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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第417話:魔境ツアー添乗員冥利に尽きる

「美少女精霊使いユーラシア以下一二名、ただ今戻りましたー!」


 時間がもったいないし、最後にもう一つくらいアトラクションを楽しんでもらいたかったので、ピンクマン家からクララの全速『フライ』で緩衝地帯まで飛んだ。

 いやー盛り上がる盛り上がる。

 口々にそのコーフンを語る面々。


「いくつか魔法を習得したんだ。スキルを覚えると、強くなった実感あるぜ!」

「赤いドラゴンが一撃で倒されたの! すごかったわ! すごいの見ちゃったわ!」

「掃討戦の時のボス、人形系の魔物って言うのか? 大した迫力なんだけどよ。経験値にしか見えなくなってくるんだ」

「最後の飛行魔法もとんでもねえスピードだったぜ! あんな魔法があるとはなあ」


 そのコーフンのまま語られる話を、周りに集まった人達がふんふんと聞いている。

 ハッハッハッ。

 お客さんに満足いただけると、魔境ツアー添乗員としては実に気分がいいなあ。

 魔境ツアーは商売にならないかしらん?


「はい、じゃあ残りのメンバー六人行くよー」

「「「「「「はい!」」」」」」


 今の話を聞いてたからか、残りの六人は最初から期待に満ちているというかテンション高いわ。

 魔境ツアー美少女添乗員は大変やりやすいですぞ。


 そっくり同じことを繰り返して、今日魔境ツアーに参加した輸送隊員は全員レベル三一となった。

 うむうむ、いいだろう。

 輸送隊として十分以上に信頼できるレベルであるとともに、カラーズに一大戦力を確保できた。

 たしかなまんぞく。


「はい、皆様お疲れ様でした。今日の経験を生かし、輸送隊の任務に励んでください」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


 あれ、フェイさん何?


「今日の訓練を終えた諸君にプレゼントがある」


 全員に棒が配られる。

 一ヒロくらいの長さの短めの棍だ。


「輸送任務時に携帯し、役立てるよう」


 輸送隊員は全員上級冒険者レベルだ。

 棒術なんか知らなくても、ただ振り回してるだけで結構な威力があるはず。

 そして棍を持ってるだけで強そうに見える、ってのが重要だ。

 ありがたいなあ。

 これでいっぱしの輸送隊だ。


「これにて解散!」


 よーし、終わったぞ。

 今日これから予定入れてないんだよな。

 どーすべ、やっぱり魔境か?

 魔境はうちのパーティーにとってリゾート地ではあるけど、仕方なく行くのは面白くないとゆーか。

 何言ってるかわからない?

 微妙な乙女心を察してよ。


「エルマ、今日はありがとうね。『スナイプ』獲得のクエストは終わったんだっけ?」

「まだです。残り素材数個です」

「もうちょっとだね。次の『地図の石板』が来ると魔境に行けるようになるかも知れないけど、一人で行くならパワーカード七枚揃えてからにしなさい」

「はい、そういたします。あ、お姉さま。今日新しいスキル覚えました。『ストライク五〇』という……」


 え? 名前からすると……。

 ピンクマンが驚いたような顔をしている。


「衝波属性の全体に五〇ダメージずつ与えるバトルスキルですって」

「やっぱそれか!」

「エルマ、『ストライク五〇』はデカダンスまでの人形系レア魔物を簡単に倒せるスキルだ」


 コルム兄に『アンリミテッド』のパワーカードを作ってもらう時、このスキル付きのカードでもいいという選択肢があったのだ。

 どこまで便利なスキルを覚えるんだ、『大器晩成』は。


「よかったねえ」

「いいえ、全てお姉さまのおかげです」


 これでエルマは、魔境行きの『地図の石板』さえ出れば、経験値もおゼゼも安心だろう。

 成長の道筋が見えてるのはやる気になるだろうなあ。

 ま、でも魔境行きは焦んないようにね。


 エルマとピンクマンに今日の魔宝玉の分け前を渡す。


「疲れたなら、ゆっくり休みなよ」

「いいえ、大丈夫です。午後は工房へ行きます。失礼いたします」


 パワーあるなあ。

 フェイさんから声がかかる。


「ユーラシア、少し時間いいか?」

「うん、大丈夫だよ。ピンクマンも来てよ」

「うむ」


 フェイさんとサイナスさん、ピンクマン、あたしのパーティーで、黄の民の村族長宅へ行く。


「さて、御苦労だったな」

「いや、フェイさんこそあの棍ありがとう。格好がついたよ」

「ハハッ。できることくらいはな」


 フェイさんが皆を見回す。


「いきなりだが、半月後には帝国との戦争になるとサイナス殿に聞いたが」


 マジでいきなり来るなあ。

 場を引き締める効果も考えてるんだろうけど。

 ピンクマンが驚く。


「半月後。それほど間近なのか?」

「多分。狂っても数日だと思う」


 フェイさんもサイナスさんも全部話せって顔してるな。

 ならばぶっちゃけてしまえ。


「戦時にカラーズへ回せる戦力はないんだ。こっちが戦場になる可能性は低いけど、万一の場合はフェイさんが指揮を取って、輸送隊の面々とエルマを使って自衛して欲しい。あと、サイナスさんと黒の民族長の姪サフランは回復魔法を使える」


 回復魔法の使い手は、レベル低くても後方に待機してるだけで安心感あるからな。

 他にもいるならチェックしておいてもらいたいが。


「エルマとは、今日レベル上げの手伝いに来てた娘だな?」

「うん。一三歳の緑の民。あの子レベル五〇超えてるし、かなり色々なスキル使えるから、戦時にカラーズにいる人材では最強だな。ギルドに入った情報をカラーズへもたらすという意味でも重要だよ。でも冒険者になってまだ一〇日と経ってないんだ。自分で動くのはムリだから、しっかり指示出してあげてね」

「わかった。ユーラシアとカール殿はカラーズに関われないのだな?」


 あたしとピンクマンが頷く。


「フェイ殿、農作物輸送用の台車は間に合うだろうか?」

「間に合わせよう」


 頼りになるなあ。


「それから、ユーラシア」

「何だろ?」

「三日後のイシュトバーン殿との輸送隊の会合だが、俺も出席して構わぬだろうか? 顔を繋いでおきたいのだが」

「あっ、助かる助かる! ぜひ来てよ。イシュトバーンさんに伝えとくから」


 今のところカラーズの輸送隊とイシュトバーンさんに直接の関わりはない。

 でも将来交易の規模が大きくなると、イシュトバーンさんに仲介してもらうべきケースもあるかも。

 フェイさんが来てくれれば楽できそうだ。

 フェイさんみたいにできる男と知り合うのは、イシュトバーンさんも楽しいだろうしな。


「うむ、では先方に連絡頼むぞ」


 これにてお開き。

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