表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

435/2453

第435話:マジックウォーターを買い込んでおく

 ミスティさんの瞳に焦りの色が見える。

 情報も入ってこないとなると、自分の下した判断の是非さえわからんしな。

 ちょっと肩の荷を軽くしてやんよ。


「今日はどう守るかについて相談しに来たんだよ。レイノスより東は、西に比べて襲撃される可能性は遥かに低いと思う。でもないわけじゃない」


 ミスティさんが頷く。


「ここにも聖騎士やハイプリーストはいるけど、戦力として計算できるのは数人でしょ? 非戦闘員の数が多いから、万一帝国工作兵部隊に襲われたら人的被害が大きくなっちゃう。かといってレイノスは遠過ぎる。帝国軍が攻めてくるならレイノス方向からだし」

「カラーズに合流しろ、と?」

「そゆこと」


 理解が早いね。


「でもカラーズにも戦力なんて……ユーラシアさんがカラーズに?」

「いや、あたしはカラーズにいられないんだけど、今カラーズ~レイノス間の交易を進めているんだ」

「……交易が始まったことは存じておりますが」


 首をかしげるミスティさん。

 交易どうのこうのじゃ何のことかわからんだろうな。


「交易に携わる輸送隊を鍛えてるの。盗賊や魔物に備えるぞーって。カラーズにはレベル三〇以上が一七、八人いるんだよ」

「えっ、そんなに? どうやって?」

「魔境に連れていって共闘して強制的にレベル上げるとゆー、あたしの得意技があるんだ」


 理屈はわかるだろうけれども。


「レベル三〇って……魔法を使える者も?」

「もちろん。とゆーか固有能力持ちを選別してレベル上げしてるんだ。戦闘は素人だけど地の利はあるから、十分自衛は可能と思うよ」

「驚いた……ユーラシアさんは戦争を見越して?」

「まあ。でも輸送隊員は戦争が起きることをまだ知らないんだ。カラーズで知ってるのは族長クラスだけ」

「いえ、指導者層が把握しているのならば問題はないでしょう」


 ようやくミスティさんが笑顔になる。


「いざとなったら聖火教徒もカラーズに合流するでいいかな?」

「はい、お願いします」

「じゃ、カラーズの族長達にはそう伝えとくね」

「ユーラシアさんの話を聞いてると、何もかもうまくいくような気がしますねえ」

「困ったことに、皆があたしを能天気扱いするんだよ。努力が正当に評価されないのには物申したい」


 二人で笑い合う。


「トップがしょぼくれてちゃ信徒達が道を見失うでしょ。ミスティさんはニコニコしててよ」

「はい。彼の日までに、私がやっておかなければいけないことはあるでしょうか?」

「特には……マジックウォーターを買い込んでおくくらい?」


 再び二人で笑い合う。

 もう準備できてるんだろ。


「ユーラシアさんは何でも御存じですねえ」

「買いかぶりだよ」

「……ユーラシアさんでもおそらく知らされていない事実があるんです」

「え?」

「戦争に直接関係あるんですけど、今知らなくていいことですから」


 戦争に直接関係あって今知らなくていいこと?

 何だそれ?


「戦後、当礼拝堂へいらしていただけますか? 私の知っていることは全てお話します」

「わかった。必ず」


 どうやら今話してくれる気はないらしい。

 楽しみが残ったのかな?


「じゃ、あたし帰るね」

「ええ、お気をつけて」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「サイナスさん、こんばんはー」


 夕食後、寝る前に恒例のヴィル通信だ。


『うん、こんばんは』

「お昼にイシュトバーンさん家で食事会だったけどさ。あんまり面白いことなかった」

『ハハハ、君を面白がらせるための集まりじゃないだろう』

「誰かエンタメ会を開いてくれないかなあ」


 心から思うわ。

 どーゆーわけかあたしはエンターテインメントを供給する側なんだよな。


『首尾はどうだったんだい?』

「まあまあ。イシュトバーンさんも機嫌良かったし。輸送隊員よりフェイさんを紹介できたことが一番の収穫だった気がする」

『成功じゃないか』

「そーとも言う」


 イシュトバーンさんの目は、お団子副隊長にまた会わせろって語ってたわ。

 けどまあスルーするとして。


「フェイさんに緑の民の状況をちょっと伝えといた。輸送隊員達がいたから詳しいことまでは話せなかったけど」

『いや、助かるよ』

「その後ミスティさんに会ってきたんだ」

『聖火教大祭司の?』

「うん。パラキアスさんから何か新しい情報を聞いてるかと思って」


 見込みは外れたけどな。

 いや、ミスティさんに情報を伝えられたことはよかった。

 今からパラキアスさんが礼拝堂まで出張ってくるのは難しい気がするし。


『ユーラシアはちょこまか動くなあ』

「小動物みたいに可愛いって?」

『そういうのいいから。で?』

「一ヶ月くらい前に、ヴィルをパラキアスさんに紹介したことあったじゃん? あの時パラキアスさん礼拝堂泊まりだったはずなんだけど、以降連絡取れてないみたいなんだよねえ」

『ということは、ミスティ大祭司は情報を持ってない?』

「あたしの知ってることは話した。で、もし戦争の時襲われるようならカラーズに合流しろって言ってきたから、これもフェイさん帰ったら伝えといてくれる?」

『わかった。しかし聖火教に情報が回ってないのは意外だったな……』


 うむ、パラキアスさんとミスティさんは近いって話だったのにな。

 開戦の時期が早まったからだろう。

 パラキアスさんはより重要な西域に手を取られていると思われる。


『礼拝堂北の整地区画ってどうなんだ?』

「あ、ごめん。これ前行った時に聞いたんだったけど、報告してなかったね。何を作るかは言ってなかった。でもカラーズが店作るんでもバッティングしないから構わないってよ。道挟んだ礼拝堂の向かい側を使ってくれって』

『どっちにしろ交易始まったから、先の話になるな』

「順番変わっちゃったねえ」


 宿や食堂のノウハウを蓄積するのにいいから、重要だとは思う。

 でも残念ながら今は手が回らない。


「カラーズは何かない?」

『特にないな。ハヤテが遊びに来てたくらい』

「アハハ。ハヤテが楽しそうでよかったよ」

『以上か?』

「以上だね。今まで関わってた、魔宝玉納めるクエストが終わっちゃったんだ。明日から暇なんだよなー」

『ゆっくり休んでもいいじゃないか』

「退屈だしなあ。サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日はバエちゃんとこでも行こうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ