょっと待てよ?

 内容からすると、マルーさんって固有能力が発現する条件までわかっちゃう人?

 すごくない?


「『強欲魔女』は生理的に嫌で嫌で。いつか仕返ししてやりたいと考えていたんです」

「そ、そお?」


 ヤバい。

 おっぱいさんから闇が噴き出してきた。

 明らかにおっぱいさん喜んでるんだけど、こーゆーのはどうやらヴィル好みの感情ではないらしい。

 あたしに隠れようとするがな。

 よしよし、ぎゅっとしてやろうね。


「ユーラシアさんの仕事は完璧でした! 魔女のあんなにイライラしている様子も、あれほど不安げな後ろ姿も初めてです。本当にありがとうございました!」

「う、うん」


 すげー熱烈な握手されたけど。

 まあおっぱいさんが喜んでくれたならいっか。

 インタレスティングなクエストをこなしたと同時に善行を施したと思えば。


「ところでマルーさんって『アトラスの冒険者』なのかな? 転移の玉持ってるみたいだけど」

「いえ、『アトラスの冒険者』の名簿に名はありません。当ドリフターズギルトを設立した時の、出資者の一人であったと聞きます」

「出資者だったのか。了解」


 『アトラスの冒険者』ではないのか。

 でもレベル結構あったっぽいし、どこかで冒険者してたんだろうけどな。

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