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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第407話:マジでどこの田舎もんだ

 続けて砂色の迷子精霊に問う。


「ハヤテは人間に会うのは初めてなの?」

「時々見たことはあっただけど、こんなに近ぐは初めてだ」


 どうやら何も知らん子らしい。

 マジでどこの田舎もんだ。


「ノーマル人だった? それとも亜人?」

「ノーマル人だべ」

「元住んでたところの近くで見たんだ?」

「あい」


 ふむ?

 ただノーマル人を見たことがあるなら、全然わけわからん人跡未踏の地に住んでたのではない。

 カラーズから塔の村に至るドーラ大陸の中でも、南のノーマル人居住域のどこか……。

 いや、ドーラ大陸内とは限らないんだった。


「ハヤテはやっぱり元住んでたところに帰りたいんだよね?」

「へえ、できれば戻りたいだ」

「うーん、ちょっと難しいかもわからんけど」


 俯くハヤテ。

 もうちょっと手掛かりがあるか、さもなくば何かの偶然がないとな。

 ま、仕方ない。


「精霊とは相性がいい人と悪い人がいるんだ。相性いい人ってほとんどいないんだけど、今から行く村は皆が精霊と喋れる人だから大丈夫だよ。精霊も何人かいるからね」

「あい」


 口でそう言われてもなあ。

 不安もあるんだろうな。


「風の精霊は、やっぱり風の吹いてるところが心地いいの?」

「へえ、おらは特に優しい風が好きですだ」

「優しい風、いいねえ」


 何となくわかる。

 あたしも髪をくすぐるような風は好きだ。


「ハヤテの元いた場所はどんなところだったの?」

「森だっただ」

「森か。魔物の多いところだったんだ?」

「いんや、その森で魔物を見たのは初めてだっただ」

「え?」


 普段は魔物の出ない森。

 ノーマル人を時々見ていた。

 とゆーことは、ハヤテがいたのは人の手の入る里山みたいなところなのか?

 重大なヒントだな。


 でも人里近くなら、ハヤテが襲われたのも大した魔物じゃなさそう。

 昔、灰の民の村でも、たまーに魔物が柵を越えてくることはあった。

 デス爺やコモさんが追い返してたけど、いきなりじゃビックリするわなあ。 


「着いた。ここが灰の民の村だよ」


 サイナスさん家に行く。


「こんにちはー。ここの族長のサイナスさんね」

「へえ、よろしくお願いしますだ」

「あれ、ユーラシアか。そっちの精霊は?」

「迷子の精霊ハヤテ」

「疾風の精霊だでよ!」

「あっ、そーだった」


 かくかくしかじか。


「君、今日レイノスだったんだろう? 魔境も行ったのか」

「いや、午前中はレイノスで大変でさ。夜に話すよ」


 慣れないことは疲れるのだ。

 お腹も減ってるし。


「気分転換のために魔境行くのは別に普通じゃない? 疲れた時はレジャーだよ?」

「魔境がレジャー感覚なのか……」


 何かショック受けてるみたいだけど、人の感覚は様々で皆違って皆いいんだよ?

 うちの子達も魔境大好きだよ?


「お肉お土産ね。この子もお腹減ってると思うんだ。何か食べさせてあげて」

「わかった。預かればいいんだな?」

「うん、ここで暮らしたいようなら、村の皆に紹介してあげてよ」

「わかった」


 サイナスさんが『精霊の友』かつ穏やかな人と知って、ハヤテも安心したようだ。

 まずはこれでよし。


「じゃ、あたし帰る。あんたも疲れたろうから、早く休むんだよ」

「あい。色々あんがと」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「サイナスさん、こんばんはー」


 寝る前恒例のヴィル通信だ。

 先ほどサイナスさんとは会ったばかりであるが、お腹が減っていたので即行で帰宅した。

 誰があたしを責められるであろうか?


『うん、こんばんは』

「ハヤテはどう?」

『ここの風はなかなかいいって、外へ吹かれに行ってるよ』

「風系統の精霊だけのことはあるなあ。ハヤテは転移使えるから、明日にでもアレクに紹介してやってね」

『ああ』


 明日には輸送隊もカラーズに帰るはず。

 ハヤテが村に居付いてくれれば嬉しいし、アレクの転移術の研究も進むかもしれない。


「今日、セレシアさん達だけじゃなくて、アレクとケスも来たんだよ」

『へえ? 失礼はなかったかい?』


「うん、デス爺の孫とあたしを落とし穴に落とそうとした子だって紹介したら、イシュトバーンさんが興味持っちゃってさあ。もう少し話したかったみたいなんだ。その時あんまり時間なかったから、今度輸送隊全員を招待してくれることになった」

『今度って五日後だな? じゃあ次も輸送隊全員派遣ということになるのか』

「皆嬉しいんじゃないかな」


 本来だったら大勢は必要ないのだが。


「イシュトバーンさんとの顔繋ぎと思えばいいんじゃないかな。得がたい経験ではあるし」

『うむ』

「イシュトバーンさんが招待してくれることはいずれ輸送隊員達から詳しい報告が行くだろうけど、一応前もってフェイさんに伝えておいてくれる?」

『了解だ』


 サイナスさんが聞いてくる。


『セレシア族長の店はどうだったんだ? 君さっきレイノスで大変だったって言ってたが、今日開店したんだろう?』

「した。売り子やらされたんだよ」

『売り子? まあユーラシアは人を集めるのは得意だろうけど』


 どーしてか皆そーゆー認識だな。

 得意とゆーか、パーティーとか人が集まって騒ぐことは好きではある。


「滑り出しはよかったよ。お客さん大盛り上がり」

『大盛り上がり? また煽ったのか?』

「だって商売の基本だもん」


 いいものが売れるのは、店側にも客側にもいいことなのだ。

 仕掛けをためらう理由なんかないわ。


「黒の酢と青のファッションは、カラーズの商品はいいっていう信用を植えつけるチャンスなんだよ。積極的に押さないと」

『ユーラシア的だなあ』

「ヨハンさんも乗っかってくるだろうし」


 ラルフ君パパは案外切れる人だ。

 勢いがあると見るや、他の商品もカラーズ産であることを前面に押し出した売り方をしてくるに違いない。

 そうなったらそうなったで別の問題も発生するのだが。

 つまりカラーズの存在が帝国の注意を引いてしまう可能性だ。


「こっちは以上でーす」

『カラーズで大した動きはないな。今一番の話題は交易だ。緩衝地帯では盛んに商売の話題が出ている』

「嬉しいなあ」

『緑の民は相変わらず音沙汰ないがな。輸送隊レベリングは二日後朝からよろしくとのことだぞ。大丈夫か?』

「明後日だね。りょーかいでーす。予定通りだわ。じゃ、おやすみなさい」

『おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『わかったぬ!』


 明日はラルフ君達と……。

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