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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第444話:援護してちょうだい

「具体的な配置はどうなりますか?」


 ソル君にしては緊張気味の顔で聞いてくる。

 戦う男の顔だね。

 悪くないよ。


「レイノス東はラルフ君パーティーに任せるつもり。あっちは上陸できる範囲が狭いから、『フライ』で監視して、もし帝国工作兵が上陸する気配があるなら上空から攻撃しろって言ってあるんだ。ドンパチ始まれば海の一族が黙ってないだろうから」

「な、なるほど!」


 アンが納得する。


「もう一人エルマって子知ってるかな? 新人なんだけど、未成年だから出身地のカラーズに置いとく。カラーズにはあたしが上級冒険者くらいまでレベリングした人が一五人以上いるし、聖火教の聖騎士とハイプリーストも合流予定なんだ。もし帝国の工作兵に上陸されても持ち堪えられそう。粘ってりゃエルマなりラルフ君なりの連絡で、ギルドから応援出せるから大丈夫でしょ」

「色々手を打ってるんですねえ」


 感心するセリカ。

 できることはやっとかないとね。


「あとは少数の待機組をギルドに残して、『アトラスの冒険者』は西域に派遣だねえ。エルマもギルドに待機させて、情報次第でカラーズに帰らせるのがいいか。向こうの工作兵も各個撃破が怖いと思うんだ。ある程度まとまって行動すると思う。敵を発見したら無闇と交戦せずに場所と人数をギルドに報告、それで対策練ればいいんじゃないかな?」

「わかりました。ギルドの基本方針として申し伝えておきます」


 頷くオニオンさん。

 よろしくお願いしまーす。


「オレ達も西域ですね?」


 ソル君の視線を受け止める。


「いや、とりあえず待機組で」

「「「!」」」


 驚くソル君パーティー。


「どうしてですか!」

「今回の戦いで、放っとくと一番被害が大きくなるのは空飛ぶ軍艦なんだ。そいつをどうにかしようとすると、やっぱレベル九九の『フライ』の使い手がいるうちのパーティーが担当しなきゃなんだよねえ」

「空中戦する気ですか!」

「補給のために降りてる時襲撃されるのは、向こうも想定内で対策してるでしょ。でも飛んでる時攻撃されるのは、さすがに考えてないんじゃないかな。空中戦は選択肢の一つとして考慮しとくべきってことね。ただ銃で狙い撃ちされると近付けないんだなー。帝国の火薬や兵器ってすごいらしいじゃない?」


 オニオンさんが頷く。


「ドーラの比ではありませんね。貿易でも火薬や兵器の類は一切入ってきません。よってドーラでは魔法が進歩したという側面はありますが……」

「だからオレ達に援護しろと? あっ、『スキルハッカー』の習得枠を一つ空けておくというのは……」

「不思議と繋がってきたねえ」


 おいおい、君達尊敬の瞳を並べるんじゃないよ。

 照れるぜ。


「我達はギルドでユーラシアさんをお待ちしてればよろしいのですね?」

「お願いしまーす。それからこれはカンじゃなくて根拠のあることなんだけど、おそらくあたしらの戦場は……」


 驚愕が広がる。

 心して待て。


          ◇


「サイナスさん、こんばんはー」


 毎晩寝る前恒例のヴィル通信だ。


『ああ、今日は御苦労だったね』

「楽しかったよ。特に『フライ』で飛んでる時のサイナスさんは笑えた」

『やめろ。本当に懲りた。人間は足元が不安定な感覚に慣れちゃいけない。神への冒涜だ』

「いつからサイナスさんは神様を信じるようになったのよ? どうせなら汎神教の地母神だというユーラシアを信じるといいよ」

『名前からして信用できない』


 おいこら、何てことをゆーのだ。

 名前だけで信用できるの間違いだろーが。


「飛行魔法は慣れさえすればきっと楽しいと思うけどなー」

『まことにもって楽しくない。慣れる必要なんかない』


 保守的だなあ。

 青の民族長セレシアさんもだけど、高速『フライ』はダメな人はダメみたい。


「掃討戦跡地では十分米も作れそう」

『うん。見る限り、クー川の水が土手を超えて溢れてくることはなさそうだ。将来的に重要な居住地であり、穀倉地帯になるね』

「あっちで人口増えるとカラーズも潤うねえ」

『ハハハ、そうだね』


 一瞬の沈黙の後、サイナスさんが言う。


『海水を転移してくるという製塩のアイデア。前から考えていたのかい?』

「いや、あの場での思いつきだよ」

『すぐ思いつけるんだなあ』

「ただマルーさんの地中の魔力を吸い集める技術は、前から欲しいと思ってたんだよ。色々自動でできそうで便利でしょ?」

『うん?』

「転移石碑にも使われてる黒くて硬い石、黒妖石って言うんだ。魔力を溜められる特徴があるんだよ。使用に足るデカいやつはなかなかないんだけど、おゼゼできたら買うって、五つ予約してあるの」

『思ったより入れ込んでると知ってビックリだよ。でも相手は『強欲魔女』だろう? 大丈夫かい?』


 心配してくれてるみたい。


「デス爺にマルーさんのこと聞いたら、一生知り合いになぞならないほうが幸せって言ってたんだよ。その話をコルム兄のパワーカード製作の師匠アルアさんにしたら、デスさんにしては不見識だねって」

『へえ、『強欲魔女』を評価してる人もいるのか』

「来世も再来世も知り合いにならないほうが幸せだってさ」

『ひどい話だなあ』


 サイナスさんが呆れとるわ。


「マルーさんに好意を持ってる人がいないんだよね。だからあたしすごく興味あるんだ」

『どうして『だから』なのかなあ?』

「実力あるってことはデス爺も認めざるを得ないんだよ。でも毛嫌いされてるの。すごくない?」

『何が君の琴線に触れるのかわからない』

「いずれ会ってみたいなー」

『十分注意しろよ?』

「うん」


 皆が注意を促してくる。

 マルーさんが実力者であることは間違いないのだ。

 付き合える人かムリかは、会ってから決めりゃいい。


『明日は資材運びか。君のとこのメンバーは全員参加か?』

「いや、あたしとクララで行こうかなと思ってる」

『一応マジックウォーターを持ってくのがいいと思う』

「ちょうど一ビンあるから、持っていくよ」

『今日はお終いか?』

「うん。サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日は小屋作りのお手伝いだ。


「秘密基地みたいでワクワクするなあ。童心に帰るね」

「きっとユー様はいつまでも童心を忘れませんよ」


 童心イコール、エンタメを乞い願う心かな。

 さて、寝よっと。

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