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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第415話:ロマンス?

 サフランに聞いとくことがあるんだった。


「ところで醤油は今販売してないの? 欲しいんだけど」

「ありますわよ。酢の方で手が一杯なので、醤油の生産はほぼ止めてますけれども」

「じゃあ買ってくよ」

「ありがとうございます」


 醤油は今あんまりドーラ人に馴染みがないかもしれんけど、用途が広い調味料だからな。

 知られればすぐに広まると思う。

 とゆーか宣伝と販促には協力する。

 生産の方よろしく。


「サフランさー。前の焼き肉親睦会の時、ショウガ持ってたでしょ? あれどこから手に入れたの? 探すとなくって」

「アターシが試験的に栽培してるものがあるんですの」

「おおう、自分で作ってたのか」


 サフラン恐ろしい子。

 栽培にまで手を出してたとは。

 とゆーか味変や調味料への探求がすごい。

 あたしは探す方だけど、サフランは自分で作ろうとするんだ。


「でも手がかかるし、ラボが忙しくなってきたので来年からはやめようかと……」


 水加減が難しいって、クララが言ってたくらいだ。

 結構手がかかるのかもしれない。

 でもうちにはカカシがいるから、栽培は問題なく可能だ。


「なら譲ってくれないかな。来年からあたしと灰の民が責任持って作るから」

「そうしていただけるなら嬉しいです」


 やったぜ、醤油とショウガゲット!

 砂糖は手に入るし、焼き肉のタレ作って、海の王国とイシュトバーンさんとこ持ってこ。

 楽しみだなー。


「じゃあね、また来るよ」

「さようなら」

「「「ヴィルちゃーん!」」」

「バイバイぬ!」


 ヴィル大人気じゃねーか。

 黒の民の悪魔好きはどーなってんだ?


          ◇


「黒の民の村はドクロばっかりですねえ」

「とやかく言いたくはないけれども」


 緩衝地帯への道すがら、エルマがしきりに感心していた。

 エルマは純粋だなー。

 黒の民には文句つけてもいいと思う。


「黒の民はドクロが好きなの? 呪術や信仰の関係で?」

「好きだぞ。信仰の一種なのかもしれんな。産湯に浸かって以来身近なものであるから、ドクロで安心できるのだ」

「わかんないなー」


 何だ、ドクロで安心って。


「何でなの? 百歩譲って黒の民共通の好みだとしても、ドクロモチーフは他所に売ること考えると、ウケが悪いと思うんだけど?」

「ふむ、見解の相違だな。あれはあれで魂を震わせるデザインだろう?」


 そーかなー?

 まあ世の中いろんな人いるから、一概に否定はできんけれども。

 でも調味料のビンにドクロマークなんか絶対入れさせんなよ?


「呪術グッズの工房の方はどうかな?」

「冒険者向けが一巡して暇しているな。単価の高い高級品の実現を目指しているぞ」

「そーか、よしよし」


 ピンクマンが不審げな目で見る。


「工房が手すきなのはあまり喜ばしい事態ではないのだが」

「そろそろ青の族長セレシアさんが泣きついてくると思うんだ。だから」


 わからんといった様子のピンクマンとエルマ。


「青の民はファッションが得意でね、レイノスに服屋を出してるんだよ」

「そうなんですか!」


 緑の民は交易にも参加してないし、緩衝地帯への出店も最初の内ちょっと参加していただけでやめちゃったから、現在の交易事情に詳しくない。


「一昨日開店だったんだが、ユーラシアは売り子として参加していたんだぞ」

「あれ、ピンクマンに言ったっけ?」

「新聞に載っていた。『精霊使いユーラシア氏の新たな仕掛け』とな」

「お姉さま、すごーい!」

「どーして『美少女精霊使い』って書いてくれないのかな? 記者さんズ、あたしに会ってるのになあ」


 エルマとピンクマンが笑う。

 あたしは目一杯本気なのにな?

 どーゆーわけか新聞記者ズは頑なに『美少女精霊使い』と書かない。


「で、あの売れ行きだと商品足りなくって、服の生産が追いつかないはずなんだ」

「ははあ、黒の民にアイテムの外注をってことなんだな?」

「そゆこと」


 理解しきれていないエルマに説明する。


「要するに、カラーズ諸村皆で儲けようぜってことなんだ。青の民の店が売れ過ぎて困るなら、他から派生品を供給してやればいい。店は商品を拡充できるし、他も儲かるじゃん?」

「元々ユーラシアは、緩衝地帯に出店の時の考え方からして協力重視だったな。仲が悪いのは損だからという、説得の仕方だった」

「余ってるもの売って欲しいものを買えたら、エルマだって嬉しいでしょ?」

「そんな簡単なことが、長い間カラーズではできなかったんだ」


 段々エルマの目が丸くなり、輝きだす。


「本当ですね! どうして緑の民は参加しないんでしょう?」

「んー間に入っている商人さんがねえ。この前話したっけ、フィルフョーの姓の人。特殊なしがらみがあるっぽいんだ」


 ラルフ君によると、族長の跡目争いで荒れたらしいが。

 あたしも緑の民の事情がわからん。

 ラルフ君から聞いたことをまんまエルマに話すのもよろしくないのかもしれない。


「エルマは商売や交易のことを、絶対に村の人に言ってはいけないよ。君が仲間外れにされるかもしれない」

「ピンクマンの言う通り、エルマが声を上げるべきではないな。でも他色の村々で緑を仲間外れにしてるわけじゃないから、声さえかけてくれればいつでも参加できるんだよ。いずれそうなると思うけど」

「もし周りで交易賛成の声が出始めたら、ユーラシアに相談するといい」

「あたしの仕事が増えるじゃないか。ピンクマンも働いてよ」


 戦争との絡みがあるから話が複雑なんだよな。

 緑の民を参加させるなら戦後の方がいい気もするけど、万一長期戦になるようならレイノスの物資が足りなくなりそう。

 早めに参加して欲しい。


 エルマが首をかしげる。


「その事情について、わたしも村で少し聞いてみました。何やらロマンスがあったようなのです」

「ロマンス?」


 ロマンスと跡目争い、ラブい気配がプンプンするけど。


「ロマンスというかスキャンダルなのですかね? 村の恥だからということで、緘口令が敷かれているらしく、詳しいことはサッパリわかりません」

「村の恥……ありがとうエルマ。これ以上この件を突いて回るとあんたが変な目で見られるから、あとはあたしに任せて」

「わかりました、お姉さま」


 『村の恥』というワードが出てきた。

 ピンクマンと顔を見合わせる。

 エルマだけじゃなく、ちょっと他所者が関わるの難しそうだぞ。

 全部知ってる人と話してみたいもんだが……。

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