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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第412話:減るもんじゃなし

 フイィィーンシュパパパッ。

 ラルフ君パーティーを伴って、イシュトバーンさん家にやって来た。


「こんばんはー」

「精霊使い殿、お待ちしておりました」


 イシュトバーンさん家の警備員は礼儀正しい。

 どうやって教育したんだろうな?

 レイノスの警備兵を引き抜いたとかだろうか?

 あんまり冒険者臭はしない気がする。


「肉をお持ちいただいたとか」

「魔境でマンティコアを狩ったんだよ。この前、イシュトバーンさんにマンティコアのお肉はおいしいって聞いたから、チャンスを狙ってたの」

「ハハハッ、それはそれは。どうぞこちらへ」


 屋敷へゾロゾロ。


「御主人!」

「来たか、精霊使い」


 ヴィルが飛びついてくる。

 よしよし、いい子だね。

 ぎゅっとしてやる。

 お付きの女性にマンティコア肉とワイバーンの卵を渡した。


「マンティコアが生息してるのってドラゴン帯だろ? よく肉にできたな」

「今日、ラルフ君達が一緒だったからね。囮に事欠かなかったんだ」

「囮じゃないですよ!」


 アハハ、だから冒険者ジョーク魔境編だってばよ。


「ちょっと思いついたことがあるんだ。足見せて?」

「足? おいおい、要求が助平じゃねえか」

「ハッハッハッ、減るもんじゃなし」


 あれっ? あたしの言ってることイシュトバーンさんっぽい?

 まーいーや。

 可憐な美少女とゆーのは強力な免罪符だ。

 何をやっても大概許されると決まっている。


 イシュトバーンさんの足を見せてもらう。

 ……魔力の流れが見える。

 悪いのは左足の付け根と右足の膝か。


「クララ、左足の付け根の中に撃ち込む感じで『ハイヒール』」

「はい、ハイヒール!」

「……もう一回」

「ハイヒール」

「……よし、今度は右足の膝に『ハイヒール』」

「ハイヒール」

「うん、オーケー」


 面白そうな目で見ていたイシュトバーンさんが言う。


「いや、ありがてえが、そんなことは散々やったんだぜ?」

「これ食べてくれる?」

「ん? お、凄草か」

「新鮮なやつだよ。美味いよ」


 イシュトバーンさんが葉を摘まんで口にする。


「おお、こりゃあ確かに甘い。後味がいいな!」

「でしょ? デザートでも前菜でもイケるよねえ。どんどん食べて」


 葉を全部平らげる。


「なるほど、確かに腹に溜まらねえ。これが凄草の食感か」

「ちょっとごめんね」


 イシュトバーンさんを抱えて立たせる。

 さて、どうだ?


「お、い、痛くねえ!」

「うーん、筋力はかなり落ちてるね。凄草一個じゃとても足りないな。毎日歩いて筋力つけなよ」

「おう、張り切ってそうするぜ!」

「マッスルしてちょうだい」


 ラルフ君パーティーもお付きの女性も驚いて声が出ない。

 イシュトバーンさんの目がえっちになる。

 エンタメを見つけた目だ。


「どういうカラクリなんだ? 説明してくれ」

「あたしレベルが上がって、他人の身体の調子の悪い部分がわかるようになったんだよ。主に魔力の流れのスムーズさで」

「ほお? 大したもんじゃねえか」

「回復魔法はヒットポイントの回復だけじゃなくてケガの治癒も同時に行うから、悪い部分にピンポイントで魔法当てれば治るはずなんだ。病気や欠損はムリだけど」

「理屈としては正しいな。しかしオレは魔法医の治療も受けたことあるんだぜ?」

「でもマスタークラスの『ハイヒール』を連打されたことはないでしょ?」


 イシュトバーンさんが、あの愛嬌があると言えないこともない丸い目で見つめてくる。


「「あはははははっ!」」


 二人で笑い合う。


「こりゃたまげたぜ。感謝してもしきれねえな!」

「クララに感謝してくれればいいんだよ。あたしは抱っこするの面倒になっただけだから」

「でも疲れたら抱っこしてくれ」

「えー? 護衛のお兄さんがおんぶしたがってるよ?」


 和やかな雰囲気の中、料理が運ばれてくる。

 ちょうどお腹がすいた。

 ベストタイミングだ!


「ワイバーンの卵か。久しぶりだな。滋養強壮効果満点なんだぜ」

「でもこれ、何故かこれから探索だーって時に拾っちゃうことが多くてさ。重いし割れやすいから厄介なんだよね。今日はラルフ君達がいたからよかったけど」

「すごくおいしいです、これ!」


 ラルフ君パーティーは、ワイバーンの卵初めてだったか。

 すげえ美味いからな。

 やっぱりイシュトバーンさん家にはワイバーンの卵を料理するだけのデカい鍋があるようだ。

 ここへ持ってきて正解だった。


「もうラルフ君達のレベルならワイバーン狩れるはずだよ?」

「いや、はい。ありがとうございます」

「おっぱいさんに話しておけば、魔境行きの『地図の石板』をすぐ発給してくれると思う」

「おっぱいさん?」

「何でそんなところに食いつくかな? 後ろのお姉さん達、主人を見る目とは思えないような目で見てるよ」

「今日はラルフ達のレベル上げが目的だったのか?」


 あ、鋭いな。

 お付きの女性達もいるので、『戦争』という言葉を使わずに説明する。


「うん、まあ。レイノス東はラルフ君パーティーとラルフ君家の警備員さん、レイノス東門の警備兵にお任せで」

「カラーズは?」

「あっちは大丈夫だと思うんだけど、一応輸送隊はレベル三〇くらいまで育てとく。今度ここにお呼ばれするときまでには仕上げとく予定だよ」

「働き者だな」

「ええ? あたしがやりたいからやってるだけだよ」


 あっ、お肉だ!


「なるほど、これがマンティコア肉か」

「美味いことは美味いなー」


 クセがなくて爽やかだ。

 お肉の獣臭さや脂が苦手な人でも食べられるだろうな。

 しかしどうもパンチが足りない。

 使用するタレやソースで性格が大きく左右されそう。

 ラルフ君達は脂の乗ったコブタ肉の方が好みかもしれない。


「うーん、これ難しいお肉だねえ。まよねえずが合うかも」

「フェスの時の調味料だろ。あれ、ワイバーンの卵で作ったらメチャクチャ美味いんじゃねえか?」

「あっ、そーだね!」


 ワイバーンの卵は黄身が大きく旨みが強い。

 確かにまよねえずに向いてそう。

 大量にできちゃうから、使うの大変だけどな。

 いや、残った部分は白身と混ぜてスクランブルエッグなり卵焼きなりにすりゃいいのか。


「ワイバーンの卵はでっかいからうちで調理するの難しいんだよ。次来る時までにまた取れると思うから、持ってきていい?」

「歓迎するぜ。うちの料理人もまよねえずの作り方を会得したしな」


 イシュトバーンさんも魚フライ気に入ってるみたい。

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