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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第261話:どっちがボケでどっちがツッコミだと思う?

 ようやく折れた世界樹のところに到着だ。

 ダンが呆れている。


「こんなに太い木がポッキリじゃねえか。どんな威力だ」

「威力もすげえんだけどさ。ペペさん自分の家から魔法撃って折っちゃったんだってよ」

「え? あの小屋からか? かなり離れてるだろ?」

「強歩二〇分って言ってたな。射程距離がメッチャヤバい」

「あり得ねえ」


 この程度のことであり得ねえ言ってちゃ、ペペさんのスキルは買えないんだよなあ。

 アートでロマンでドリームなソウルを理解しよーよ。


「で、どうなんだ? 世界樹のほうはよ」

「そーゆーセンシティブなことはあたしじゃわかんないんだな」

「あんたは大雑把だもんな」

「あたしはエコノミックなほうを担当」


 アハハ。

 しかし人形系魔物の出現度合いが昨日と違うことから、魔力環境にも変化があるとは思っている。

 何が変化をもたらしたんだろ?

 もちろん折れた世界樹の見た目はそう変わっちゃいないのだが。


 丹念にチェックしていたクララが感嘆の声を上げる。


「ユー様すごいです! 昨日挿した世界樹の枝が全て根付いてます!」

「マジ?」


 すごいなこの木。

 魔力濃度が高ければいくらでも活性上がるのか?

 だからこそ世界樹はこんなバカデカくなるんだろうな。


「マジックパワーもイエスタデイよりかなり薄くなってるね」

「ふーん。とゆーことは、この若木がどんどん吸ってるってことだよねえ。よく働いて偉い」

「もう心配ないでやすね」

「逆に魔力を吸い過ぎて濃度が薄くなっちゃうとかは大丈夫なのかな? 環境急変で問題ありそうだけど」


 少し若木を間引くという手もある。

 どうする? とクララに聞いたら、最終的に最も魔力を吸収した個体のみが勝ち残るんだそーな。

 初めは競争させるべきとのこと。

 専門家の意見は聞いておこう。

 

「競争かー。世界樹の業界も厳しいんだなー」

「何だ、世界樹の業界って」

「ペペさーん、もう大丈夫だって!」

「よかったあ!」


 やっぱり心配だったんだろうか?

 見た目はしゃぐ幼女だからちっともわからないんだよな。


「昨日の枝がもう根付いてるの。で、活発に周辺から魔力を吸ってるから」

「ほう?」


 あれ、今日初めてピンクマンの声聞いたぞ。

 世界樹に対する学術的興味が、ペペさんを前にする緊張を上回ったか?


「世界樹の樹種はトネリコで、魔力をたくさん吸収することのできる変種だろうってクララが言ってたよ。いずれ一本が勝ち残って、新しい世界樹になるだろうって」

「その特殊なトネリコはここでなくては育たんのか? どこでも育てられるのであれば、魔法の葉よりも効率よくマジックウォーターを生産できそうだが」

「おお? 実用的なアイデアがやるっ!」


 ピンクマンよ。

 あんたはファッションセンスおかしいし、幼女を前にすると挙動不審になるけど、学識豊かであることは間違いないよ。

 ペペさんがビックリしたような目で見てるぞ?


「ピンクマンは賢いなー。うちには優秀な畑番がいるから、一本持ち帰って育ててみようかな」

「うむ、うまく育成できるようならまた教えてくれ」


 どこで植えても魔力を集められるなら応用効きそうだなあ。

 でも魔法の葉みたいに、食べて直接マジックポイントを補給することはできないのかな?

 トネリコの葉っぱが食べられるなんて聞いたことないわ

 いや、魔法の葉が決して口にしてはいけないレベルのものだということは、昨日よく理解したけれども。


 ん、何? ダンが袖を引っ張ってくる。


「……おい、ヤベーのがお出でなすったぜ」

「ドラゴンがコンビで出てくることもあるんだなあ。どっちがボケでどっちがツッコミだと思う?」

「ハハッ。あんたの軽口が心強く思えるぜ」


 サンダードラゴン二体か。

 もううちのパーティーは全員レベルカンストしたしな。

 ドラゴンくらいならビビんなくったって大丈夫だってばよ。

 どーんと任しておけ。


 しかしいよいよ人形系以外も出始めたか。

 どうやらもう人形系レアフェスティバルはお終いみたいだな。

 祭りは必ず終わるものとはわかっていても、世にも美しいあたしの涙を誘ってしまうわ。

 実に残念だなー。


 しかもドラゴンのいる方帰り道だから、『煙玉』使ってもムダだわ。

 倒すしかないのか。


 ペペさんが嬉々として叫ぶ。


「ようやく私の出番ねっ!」

「えっ? ちょっと待った! ダン、ピンクマン、ペペさん止めて一ターン防御で耐えてて! ドラゴンより数倍ヤベー!」


 ヤバさの極みロマン砲が炸裂しない内にレッツファイッ!


 ダンテの実りある経験! クララの精霊のヴェール! サンダードラゴンの雷撃! アトムが受ける。サンダードラゴンの爪攻撃! アトムが受ける。ナイス防御! あたしの雑魚は往ね! よし、倒した!


「リフレッシュ! もうここに長居は無用だよ。ペペさん送り届けてから帰ろう」


 よかった。

 ペペさんの無差別殺戮魔法(言い過ぎ)の出番がなくて。

 ペペさんわかってなかったかもしれないけど、今もしロマン砲が炸裂してたら方角的にはペペさん家吹っ飛んでたかもしれないからね? 


「ついにドラゴンをザコ扱いか……」

「アハハ、ほんとだ。あたしもえらそーになったもんだ。気分がいいねえ」

「しかも二体だぜ? あのデタラメスキルどこまで進化するんだよ」


 あ、帰るのちょっと待った。

 アトムが『逆鱗』を回収しに行ってるわ。

 素材の採取は冒険者のエチケットだからね。


 帰り道はまだ人形系レアばかりだった。

 ウィッカーマンも倒せたし、魔宝玉もまずまず手に入れることができたので、なかなかの戦果と言っていい。


「残念だけど、人形系レアボーナスデーは今日までっぽいなー。ペペさん、ドラゴンが出たのは、ここ世界樹エリアの魔力条件が、元の状態に戻りつつある証拠だと思うよ。もう大丈夫だろうけど、また何かおかしなことあったらあたし達に声かけてよ」

「うん、わかった。ユーラシアちゃんありがとう。魔宝玉もたくさんもらっちゃって、いいの?」

「いいのいいの。あたしだって自分のクエストの魔宝玉を優先させてもらってるし。素材までいただいちゃってるじゃん」


 今日もいい日だった。

 さて、帰るかな。

 ダンから声がかかる。


「おいユーラシア。あとでギルドに来てくれよ」

「何だよー感謝を形で表したいのか? すぐ行くよ」


 ピンクマンのペペさん礼賛の話かな?

 とりあえず転移の玉を起動し帰宅する。

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