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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第419話:大繁盛過ぎるでござるの巻

 フイィィーンシュパパパッ。


「正義の美少女精霊使いユーラシア登場! こんにちはー」

「御主人!」

「ユーラシアさん!」


 イシュトバーンさん家に降り立つやいなや飛びついてくるヴィル。

 よしよし、いい子だね。

 そして駆け寄ってくる、どう結ってるのかわからない複雑な髪形と青いドレスの背の高い女性、セレシアさん。

 泣き出しそうな顔だ。

 警備員さんも困ってるだろうが。


「服屋よっぽど売れてるんだ?」

「そうなの! とてもいいことなんだけど、品切れが続くと店の評判にも関わるからどうしようかと……」

「飯食ってからにしようぜ。いい知恵も出ねえだろ」

「ありがとうございまーす! ゴチになりまーす!」


 屋敷の中に案内され、すぐ御飯が饗される。

 食べながらの会話になった。


「昨日の新聞記事でな。客がどっと訪れ大わらわだそうな。何とか対応しているが、商品が底をつきそうだと」

「何だ、イシュトバーンさんの絵のせいじゃん。『ドーラ日報』の一面見たぞ?」

「あんたが写生大会やれって言ったんだぜ?」


 責任の押しつけ合いをしていると、セレシアさんがため息を吐く。


「いえ、売れる工夫をしていただいたことは大変嬉しいんです。ただ目先がどうにもならなくて……」

「輸送隊を返したあとのことだから、すぐには村と連絡が取れないだろ?」


 まともにやってちゃ次回の輸送隊で商品を持ってくることを伝えて、そのまた次の輸送隊で運んでくることになる。

 ちょっと困るな。

 迂遠にもほどがある。


「村には在庫あるんだよね?」

「はい」

「ならあたしが取ってくるよ。増産の指示はいいの?」

「ええ、お願いしたいです」


 どんだけ在庫があるのか知らんけど、増産の指示は危険なような気もするな。

 今売れてるのは一時的なブームに過ぎないだろうし。

 ま、いいか。

 売れてるのは確かだし、服は腐るもんじゃないから。


「セレシアさんも一緒に行く?」

「ええと、ひょっとしてこの前のものすごいスピードで飛んでいくやつ?」

「うん」


 残像かってくらいブルブル顔を左右に振られた。

 クララの高速『フライ』は相当懲りたらしい。


「じゃ、ヴィルで向こうと通話できるようにするから、ここで待ってて」

「ヴィルというのは、この子のこと?」

「そうぬよ?」

「うちの偵察係兼連絡係の悪魔だよ」

「悪魔?」

「いい子だよ」

「いい子ぬよ?」

「そうなの」


 色々理解するのを諦めたらしい。

 まあ過度に食いつかれても困るけど。

 イシュトバーンさんがあんまりえっちじゃない顔で笑ってら。


「行ってくるよ。ヴィルはここにいてね」

「はいだぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 クララの高速『フライ』でびゅーんと飛び、カラーズ緩衝地帯へ。

 青のショップへ、と。


「こんにちはー」

「あっ、精霊使いのユーラシアさん!」


 店員達が集まってくる。


「レイノスの店舗の状態はどうなってますでしょう?」

「それを相談しに来たんだ。セレシアさんが困ってる」

「「「えっ!」」」


 心配そうな店員達。

 売れ過ぎて困ってるとはふつー考えないだろうからな。


「ちょっと待っててね。向こうと連絡取るから。ヴィル、聞こえる?」

『聞こえるぬ!』

「セレシアさんに代わって」

『ユーラシアさん!』

「こっちも代わるよ」


 店員達に赤プレートを渡す。

 初日午前までの情報しか入ってないからな。

 あ、喜んでる。

 バカ売れが伝わったか。

 そして一転真剣な表情、メモを取り始めた……。


「ユーラシアさん、ありがとうございました」


 赤プレートを返される。


「用件は伝わったかな?」

「大丈夫です。申し訳ありませんが、青の村まで来ていただけませんか?」

「オーケー、服のストックは村にあるんだね?」

「はい。レイノスまでの運搬をよろしくお願いします」


 青の民の村へゴー。

 考えてみりゃ青の民の村へ行くのは初めてだ。


          ◇


「精霊使いさんには売り子もしていただけたようで。おかげで大ヒットだと、族長も喜んでおります」

「いいんだよ。セレシアさんの店は初めてのカラーズ発のショップだからね、コケてくれると、これからの商展開が難しくなっちゃうから」

「カラーズ全体を俯瞰していらっしゃるのですねえ」

「族長クラスは全員注目してると思うぞ?」


 道々店員と話しながら進む。


「生産体制や材料は大丈夫なんだ?」

「はい、特に問題はないです」

「うーん、でもブームはいつまでも続くもんじゃないからな……」

「は?」

「針子増やし過ぎたり材料買い込み過ぎたりしてもダメってこと。セレシアさんに釘刺しとかないと」


 わかったのかそうでないのか、曖昧に頷く店員。


「レイノス出店は族長の夢でしたから」

「らしいねえ。初めて会った時から言ってたわ」

「精霊使いさんには感謝してもしきれないと申しておりましたよ」

「大変なのはこれからだぞ? 今は初動に成功しただけ」


 戦争とゆー波乱要因もあるしな。

 言わないけど。


「ところで青の民の族長としての仕事は、誰かが代行してるのかな?」

「はい、セレシア様の弟君が」


 へー、セレシアさんには弟がいるのか。


「会っていかれますか?」

「イケメンかどうかチェックしたいけど、向こうの店も急ぎだからね。今日は荷物持っておとなしく帰るよ。次来る時の楽しみにしとく」

「アハハ、そうですか」


 青の民の村の門を潜ってって中へ。

 何だかよくわからない、アートで洒落てる門だった。

 門を通ってすぐ近くにあるのが……。


「え、これが衣料品の倉庫?」

「そうです。器具・材料・製品全て含めた保管所ですけど、大きいでしょう? もちろん中が全部詰まってるわけではないですけれども」


 デカい!

 これもちろんカラーズ内交易が始まる前からあったんだろうな。

 どんだけ服に懸けてたんだよ。

 売れなかったらどうするつもりだったんだ?

 あ、倉庫から人集まってきたな。


「セレシア様から連絡が入った。売れ過ぎて商品が尽きるそうだ。次回出荷分を繰り上げて精霊使いユーラシアさんに運んでもらう」


 喜びに沸く青の民。

 よかったねえ。


「どれ持っていけばいいかな? レイノスでもちょっと距離があるんだ。持ちやすくしてくれると助かるな」

「「「「はい、喜んでー!」」」」


 どこの酒場だ。

 テキパキと大きな八つの包みができあがる。


「じゃ、持ってくね」

「「「「お願いします!」」」」


 転移の玉を起動し一旦帰宅する。

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