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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第441話:ピクニック

 本の世界から帰宅後、クララがコブタマンを捌いてお肉にしている間に連絡だ。

 赤プレートに話しかける。


「ヴィル、聞こえる?」

『聞こえるぬ!』

「パラキアスさん、どこにいるかわかるかな?」

『ちょっと待つぬ』


 この間がもどかしい。

 花の命は短いのに。

 まあヴィルだからこそ、ほんの数十秒でパラキアスさんを見つけるなんて離れ業ができるわけだが。


『見つけたぬ! 西域からおそらくレイノスに戻る途中、カトマスの近くだぬ』

「話しかけても大丈夫そう?」

『一人だから大丈夫だと思うぬ』

「じゃ、繋いでくれる?」

『わかったぬ!』


 ヴィルは本当にいい子だなー。


『パラキアスだ。ユーラシアだな?』

「そうそう、美少女精霊使いユーラシアだよ」

『何か新しい情報が入ったか?』

「うん。本の世界のマスターからの情報ね。帝国は八艦からなる艦隊を首都メルエルの外港タムポートに集結、補給物資もほぼ積み終わって出航間近だって」

『八艦か、大体予想通りだな』


 八艦って予想通りなんだ?


「それからこれが秘密兵器だろうと思うけど、空を飛ぶことのできる大型軍艦が完成したそーな。こいつ魔道結界により外部からの魔法攻撃を無効にするって」

『魔法攻撃無効の大型飛行軍艦?』

「砲撃の届かない高々度を飛行して爆撃してくるよ。もちろん普通の軍艦並みの砲撃銃撃も可能だって」


 唖然としてるのが通信越しに伝わるわ。


『……帝国はとんでもないものを造り出したな。一艦だけか?』

「うん、試作機一艦だけ。成果を上げれば量産化の計画もあるって」

『ふむ、ドーラ戦では一艦のみと。その大型飛行軍艦について、他にわかっていることはあるか?』

『帝国本土からドーラまでは飛び続けられるけど、燃料満タンでも往復はできないって」

『ほう、補給は必須か』

「で、現在積んでる燃料からすると、ドーラに来るのさえムリじゃないかってことなんだ。パラキアスさんどう思う?」

『大方どこぞへ試験的に投入されるんだろう。十分な戦果を上げれば、レイノスに爆弾の雨あられだ』

「これで兵士を運んで上陸させるってことはないかな?」

『ないな。一艦で運べる兵士の数はたかが知れてる。空を飛んでいてこそ無敵なのに、地理もわからんドーラに着陸して弱点を晒すなんてことはしないだろう』


 うむ、パラキアスさんもあたしと同じ見解だな。


「パラキアスさん、西域を回ってたんでしょ? 西はどーなん?」

『とりあえず敵に回ることはなくなった』

「え?」


 マジで西域が敵になる未来があり得たのかよ?


『バルバロスは常識の通用しないやつなんだ』

「えーと、じゃあ『アトラスの冒険者』は西域守備でいいんだよね?」

『ああ。通常通りレイノスに食料を売るのは、西域守備が条件だと』


 パラキアスさん苦々しげですね。

 『西域の王』バルバロスという人も、ドーラの首脳とは違った考えを持っているんだな。

 とゆーかバルバロスさんは西域が大事で、戦争に巻き込まれたくないっていうことなのかもしれない。 


『二、三日中にもオルムスの名で通達が行くが、その前に君、ギルドの職員にこれ伝えておいてくれ』

「わかった」

『情報感謝するよ。レイノスに着くまでに思考を整理できる』

「パラキアスさん、またね。じゃあヴィル、通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 よーし、こっちはこれでオーケー。

 さて、ピクニックだ!


          ◇


「八時出発だとすると、もうかなりクー川に近いところまで行ってるかも」

「そうでやすねえ」

「ダンテ、よく見ててね」

「イエス、ボス!」


 クララの高速『フライ』で一行を追いかける。

 一番目がいいのはダンテだが、何せこっちの移動スピードが速いから見逃しそうなのだ。


「いたっ、山側!」


 おお、手振ってるね。

 向こうもあたし達がわかったらしい。

 フワリと着地、と。


「お待たせ、お肉持ってきたよ!」

「おお、すまんな」


 黄の民族長代理のフェイさんだ。

 もう二人黄の民がついて来ている。


「とりあえずクー川まで行くんだ?」

「うむ、米を作るならば川の側がやりやすい」

「だよね。でも大雨降った時に氾濫するところだといけないから、地形見ながら判断しないと」

「それよりも基地の場所を決めたいのだ」

「基地?」


 一々村まで帰ってくるのは大変だから、寝泊りできる基地が欲しいとのことだ。

 米作りの際にも人員が常在する場所になると。


「ははあ、なるほど。掃討戦の時に奇麗な水の湧く沢があったよ」

「何? どこだ?」

「山沿いの、ボスのいたところよりもかなり東だった。クララ、覚えてる?」

「はい」

「『フライ』で飛ばして」

「はい、フライ!」


 クララお得意の高速『フライ』で、あっという間に現地へ。


「これは見事な技だな!」

「心臓がバクバク言うんだが」


 族長代理と族長の異なる感想。

 まったくサイナスさんはヘタレなんだから。


「青のセレシアさんを高速『フライ』で運んだ時は、何語だかわかんない言葉で大絶賛だったよ。興味本位で聞いたら悲鳴語って言ってた」

「ユー姉、それは万人に共通」


 アレクは割と冷静だな。

 あたしの言うことを信用してるんじゃなくて、クララの技を信頼してたんだろうけど。


「ふむ、飲用に足るな。井戸を掘るまでの繋ぎに用いるには十分だ」


 サイナスさんとフェイさん、アレクが地図を確認している。


「クー川にも近い。理想的だ。ここに基地を設置しよう」

「具体的にはどうするの?」

「まず木材を運び、小屋を作る」


 ここまで木を運ぶの?

 黄の民の村から?

 大変じゃね?


「クララ、ここまで木材運べる?」

「何回かに分ければ大丈夫だと思います」

「ごめんね、手伝ってもらえる?」

「はい、もちろん」

「おお、助かるぞ!」


 フェイさん大喜びだ。

 米作りは輸送隊に次ぐ、カラーズ内の大きな共同事業になりそうだからね。

 あたしもできることで協力するよ。


「いつがいいのかな?」

「早いほどよい」

「ダンテ、明日天気どうだろう?」

「グッドね」

「じゃあ明日で」

「よし、明日朝までに、運ぶ資材と人員を緩衝地帯に揃えておく。それを運んでくれるか?」

「うん、わかった」


 明日は山小屋造りのお手伝い、と。

 フェイさん指揮下の黄の民は建物建てるのメッチャ速いって、醸造ラボ建築の時にピンクマンが言ってた。

 あたしも見ることができそーだな。


「お昼にしようよ。お肉だぞー」

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