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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第41話:スキルハッカーを待つ

 アンセリの二人と話を続ける。


「何で『スキルハッカー』の能力者を神格化してるかわかんないけど、今のソル君は強くないよ? あんた達のがよっぽと戦えると思う」

「ソル君? ユーラシアさんはスキルハッカーに会ったことがあるのか?」

「あるよ」

「「えっ!」」


 驚くアンセリ。


「ど、どんな方です?」


 つまりギルドには『スキルハッカー』持ちの新人が加入したという噂だけで、具体的な情報は出回ってないんだな?


「ソールって名前の一四歳の男の子。あんた達と同い年だね。背の高さはあたしと同じくらい。金髪で可愛い顔してるよ。ソロで戦ってるから、まだギルドまで来るのにちょっと時間がかかるんじゃないかな」

「ソロで? どうして?」


 やはり理解できないか。

 アンセリは戦闘エリートなんだなあ。


「アンセリの故郷カトマスは、冒険者がメジャーなだけじゃなくて固有能力の理解も深いみたいだね」

「ああ。それが?」

「多分ソル君は冒険者がさほど多くない村の出身なんだと思う。あたしも同じなんだけどさ。当然ソル君自身も魔物と戦った経験がなかったわけだよ」

「で、でも『スキルハッカー』の固有能力持ちでしょう? 価値や希少性は……」

「周りの人には理解されないんじゃないかな。どんな魔法やバトルスキルでも習得できるって言ったって、魔物と戦うこと自体がピンと来んのだもん」

「「……」」


 唖然とするアンセリ。

 カトマスの人とは根本的に価値観の相違があるのだ。


「ソル君は特別な固有能力持ちだけど、だからって今強いわけじゃないよ。剣術や魔法の心得もない、ただの駆け出し冒険者だからね。好き好んで行動をともにしようとする人、いないと思う。少なくともソル君の住んでる村には」

「「……」」


 レア固有能力持ちは最初から強いという先入観があったか。

 レア固有能力を持ってたって、ソル君はただの人なのだ。

 現状を理解したか、押し黙る二人。


「スキルハッカーソル君は頑張ってドリフターズギルドを目指しているとゆーことを知ったとして、あんた達はどうする?」

「もちろん、スキルハッカーを待つ」

「ええ、アンに同じです」

「おおう、即答なのか」


 意外だな、何故に?

 冒険者として早く実績を上げたいんじゃないのかな?

 アンが自嘲気味に、セリカが決意を込めて言う。


「年長の冒険者と組むと、どうしても軽く見られてしまう。そりゃあわたし達が本格的に冒険者を志したのはごく最近だ。経験では劣っているのはわかってるけど、釈然としない。同い年ならそんなこともないだろうし」

「我達は後衛職なので、どこでも一応優遇はされます。でも自らの意思で仕えるならば、明らかに優れたところのある才能持ちがいいです」

「よし、合格。ユーラシアに頼まれたって言えば、ソル君は多分喜んでパーティーを組んでくれるから。ソル君と『スキルハッカー』の固有能力について、もっと聞きたい?」


 パアッと喜色に満ちた顔でコクコクと頷くアンセリの二人。

 うんうん、自分の行く道筋に明かりが灯るとやる気出るよな。


「あたしの聞いたところでは、『スキルハッカー』の能力は魔法でもバトルスキルでも覚えられる。魔物限定のスキルでも例外ではないってこと。ただし制限がある」

「「制限?」」

「うん、まず教える側に意思がないとダメ。つまりスキルを見て盗むようなことはできないんだよ。それからもう一つ、より重要な制限なんだけど、覚えられるのは一二個までってこと」

「一二個まで……」


 真剣な顔をして聞く二人。


「一二個は十分っちゃ十分な数なんだけどさ。今、ソル君はあたしの教えたバトルスキル『ハヤブサ斬り』を覚えているので、残りの習得枠は一一個。ここまではいい?」

「「はい」」

「戦闘未経験者のソル君には魔物を倒す術がなく、クエストをこなせなかったんだ。だから実質与ダメージの大きくなる『ハヤブサ斬り』を覚えた。でも習得枠の重要性がわからないほど愚かじゃないから、おそらく他のスキルを習得せずギルドまで来るよ。ギルドで仲間を得られることを信じて」


 アンとセリカ、二人の気持ちが高揚しているのが見て取れる。


「将来、強力なスキルを覚えるほどスキルハッカーの価値は高まる。あんた達二人の役目はそこまでソル君を導くこと。彼が勇者になれるかはあんた達次第なんだよ」


 目一杯炊きつけてやったが、どうだ?

 アンは口をキッと引き結び、弓をぎゅっと握って宙を睨み据えている。

 セリカに至っては、どこから取り出したのか短い杖をブンブン振り回し始めた。


「一ヶ月もしない内にソル君はギルドへ来る。楽しみに待ってなよ。外見的な特徴はさっき言ったっけ? そうそう、新米冒険者には不釣り合いな、超格好いい青い盾を持ってるから、見間違えることはないと思うよ」

「青い盾?」

「うん、見るからに上等なやつ。他の装備とかなりギャップあって違和感あるかも」


 ふんふんと熱心に聞く二人。

 ソル君は前衛アタッカーだし、アンセリがソル君の仲間になるならまず安心だわ。


「あたしはホームに帰るよ。じゃあね」

「あ、ユーラシアさん」


 魔法使いセリカに呼び止められる。


「ソール様に我らがギルドで待つこと、伝えていただけませんか?」

「……ちょっと難しいかな。あたしもソル君に会ったのは偶然なんだ。でももし会えたら伝えとく。約束するよ」

「「お願いします!」」


 アンセリの二人に別れを告げ、もう一度総合受付のポロックさんに挨拶しに行った。


「おっ、オレンジの精霊君、仲間にしてもらったか。よかったなあ」


 ポロックさんは我が事のように喜んでくれた。

 いい人だなあ。


「あたし達はホームに戻るね」

「もう帰っちゃうのかい? レベルの高い冒険者達が来るのはこれからだよ?」

「らしいねえ。でも今日は内容の濃い一日だったからいいんだ。また情報収集に出直すよ」


 『初心者の館』も行ってみないといけないし。

 そーだ、差し入れの食べ物が必要なんだったか。


「ではまたね」

「さいならー」


 転移の玉を起動し帰宅する。


『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』

『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』


 おおう、アナウンスがダブルだ。

 今日は依頼受付所のと合わせてクエストを二つこなした勘定だからか。

 あ、レベル上がった。

 内容の濃い一日が過ぎました。

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