表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

262/2453

第262話:奢られる価値のあるあたし

 フイィィーンシュパパパッ。

 魔宝玉ウハウハパラダイス本日で最終日の現場から一旦家に戻り、さらにギルドにやって来た。


「御主人!」


 先行させていたヴィルが飛びついてきた。

 よしよし、いい子だね。

 ぎゅっとしてやろう。

 ギルド総合受付のポロックさんが笑っている。


「いらっしゃい、ユーラシアさん。微笑ましい光景だね」

「こんにちはー、ポロックさん」

「世界樹はどうだったかな?」

「驚くことに、昨日挿し木した世界樹の枝が既に根付いてるの」

「ほう?」

「世界樹倒壊で散っちゃった魔力を若木が急速に吸ってるんだよね。昨日に比べりゃ魔力薄まってるから、もう大丈夫だと思うよ。何かあればペペさんが知らせてくれるし」

「安心だね」


 もっとも昨日の時点でクエスト完了になってたからな。

 問題なさそうとは思っていた。

 今日は単にボーナスデーなんだよ。


「じゃねー」

「バイバイぬ!」


 ポロックさんと別れギルド内部へ。

 アイテムは売り払っておく。

 昨日たっぷり食べさせられた魔法の葉は見るのも嫌になった。


 そーいえばいつだったか、クララに何枚か取らせたことあったなー。

 あんなに不味いものだったとは知らなかったから。

 無知とは罪だ。

 ごめんよクララ。


 食堂へ、と。

 ダンとピンクマンはもう来てる。


「たっぷり魔宝玉いただいたからな、奢るぜ」

「ありがとう! 奢られる価値のあるあたし!」

「斬新だな、その言い回し」

「何だよーセンスまで褒めてくれるのか? ねえピンクマン、ダンは『いい性格してる』って時々褒めてくれるんだよ」

「極めて前向きだな」


 ダンとピンクマンが笑う。

 ピンクマンには報告しておこう。


「あのトネリコはダメだった。うちの畑番が言うには、世界樹育てるには濃い魔力濃度が必要なんだって」


 世界樹の魔力を吸う能力がどこに植えても発揮されるのならば、世界樹から魔力回復アイテムマジックウォーターを作れば効率的じゃないかというピンクマンの指摘だったのだ。


「畑番というと例の案山子の精霊か。ならば諦めるしかないな」


 魔法の葉は比較的どこにでも生えている。

 マジックウォーターを作るのに効率がいいからと言って、世界樹トネリコはわざわざ魔境に採取しに行くほどのもんじゃない。

 栽培が簡単じゃないのならさほど価値はないのだ。

 倒木からは魔力抜けちゃうから、いつか利用するってこともできないしなあ。


「また何か思いついたら教えてよ。ところで二人はレベルいくつになった?」

「小生は五〇、ダンは四九だ」

「ほら見たことか」

「何がだ?」

「ダンは以前、自分のレベルわかんないなんてことあるかって言ったじゃん。けど、わかんなくなってピンクマンのギルカで確認したでしょ?」


 ピンクマンがダンのレベル知ってたのがその証拠だ。


「まあな、ところで聞きたいことがある」


 あれ、スルーか。

 珍しくダンが真面目な顔してるぞ?

 似合わないんだけど。


「あんた今日、世界樹まで行った時にはレベルカンストしてたろ。その後も経験値倍増スキルを使い続けてたのは何故だ? サービスにしちゃ度が過ぎてるんじゃねえか?」

「ユーラシアがムダなことをするはずがない。小生らのレベルを上げておく必要があったとしか思えん。理由を聞かせてもらえるか?」

「鋭いなー。……ちょっと頭寄せて」


 内緒話の陣を組む。


「帝国との戦争になった時、『アトラスの冒険者』も動員されるんだ。パラキアスさんが今の『アトラスの冒険者』はドーラ人ばかりだからって言ってた」

「黒き先導者が言うのであれば、戦争は確定か」

「事態は急速に悪化してるってよ。回避できないみたい」

「戦争かよ……」


 ピンクマンが首をかしげる。


「しかし戦闘といってもレイノスの砲撃戦になるだろう? 冒険者の出番があるのだろうか?」

「帝国には海の一族の監視を避けて上陸する技術があるんだ」


 ダンとピンクマンの表情に衝撃が走る。


「ヤベーじゃねえか」

「それが帝国の切り札か……」

「いや、多分違うの。この技術はせいぜい小舟がそっと漕ぎ寄せるくらいにしか使えない。パラキアスさんもこれが帝国の秘密兵器とは見ていないんだ。でもゲリラ活動にはピタリと嵌りそうでしょ?」


 ピンクマンが少し大きな声を出す。


「西域か!」

「あたしも自由開拓民集落を襲うなり街道を封鎖するなりして、物流を引っ掻き回すセンが一番あると思う。正直西域は広いから手は足んないよ? だけど塔の村の冒険者と手を組めば、街道だけは守れるんじゃないかなーって考えてる」

「東は大丈夫なのか?」

「実際のところゲリラがどこに来るかはわかんない。でも帝国だってバカじゃないから、カラーズとレイノスが交流ないことくらい掴んでると思うんだよね。東にまで手を伸ばす余裕があるかなーと」


 もっともこれはあたしの希望的観測に過ぎない。

 パラキアスさんが戦時の食糧供給をカラーズに頼みに来たくらいだから、そうなんじゃないかなーと思ってるだけ。


「要するに俺達には、ゲリラ狩りか守備の仕事が与えられそうってことだな?」

「多分ね。で、当然帝国はゲリラ戦を想定した兵を送り込んでくるから、こっちも上級以上のレベルの冒険者を増やしておきたいの」

「だから小生とダンのレベルも上げておこうという思考か」

「うん。美少女精霊使いの期待に応えてちょうだい」


 苦笑するダンとピンクマン。

 

「ラルフを執拗に魔境に誘うのも、レベル上げが前提にあるからか?」

「あれは単にあたしの趣味だけど」

「やっぱそうか。ネズミをいたぶるネコっぽいとは思ったんだ」


 ピンクマンが質問する。


「帝国の秘密兵器が何なのかはわからないのか?」

「わかんない。完成を待って帝国は仕掛けてくるのだろうと、パラキアスさんは言ってる」


 二人が頷く。

 その秘密兵器があたしの敵になるような気がしている。

 たわわ女神の夢からすると、あたしは帝国戦で生き残れないかもしれないのだが。


「以上だよ」


 内緒話の陣を解く。


「今日の人形系レア魔物狩りワクワクツアーはどうだった? 装備とかスキル、大分揃えられるんじゃない?」

「こんな話を聞いたあとじゃ、真剣に考えざるを得ないな」

「俺はレベルアップでスキルを覚えたぞ?」

「どんなん?」


 ダンはこの前、『タフ』の固有能力持ちということが判明した。

 どんなスキル覚えたかは興味あるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ