第42話:ダンテ君の~ちょーっといいとこ見てみたい!
ギルドから帰宅後、あたし達はテーブルを囲み、今後について話し合った。
「はーい、作戦会議を始めまーす」
パチパチパチ。
三人の精霊達が拍手する。
転移の玉で飛べるのは四人までってことだった。
人数がちょうどいい、パーティーバランスもいい。
すなわちあたしの普段の心掛けがいいからだな。
「やるべきことが急に増えたね」
畑仕事以外に海岸で素材回収と新魔法試し撃ち。
新しい『地図の石板』が来てる可能性も濃厚だな。
ダンテに素材をたくさんもらったから、アルアさん家で換金とパワーカード交換・再編。
『初心者の館』に食べ物を持って訪問すること。
ギルド酒場兼食堂で情報収集……。
「他何かある?」
「イシンバエワさんのところに報告に行くといいと思います」
「あ、そーだった」
新たにダンテが仲間になったからね。
顔見せに行かないと。
「さて、これらの順番を決めよう。次の石板クエストがあったとしても、原則的にこれら全てを終えてからにしまーす」
三人が頷く。
「何か意見は?」
アトムが挙手する。
「パワーカードは慣れもありやす。早めに交換しておくのはどうかと」
「一理あるけど、『初心者の館』や酒場での情報によっては戦術が変わるかもしれない。ギルド行くのが先かな」
「なるほど」
というかパワーカードは、次のクエストの都合に合わせて交換するのがいいんじゃないの?
新クエストが来るなら、チラッと様子だけでも確認するべきなのかな。
ダンテが何でもないことのように口にする。
「明後日からレインが降るね。畑は先にするべきね」
マジか。
「ダンテ、あんた天気がわかるんだ?」
「ウェザーについては任せて」
「じゃあ畑と海で素材採取。あれば『地図の石板』の回収も。それから魔法試し撃ちも海でやればいいから明日ね。タマネギ植えつけはムリだと思うけど、腐葉土の混ぜ込みまではやります」
「「「賛成」」」
「順番からすると、明後日にバエちゃんとこかな」
「バエちゃん、ワッツ?」
「『アトラスの冒険者』の初めての転送先チュートリアルルームの係員だよ。色々説明してくれたんだ。その後何回か行って、進捗を報告してるの」
「精霊親和性かなり高めの姉ちゃんだぜ」
「ええ、心配ないです」
「オーケー」
ダンテが天気予知能力を持つと知れたのは収穫だな。
バエちゃんとこ行くとすると夕方以降だから……。
「明後日の午前中空いちゃうな。『初心者の館』行く?」
「姐御、苔の洞窟行きやしょう。あすこは雨関係ありやせんし、肉……」
「ナイスアイデア! 採用!」
お肉と言われてはね。
反対できない魔法の言葉。
「ダンテ、雨はいつまで続きそう?」
「ツーデイズは降るね。その先はまだアイドントノーね」
となると三日後も雨か。
ドーラは比較的乾燥気味なのに、最近雨多いな。
「ユー様、塩クッキー焼きましょうか」
はい?
「『初心者の館』の皆さんに差し入れできます」
「おー、ナイス! 三日目は塩クッキー焼いてギルドね。で、四日目にアルアさんとこと、天気良ければ畑仕事」
よし、やることは決まった。
「今日はあとダンテのベッドこさえよう。クララは夕食頼むね。以上でーす」
◇
――――――――――一四日目。
午前中に畑仕事をこなした。
よしよし、土が馴染めばタマネギを植えられるなー。
でも明日から雨らしい。
午後、皆で海岸へ行く。
素材と『地図の石板』を回収する。
地響きでダンテがビビってたのは笑った。
あ、ギルドへの転送魔法陣が設置されてるか、まだ見てなかったな。
帰宅したら確認せねば。
次いで食材を確保だ。
「ボス、こんなメソッドがあるね」
ダンテが海に『サンダーボルト』を放つ。
すると魚が浮いてくるではないか!
「素晴らしい!」
「ひょー、あっしが取ってきやすぜ」
「魚があれば今日は貝いらんな。ダンテ、もう一発いける?」
「お安い御用ね」
「あっ? アトム水から上がって!」
どかーん。
魚と一緒にアトムが浮いてきました。
「いやー、ひどい目に遭ったぜ」
「ソーリー、アトム」
アトムをクララの『ヒール』で回復させ、さあ、今日のメインイベントだ!
「はいご注目! ダンテ君の~ちょーっといいとこ見てみたい! 究極魔法『デトネートストライク』の初お披露目です! ダンテ、海に向かってぶちかまして!」
「イエス、ボス!」
強大というより凶悪なまでに集積された魔力が放たれる。
速い! そして遠い!
白い光とともに海面が半円状に弾け飛んだ!
「すげえ……」
ゴワババババババーーーーーーンンンンン!
数瞬遅れて音と衝撃が届く。
何なんこれ?
ヤバい破壊力だわ。
「ペペさんの言ってたことは冗談でもなんでもなかったなー。確かにこれは世界最強の魔法だわ」
他人事みたいな感想を言ってたら、クララの声が飛ぶ!
「ユー様! あれ!」
ん? 波が集まって……?
「津波だ! 逃げるよっ! あっ?」
ダンテが倒れてる!
そうだ、マジックポイントとヒットポイントを使い果たすんだった!
「クララ『ヒール』! こらっ、ダンテ起きろ!」
ダンテを叩き起こし、小高い防砂林のところまで走る。
クララとアトムの足が遅い!
「クララ! アトム! パワーカード起動してっ! 敏捷性強化あるでしょ!」
クララの装備する『エルフのマント』『プチエンジェル』、アトムの装備する『逃げ足サンダル』は、それぞれ敏捷性も高まるのだ。
「そうでした!」「そうでやした!」
「急いで!」
ザバババーン。
間に合った。
干潮で本当によかった……。
味方をも巻き添えにしかねない、シャレにならん威力。
これは……。
「ダンテ。この魔法、あたしが使えって言う時以外は封印ね」
「ラジャー……」
皆で帰路に就く。
今となってみれば面白かったわ。
暴発でもないのに魔法の試し撃ちで死にかけるとか、二度と経験できないことだろうし。
「何がヤバいって、ペペさんの説明に一欠片も誇張がなかったことだな」
「本当に」
「さっきので魚がたくさん浜に打ち上げられるかもしれないねえ。あとで行ってみようか?」
「姐御はメンタル強えなあ」
アトムが苦笑する。
家に着いて、六つの転送魔法陣が順に並んでいるのを確認。
よしよし。
「あたしバエちゃんのとこ行って、明日行くよって連絡してくるね。誰か転送魔法陣の新しいやつの行き先を確認しといてくれる?」
「わかりやした!」
「行ってきまーす!」
ハハッ、洒落にならん威力だった。




