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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第43話:何を言っているのかわからねーと思うが

 フイィィーンシュパパパッ。

 チュートリアルルームに到着だ。


「ユーちゃん、いらっしゃーい」

「あたしが来た!」

「あっ、ユーラシアさん。こんにちは」


 やったぜラッキー!

 ソル君がいる。

 ギルドまで行ければパーティーを組めることを教えてやろう。


 バエちゃんが嬉しそうに言う。


「ソール君ねえ、二つ目のクエスト完了したんだって」

「おめでとう! 順調そうでよかった。『ハヤブサ斬り』使えてる?」

「はい、連発してますよ」


 『ハヤブサ斬り』はあたしが教えた、二連続で攻撃を放つスキルだ。

 少なくとも序盤で有効なのは、自身の経験からわかっちゃいるが。


「仲間がいないのは厳しいですね。群れを相手にすると特に」

「群れを相手にしちゃいけないね。ところで仲間がいないとお嘆きのソル君に朗報でーす! ドリフターズギルドにはソル君の仲間になりたがってる人がいまーす!」

「よかったわねえ、ソール君」

「えっ? どうして……」


 ソル君が困惑気味だ。

 わからんでもない。

 自分が素人冒険者であることを自覚してるし、『スキルハッカー』で有名だってことは知らないだろうからな。


「『スキルハッカー』の固有能力持ちが『アトラスの冒険者』に加入したって噂が、ギルドで広まってるんだ。ソル君と同い年の女の子二人がぜひ仲間にして欲しいって。一人が白魔法使いのアーチャーで、もう一人が雷と氷の二系統の魔法使い」


 バエちゃんがちょっと驚く。


「後衛職二人は貴重ねえ。しかもヒーラーの務まる弓使いと、二系統使える魔法使い? ソール君とパーティーを組むことを考えたら、これ以上ない才能じゃないかしら」

「いや、もったいないです。オレなんか見たら幻滅するんじゃないですか?」

「大丈夫! 今は可愛い系の少年だけど将来絶対イケメンになる。うまく育成できるかはあんた達次第だって煽ってきたから!」


 ソル君はどん引きしてるのに、バエちゃんがのどやかに言う。


「あはははは、ユーちゃんたら冗談ばっかり。で、本当のところは?」


 ちっ、バエちゃんめ。

 自分が当事者じゃないと案外冷静だな。


「彼女達は冒険者稼業が日常の村カトマスの出身でね。有り体に言えばあたしやソル君より、よっぽど戦い慣れしてる。魔法系固有能力からして当然なんだけど、村でも相当期待されてるんだって」

「女性で冒険者を志すくらいです。やっぱりすごいですね」

「でも『アトラスの冒険者』には選ばれなかったんだ。望んでたみたいだけどね」


 ソル君のどん引き面がいつの間にか引き締まってる。


「彼女達も他の冒険者のパーティーにお試しで入れてもらったりしてる。でもやっぱり年齢のせいで、それに女の子だからってこともあると思うけど、能力に相応しい役どころを任せてもらえないんだよ。かといって『アトラスの冒険者』じゃないから、自由に飛び回ってクエストをこなすこともできない」


 バエちゃんまで神妙に聞いてる。


「ソル君の状況も話した。チート能力持ちではあるけど、経験の浅い冒険者だから今は弱いよって。でも彼女らは、『スキルハッカー』という伸び代のあるソル君がいいんだって。ともに往くリーダーは自分で決めたいんだと」


 一呼吸置く。

 ひとつとしうえのおねーさんのつむぐひっさつのせんてんす、しょうねんのげんごちゅうすうをつらぬけ!


「ソル君は『アトラスの冒険者』だ。彼女らの持ち得ない翼と稀有な素質を持っている。彼女らを誰よりも遠くへ連れていってやれる可能性があるのはソル君なんだよ。どうする? 君はその期待に応えないのかい?」


 金髪の少年が破顔して答える。


「よくわかりました。そのお二人に会うこと、楽しみにしてます! パーティーを組んでくれるというなら喜んで!」

「よく言った!」


 やっぱ決断が早いよなあ。

 ソル君の一番非凡なポイントは決断力かもしれん。

 こらそこのなんちゃって聖職者。

 どこに萌えポイントがあったか知らんがクネクネすんな。


「バエちゃん、ソル君はいつ頃ギルドに行けそう?」

「ケースやレベルによるんだけど、チュートリアルルーム以降で二、三個のクエストを完了したらギルド行きの『地図の石板』が出るのよ。ソール君の場合は残り一つね。前の二個がバトルだったから、次は毛色の変わったクエストになると思う」


 あたしらも三つ目のクエストはアルアさん家だったな。

 なるほど、ちょっと傾向の違うクエストだったわ。

 どーしてバエちゃんは前もってそーゆーこと教えてくれなかったのよ。

 聞かれなかったから?

 かもしれんけど、新人に対して不親切過ぎない?


「では、オレはこれで失礼します」

「さようなら」「またねー」


 フイィィーン。

 ソル君が転移の玉で去っていった。


「ユーちゃんの説得は悪魔的に上手ねえ。何で固有能力に表示されないのかしら?」

「さあ?」


 知らんがな、としか。


「ユーちゃんはドリフターズギルドまで行けたのね?」

「行った。説明が難しいんだけど、三つ目と四つ目のクエストが続きみたいな感じで、ギルドへの石板もギルドでもらった」


 何を言っているのかわからねーと思うが、ありのまま起こったことを話しているのだ。

 アルアさんのクエストを終えたあと、ギルド行きの石板が海岸に来てたのかは永遠の謎だな。

 まさかギルド行き転送魔法陣を二つ寄越すよーなムダなことはしないだろうし。


「おめでとう。クエストは四つクリアになるのかしら?」


 さすがバエちゃん、華麗にスルーだ。


「うん。三人目の精霊がメンバーになったから、明日の夜に来るね。お肉持ってくる予定だけど、取れなかったらごめん。どっちにしても材料は揃えてくるから鍋しよう」

「肉、楽しみい」


 魚もおいしいっすよ。

 今日の夜は魚なんだ。


          ◇


 家に戻ったら大量の魚だった。

 何を言っているのかわからねーと思うが、ありのまま起こったことを話しているのだ(本日二回目)。


「どーしたの、これ?」

「いや、あれからもう一度海岸へ行ったんでさあ。姐御の言う通り、大量の魚が打ち上げられていやして」


 で、皆して干物作りか。

 ダンテの氷魔法で冷凍しとく手はなかったのかと言おうとして気がついた。

 極大魔法撃ってマジックポイント空っけつだったわ。


「わかった、あたしも海行ってくる!」

「「えっ?」」「ワッツ?」


 魚肥作っとくんだよ。

 滅多にないチャンスだからね。

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