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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第266話:朗報でーす、今度帝国と戦争になりまーす

 赤の民のショップを辞す。


「慣れないことをやると楽しいなー」

「そこは肩が凝るとかじゃないのか?」

「美少女精霊使いの肩はあんまり凝らないんだよなー」


 アハハと笑いながら次の目的地へ向かう。


「極めて順調だな」

「皆ちゃんと言うこと聞いてくれるもんねえ」

「ユーラシアは説得力があるからなあ。君の話に乗ると得になる気がする」

「気がするじゃなくて、得にしなきゃいけないんだとゆーのに。ま、間に入るヨハンさんは利を乗っけて売るだけじゃん? どうやったって儲かるだろうから、あたし達はカラーズの権益を守んなきゃいけない」

「その通りだな。次は青の民か」

「青はちょっと難しいんだよなー」


 青の民が難しいというより、族長セレシアさんのコントロールが難しい。

 感覚で動く人の気がする。

 勝手なことされるとカラーズ全体が迷惑するから、よくよく言い聞かせておかないと。

 サイナスさんとうちの子達を連れて青の民のショップへ。

 族長のセレシアさんに面会を求める。


「こんにちはー」

「あら、ユーラシアさんにサイナス族長。いらっしゃいませ」

「商売のことで来たよ。レイノスとの交易を始めるじゃん? 今度間に入ってくれる商人さんがカラーズに話し合いに来るから、日程決めたいんだ。セレシアさんの都合のいい日教えて?」

「ああ、いよいよなのね! ワタシはいつでも!」


 こーゆー浮ついてるのが一番危ないんだよなあ。

 釘を刺しておかねば。


「言っとくけど、最初から服売るのは諦めて」

「どうして!」

「逆に聞くけど、セレシアさんのファッションセンスは予備知識なしにポッと来た商人に理解できるものなん?」

「そ、それは……」


 口ごもるセレシアさん。

 デザイナーと商人は違うからな。

 デザイナーの想像力を商人に押しつけてはいけない。

 自らの安売りはもっといけない。


「商人に理解できるのは、使いやすさと生地・縫製の良し悪しだけだよ。流行はセレシアさんが作るものであって、商人が作るものじゃない」

「……」

「商人さんは自分が売れると思ったものしか仕入れないから、初めは実用品や小物から売っていこうね」

「……ええ、わかったわ」


 ガッカリするなよ。

 もーしょうがないなあ。


「傷心のセレシアさんに朗報でーす。今度帝国と戦争になりまーす!」

「何が朗報なのっ!」


 混乱するセレシアさん。


「内緒だよ? 近い将来に帝国からの独立戦争が始まるんだ。レイノスは混乱し、おそらくは空き家空き店が多く出る」

「え? ええ」

「レイノスにセンスのいい店構えて売り子に可愛い格好させてさ。流行の発信拠点にするのだ。セレシアさんのやりたいことがやれるチャンスだぞ」

「そ、そうね」


 少しは元気出たか?


「どの辺にどれくらいの規模で店構えたいのか、見てくるといいと思うよ。レイノスはちょっと難しい町だから、詳しい人に案内してもらうのがいいけど」

「ええ、わかったわ」

「商人さん来た時、まず族長クラス全員と顔合わせして、その後に各村個別の商談ってことになりそうなんだ。チラッとレイノスに店出したいってことは言っておいてもいいかもね。顔合わせの際には、黄の民フェイさんに商人さんを抑えてもらおうと思ってる」


 セレシアさんは驚いたようだ。


「貫禄が必要なのは、赤の民カグツチ族長の領分かと思ったけど?」

「カグツチさんも商売にかなり乗り気でさ。食いつきっぷりのいいとこ商人さんに見せちゃうとつけ込まれそうなんだよ。駆け引きのできる人でないとダメ。そうカグツチさんにも言ってきたから、あとはフェイさん説得しないと」

「そ、そうなの?」

「セレシアさんもあんまり乗り気なとこ見せないでね。精霊使いに言われたからしょうがなく参加してるんだぞ、くらいのスタンスでいい」

「わかったわ」


 セレシアさんが恐々聞いてくる。


「……戦争は大丈夫なの?」

「ドーラ近海は海の一族の領分だから、帝国艦隊はレイノスにしか攻められないんだ。限定的な戦いになると思う。カラーズが戦場になることはまずないよ」

「……争い、傷つくことが怖い」


 セレシアさんは優しい人だな。


「帝国の我が儘で始まる戦争なんだ。今のドーラはレイノスだけの小さな植民地じゃないから、全域を支配することは難しい。でも他の植民地の手前、簡単に独立を許すわけにもいかない。とゆー思惑をドーラの偉い人達もわかってるから、なるべく小さい被害で終えられるよう動いているよ」


 セレシアさんが小さく頷く。


「じゃ、よろしく。あ、注文いいかな?」


 バエちゃんとマーシャの頭飾りをお願いしてきた。


          ◇


「最後は黄の民の村だなー」

「まあ各族長の了解は得られたのだし、問題はなかろう」


 黄の民のショップへ。

 ここは特に問題ない。

 フェイさんにカラーズの盟主たることを納得させるだけ。


「フェイさーん!」

「精霊使いユーラシアではないか。商売の話か?」

「サイナスさんもいるけどね。レイノスとの交易の件で担当してくれる商人さんがカラーズに来るから、各族長に都合のいい日聞いて回ってるの」

「いつでも構わんぞ」


 マジで皆暇なのな。


「日が決まったら連絡するよ。フェイさんにはいくつか頼みたいことがあるんだ」

「何だ?」

「商人さん来たらまず全族長クラスと顔合わせ。その後各村個別に商談ってことになりそう」

「ふむ、妥当だな」

「顔合わせを黄の民の村で、仕切りをフェイさんにやってもらいたいんだ」


 フェイさんが目を丸くする。

 フェイさんのこういう表情面白いな。


「……俺が出過ぎたマネをするわけにはいかないだろう」

「いや、いいんだよ。他に参加する黒・赤・青の了解は取ってきたから」

「何? うちの他に参加するのは黒・赤・青だけなのか?」


 ここまでは聞いてなかったか。

 内緒話モード発動。


「帝国と戦争になるんだよ。白と灰の食料は戦時にレイノスに供給ってことになってる。だからいずれは白と灰も交易に参加するけど、今回はパスなんだ。緑は断ってきた」

「……了解だ。して、黄の民と俺が仕切るというのは?」

「黄の民族長宅が一番立派で会談の場所に相応しいってことと、まあぶっちゃけ商人と腹の探り合いできそうなのがフェイさんしかいないこと」

「ハハッ、買い被り過ぎだぞ」


 満更でもなさそうだ。

 しかし決して買い被りではない。

 他が大根役者ばっかりだから。

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