第284話:マンティコアのドロップ
素材を拾いつつ、より魔力濃度が高く強い魔物のいるワイバーン帯へ踏み込む。
ワイバーンを倒して爪と卵を拾った。
素材とおいしい食料ゲット、むふーん。
「ワイバーンの卵がおいしいことは理解した。でもうちにはこれを調理できる大きさの鍋がないんだよねえ。どうしよう?」
ワイバーンの卵はデカい。
人の頭くらいはあるのだ。
大きい鍋なり鉄板なりを買ってくる手もあるけど、ちょうどいい火加減にするだけのかまどもないんだよなあ。
残念だが、ちょっとうちでは扱いかねる食材だ。
「ギルドの食堂へ持っていってはいかがですか?」
「ナイスアイデア!」
あとでギルド行くし、食堂の大将に提供しよ。
他の冒険者にも喜んでもらえるだろう。
あ、アイスドラゴンだ。
「雑魚は往ねっ!」
よーし、『逆鱗』ゲット。
ドラゴンをザコ認定できることは、あたしの成長を実感できるよ。
サイクロプスを倒して『巨人樫の幹』も手に入れた。
いずれもレア素材ではある。
「ウィッカーマンね」
どうやらウィッカーマンは、いきなり逃げるってことはないみたいだ。
ダメージ与えるとすぐ逃げるし、何ターンかあとはダメージ与えてなくても逃げるのかもしれないけど。
問題なく黄金皇珠と羽仙泡珠ゲット。
その後もウィッカーマンとデカダンスを倒しまくる。
「マジックウォーター切れちゃったな。ウィッカーマン狩りはここまでね」
「魔法の葉はメニーメニーあるね」
「ダンテのいけず!」
魔法の葉は苦くて不味くてえぐい。
口に入れると一日ブルーな気分になるくらい。
あんなものがマジックポイント回復アイテム面して流通してるのは信じられんわ。
「マンティコアね」
マンティコアはドラゴン帯でも比較的珍しい魔物だ。
何かドロップするかもしれないから、いつものパターンだ。
ダンテの『豊穣祈念』からあたしの『雑魚は往ね』で、一応倒しておく。
ん? 何か落としてったぞ?
「あ、これ凄草ですよ!」
「やたっ! ラッキー!」
そーか、マンティコアは凄草を採取して持っている性質があるのか。
「どうしやす? 家で植えやすか?」
「その手もあるな。んーでも株分けのサイクルが狂っちゃうか。いいや、これは今日食べよう、味も知りたいし」
何気なく葉っぱを齧ってみる。
んんん?
「……甘い」
「ワッツ?」
「すごく甘くておいしい! 皆も食べてみて!」
うちの子達も食べてみる。
「甘い!」
「うめえな、これ」
「デリシャス!」
あっという間に食べ尽くしてしまった。
なるほど、マンティコアが好むわけだ。
やつはきっとグルメに違いない。
「クララ、凄草が甘くておいしいなんて知ってた?」
「知りませんでした。今まで読んだ薬草や食草の本には載っていなかった所見ですね」
とゆーことはほとんど知られていない可能性が高いな。
凄草自体が激レアのステータスアップ薬草でもあるし。
ちなみに根っこは甘くなく、イモみたいな感じだ。
こっちは夜の御飯に混ぜていただこう。
「凄草がこんなに美味いものだったとは。増えて毎日食べられるようになるのが楽しみになったよ」
「そうですねえ」
ワイバーンをさくっと倒して外へ。
「また卵落としていったぞ?」
「食堂で喜ばれやすぜ」
「嬉しいんだけどさ」
重いしデカいんだってばよ。
割れないように気を使わなきゃいけないしな。
三個もあったら大勢で宴会できそう。
今日はまだナップザックの容量に余裕あるからいいけど、素材たくさん拾ってる時にドロップされると困っちゃうぞ?
「ふーむ。ガーゴイルやオーガのレアドロップは魔宝玉か」
「どんどん知見が増えていきますねえ」
ダンテの使う『豊穣祈念』の効果だろう。
ドロップ率がかなり高くなっているように思える。
それぞれ翡翠珠や杳珠といった魔宝玉を落とすことがわかった。
結構な価値ではあるが、今欲しいのは黄金皇珠以上の超高級品なのだ。
あんまりありがたみは感じない。
オーガが魔宝玉ならトロルもドロップは同じかな。
巨人は巨人でも、高級巨人族ではないらしいから。
「やっぱ魔境クラスの魔物ともなると、図鑑に載ってることもたかが知れてる感じ?」
「はい」
だろうなー。
特にドラゴン帯の魔物ともなると、ドラゴン倒してバンザーイ。
他の魔物には用がなさそう。
あれ? じゃあバトルジャンキーでもないのにマンティコア倒してるあたし達は何なんだろう?
まあ細けえことはいーんだよ。
「ケルベロス狙ってみようか」
一度も目にしたことのない素材『エナメル皮』を拝んでみたい。
オーガ帯は素材も多く拾えるしね。
出たぞーケルベロスだ。
でもドロップしないなー。
結構レア度高いみたいだな。
あ、ワイバーン帯に入り込んじゃったか?
また卵、三つ目だ。
「ダメだ、これ以上持ちきれない。ワイバーンの卵重いから帰ろう」
「「「了解!」」」
ベースキャンプに辿り着く。
「ただいまー」
「お帰りなさいませ」
「ねえオニオンさん、凄草って甘くておいしいんだよ。知ってた?」
「そうなんですか?」
オニオンさんが目を丸くする。
「マンティコアのレアドロップでさ、あれは絶対サラダにすべきだね。でも根っこは甘くないから煮て食べる」
「ほうほう、マンティコアの……」
「オニオンさんが知らないってことは、マンティコアもあんまり情報ないんだ?」
オニオンさんが頷く。
「ドラゴンに興味のある上級冒険者は少なくないんですけどね。それ以外のドラゴン帯の魔物を倒そうとする人はなかなか」
「やっぱなー。ドラゴン以外誰が倒すんだろって、さっき気付いたとこ」
マンティコアスレイヤーって語呂が悪いもんな。
「ユーラシアさんのもたらす情報は貴重です。またよろしくお願いします」
「うん、適当に頑張るよ」
「適当ですか」
笑いが起きる。
『適当』って好きな言葉なんだけど、あんまりウケが良くないんだよな。
『程々に』の方がいいか?
「ところでケルベロスのドロップ素材ってレアなの?」
「『エナメル皮』ですか? 珍しいと言えば珍しいですけど、レア扱いではないですね。外見でわかるんですよ。背中が光ってますから」
そーなの?
「『エナメル皮』ってケルベロスの光ってる背中の皮なのか。盲点だったわ」
「次回のお楽しみでいいじゃないですか」
「楽しみが残っちゃったわ。オニオンさんさよならー」
「さようなら」
転移の玉を起動し帰宅する。




