表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

429/2453

第429話:寂しんぼで甘えんぼ

「ただいまー」

「お帰りなさいませ」


 クララの全速『フライ』でベースキャンプまで戻ってきた。

 行きも人形系パラダイスまで飛んできゃいいだろうって?

 もっともではあるんだけど、ルーティンワークってやつがあるじゃん。

 お喋りしながらザコを倒しながら素材を拾いながら、人形系レアと戦う気持ちを高めていくんだよ。

 崇高なエンターテインメントに対するながら作業……儀式みたいなもん。


「明日からは魔境に来る頻度減っちゃうと思うんだ」

「魔宝玉クエストの締め切りですね? 寂しくなりますねえ」


 オニオンさんがシュンとする。


「あたしも寂しいよ。魔宝玉クエストがなくなったら、何を張り合いに生きてゆけばいいんだろ?」

「ユーラシアさんほどいろんなことに忙しそうな人、他にいないと思いますけど」


 皆は何に忙しいのかな?

 ここのところ病める時も健やかなる時も、常に魔宝玉クエストが寄り添ってくれてたからな。

 病める時なんかなかっただろうって?

 細けえことはいーんだよ。

 長期にわたって楽しめた素晴らしいクエストでした。

 依頼者の人ありがとう。 


「かなり魔宝玉狩りの効率を極めたのになー。今後この技を使う機会がないと思うと悲しい。また誰か魔宝玉好きなだけ持ってこいって依頼出してくれないかなー」

「好き好んで破産したがる人いないですって」

「好き好んで破産したがる人いないかなー」


 アハハと笑い合う。


「これって、あたしが納品した時点でクエスト終了なのかな?」

「いえ、全てを依頼主の元に持っていって終了でしょう」

「じゃあこれがギルド・セットの最後のクエストだとしても、新しい『地図の石板』はまだ出ないんだ?」

「理屈からするとおそらくは」


 さらにつまらんな。

 いや、ギルドセットのクエストが、これで終わりと決まったわけじゃないのか。


「ありがとう。オニオンさん、さよなら」

「御苦労様です、さようなら」


 転送魔法陣からギルドへ。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


 あ、ポロックさんがいない。

 ということは五時過ぎちゃったか。

 換金は明日だな。

 赤プレートに話しかける。


「ヴィル、聞こえる?」

『聞こえるぬ!』

「イシュトバーンさんのところへ行って、通信繋いでくれる?」

『わかったぬ!』


 しばし待つ。


『おう、精霊使い、どうした?』

「ワイバーンの卵三個拾ったから、明日持ってくよ。料理人さんに伝えておいてね」

『ワイバーンの卵ってそんなに簡単に手に入るものなのかよ?』

「うーん、ドロップしろって念じてるわけじゃないんだよね。むしろ探索始めた端に拾っちゃうことが多くて、結構迷惑なんだ」

『高級食材だぜ? 迷惑なんて言ってるのはあんたくらいだ』


 かもしれんけど。


『わかった。あんたが来るのも昼前だな?』

「いい感じにお腹が減ってきた頃に行く」

『ハハッ、用はそれだけか?』

「うん、以上でーす」

『用がワイバーンの卵だけとはつれねえじゃねえか。もっと話してくれよ。エンターテインメントを寄越せ』

「ええ? 何だこの寂しんぼめ、甘えんぼめ」

『寂しんぼで甘えんぼだぜ』

「あたしはイシュトバーンさんの専属オペレーターじゃないんだけど」

『そう言わずによろしく頼むぜ。明日は美味い飯用意させるからよ』


 もーしょうがないなあ。

 おいしい御飯を引き換えにされちゃ断れないじゃないか。

 エンターテインメントを寄越せってのもわからんことはないし。


「歩く練習はしてる?」

『おう、少しずつな。今日は服屋まで歩いたぜ。帰りはおぶってもらったが』

「あっ、すごいじゃない!」

『男の背中は耐えられねえから、すぐに往復歩けるようになると思う』

「理由に悲壮感が漂うね」


 笑い。

 悲壮感ってなんだっけ?


「面白いことに関連して、イシュトバーンさんに聞きたいことがあったんだった」

『オレに? スリーサイズは秘密だぜ』

「誰がそんなもんを聞きたいか。魔境にグリフォンいるじゃん?」

『グリフォンか。ドラゴン帯だな。でも数少ねえんだろ?』

「たまにしか遭わないね。でさ、その羽毛が高く売れるんじゃないかって話なんだけど、どこに売ったらいいかな? お値段高い?」

『グリフォンの羽毛を持って帰れるのかよ? いや、あんたはマンティコアの肉持ってこられるんだったな』

「うーん、羽毛はかさばるから、お肉より面倒と言えば面倒」


 倒し方によっては血だらけで台なしになっちゃうしな?


『昔、強制睡眠を使える強力な固有能力の冒険者がいてよ。眠らせる技を駆使してグリフォンから毟った羽毛を枕と布団の材料にし、一財産築いたって話があるんだ。だから羽毛自体を取り引きしてたんじゃねえんだな。今取り扱ってる業者もねえはずだ』

「そっかー。強制睡眠ってすごいな」


 売れないんじゃ取ってきても仕方ないか。

 自分で布団作る気にはなれないし。


『グリフォンの羽毛は、洗うとすげえふっかふかになるんだぜ』


 イシュトバーンさんが言うほどか。

 興味あるな。

 でも洗うったって難しいんだが。

 どこで乾かせばいいんだ?


『ヨハンに相談してみろ。うまい利用法を思いついて買い取るかも知れねえ』

「ありがとう。そーする」


 ま、これだけ魔境愛に溢れたあたし達なのに、あんまり遭わない魔物だしな。

 グリフォンって。

 気にし過ぎても仕方ないか。


『例の魔宝玉クエスト、明日で終いなんだろ?』

「うん。何か悲しくて」

『オレが心の隙間を埋めてやるぜ』

「いやーん、ユーちゃん困っちゃう」


 笑い合う。


『魔境にはあまり行かなくなるのか?』

「どうだろ? 今までほど行かなくなるのは確かだけど、次にどんなクエスト出るかもわからないから、まだ何とも」


 戦争もあるしな。

 マジで予測が立てづらい。


 ……無事生き残ることができたなら、来年の春から夏にかけて魔境を隅々まで踏査したいものだ。

 食べられる植物、役に立つ植物をチェックしたい。

 魔境にはまだまだ可能性があるから。


「ごめんね。あんまりエンターテインメントっぽい話題じゃなかったけど」

『いや、あんたと話すことがエンタメだからいいんだぜ』


 あれ、あたしって玩具扱いなのかな?

 基準がわからん。


『おう、じゃあ明日は楽しみにしてるぜ』

「あたしも楽しみだよ。イシュトバーンさんじゃあねー。ヴィル、今あたし達ギルドにいるんだ。こっちにおいで」

『はいだぬ!』


 さて、御飯食べていこ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ