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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第269話:礼拝堂で知ったこと

 フイィィーンシュパパパッ。

 夕食前に聖火教アルハーン本部礼拝堂に来た。


 礼拝堂近くのかなり広い面積を整地してたのが気になった、とはサイナスさんが言っていたことだ。

 ヘタレだけど切れる人なので、サイナスさんが気になるくらいのことは注意しなくちゃいけない。

 と、あたしのカンが告げている。


 さて、整地してるのはどこかな?

 道の方へ出る。


「え? こんなに広く?」


 礼拝堂の北側の地区が大きく切り開かれつつある。

 店作ろうとかいう規模じゃないじゃん。

 おそらく聖火教徒であろう人々が何十人も作業を行っている。

 これ魔物の見張り大丈夫か?

 外縁をぐるっと回ってみる。

 あ、知った顔がいる。


「こんにちはー」

「ああ、精霊使いユーラシアか。一人だからわからなかったぞ」


 彼は喚きたてるハイプリースト、名前は忘れた。


「ワフロスだ。覚えておいてくれ」

「すげえ! どーしてあたしがあんたの名前覚えてないことわかったの?」

「あんたはそういうやつだと見切った」


 意外とできるやつなのかな?

 ワフロス、覚えとこ。

 どうせまた忘れると思うけど。


「あんたがドラゴンスレイヤーになったと聞いた」

「成り行きだったんだけどね」

「ドラゴンに魔宝玉を壊されそうになったから欲張って喧嘩売った、という話が流布されているぞ? 本当なのか?」

「本当だけど、聞こえが悪いからやめてくれないかなあ。譲れぬもののために、ドラゴンを恐れず立ち向かったってことにしといてくれない?」


 ドラゴンは好戦的とゆーか揉め事大好きとゆーか、一定範囲以内に入ると必ず戦闘になっちゃうんだよな。

 『煙玉』で逃げられるんだけど、あの時はデカダンスのレアドロップ黄金皇珠が懸かってたからつい。


「どっちの話が面白いと思う?」

「……前者」

「じゃあムリだ」

「欲深スレイヤーなんて二つ名になったらどうしてくれるんだよ、もー」


 アハハと笑い合う。

 で、整地中のエリアはどうだ?

 道から離れた側に戦闘力の高そうな人員が配置されている。


「あんたは見張りなんでしょ? 魔物の」

「うむ、信徒を危険に晒すわけにはいかんからな」

「これ何のために整地してんの?」

「ミスティ様の指示なのだが、何に使うのかは聞かされておらぬのだ」


 何だそれ?


「あたしが部外者だから教えてくれない、とかではなくて?」

「後ろ暗いことをしてると思われるのは心外だな。大体あんたに秘密にしようものなら、暴き立てて大事にしようとするだろう?」

「それこそ心外だな。結果的に大事になっちゃうだけだよ」


 ジト目で見るな。

 あたしは危険物じゃないわ。


「ここをどう使おうと我ら聖火教徒の勝手だろう? なのにどうして精霊使いが首突っ込もうとするんだ?」

「いや、あたしの興味じゃなくてカラーズの用件でね。この近辺に店出したいって話が来てると思うんだけど?」

「ああ、聞いたな」

「目的が被っちゃうなら、一旦カラーズが引いてもいいってことなんだ。カラーズがこっちに手をつけられるのは、早くても来年以降になるから」


 先にレイノスとの交易が始まっちゃいそーでどうのこうの。

 ハイプリーストが得心して頷く。


「なるほど。ミスティ様に直接聞かなければわからないな」

「ミスティさんは礼拝堂?」

「ああ、案内しよう」

「いいよ、ここ手が足りてないでしょ? 信者さんが魔物に襲われでもしたら大変じゃん」

「すまんな」


 使用目的を明らかにせずにこんな広い面積を整地するなんて、ちょっと要領を得ない話だ。

 礼拝堂へ。


「こんにちはー」

「こんにちは。あっ! せ、精霊使いさん?」

「精霊使いユーラシアだよ。北の整地してる区画について、ミスティさんの話を聞きたいんだ。カラーズがこの辺りに店作りたいってことは報告してあると思うけど、あの整地区画を何に使うかによっては、目的被っちゃうでしょ?」

「は、はい」

「取り次いでもらえる?」

「少々お待ちを」


 しばらくの後に奥の間へ通される。


「こんにちは、ユーラシアさん」

「こんにちはー」


 ミスティさんに苦悩の跡が見える?

 レベルが上がったせいか、最近カンがよく当たるんだよな。


「カラーズの各村が出店したいという話ですよね。道を挟んだ逆側でしたら、どこを使っていただいても構いませんので」

「いいのかな? 今整地してるとこで店作るつもりなら、カラーズの計画は先になるから遠慮するけど」

「いえいえ、北は店舗にはなりませんよ。むしろカラーズの皆さんに店を作っていただくのを楽しみにしています」

「北は何になる予定なの?」

「今はまだ言えないんです」


 今はまだ言えない?

 しかもミスティさんの苦悩の原因は、どうもあの土地にも関係あるようだ。

 あれだけの広さを使うのなら用途は限られる。


「……整地ってミスティさんの独断でやってるのかな?」

「はい」


 独断、となれば……。


「……変だな?」

「何がです?」

「あそこが何になるのかとミスティさんの話せない理由が、あたしの中でどうにも繋がらなくて」


 ミスティさんの目が驚愕に見開かれる。

 そしてゆっくりと微かに搾り出される声。


「……繋がるんです」

「もしその二つが繋がるとするなら、あたしパラキアスさんのこと嫌いになっちゃいそーなんだけど?」


 ミスティさんが僅かに頷く。

 こんなに弱々しげな微笑みを見せる人だっただろうか?

 救いを求める幼子みたいだ。


「ユーラシアさんは物事を正しく把握しておいでです。とても、とても素晴らしい。どうか、助けてくださいませんか?」

「美少女精霊使いユーラシアが全力で力になるよ」


 つまり聖火教も戦時とそれ以降のために動いているのだ。

 嫌なこと知っちゃったな。

 シリアスは背中がかゆくなるんだけど。


「ミスティさんでもいつ戦争になるかはわからないんだ?」

「私ごときでは……」


 だろうな。

 パラキアスさんもしょっちゅうここへ来るわけではないだろうし。


「……以前、緊急で連絡取りたい時、悪魔ヴィルを寄越すから、一度だけ礼拝堂に入るの許して欲しいって言ったの覚えてるかな?」

「もちろんです」

「あの時は保険のつもりだったんだけど、どーも本当になりそう。ごめんなさい」

「いえ、こちらこそ……」


 ミスティさんも言葉少なだ。


「ありがとう、参考になったよ。じっくり考えてみる」

「ええ、お気をつけて」

「じゃあまた」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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