第259話:余計なのが一人いるよ?
ゼンさんにバトルスキルを見せるため、適当な魔物を探す。
「うわ、食獣植物か。一体だし、まーいーか」
「ユーさん、何か問題あるのかい?」
「こいつ『眠りの花粉』使っておねんねさせよーとしてくるじゃん? ゼンさんが寝ちゃうとスキルを見学させられない」
「そんな心配かよ。根性で起きてるぜ!」
レッツファイッ!
ダンテの実りある経験!
「今のがマジックポイントを使うバトルスキルね」
「おう。魔法の時みてえな、魔力の高まりは感じねえな」
クララとアトムは防御。食獣植物の攻撃! アトムはダメージ受けず。
「マジックポイント使わないバトルスキルいくよ。よく見てて!」
あたしの雑魚は往ね! 食獣植物を倒した。
「どう? 参考になった?」
「魔力を高め、それを変換して効果を出すのが魔法か……バトルスキルはあくまで技だな。マジックポイントを使うか使わないかは、効果から見た必要性に過ぎないから……」
厳密な違いはあたしも知らんけど、イメージ掴めりゃいいんだろ、多分。
「ユーさん、ありがとうな。いつかきっとすごいパワーカードを作ってみせるぜ」
「うん、楽しみにしてる」
ゼンさんもスッキリしたようだ。
よかったよかった。
「ところで何か用があったんじゃないのかい?」
「忘れてた。素材換金してもらえる?」
「おうとも」
交換ポイントは一五〇、ピッタリ『スコルピオ』と交換できた。
このカードは通常攻撃で毒付与する効果がある。
が、攻撃力補正が+三〇%と、今まで交換可能になったカードの中で最も攻撃力が高いという特徴が大きいのだ。
ウィッカーマンを倒せず逃がしてしまう確率を少しでも減らしておかないとな。
「交換ポイントゼロになっちゃった。また頑張らないと」
「ハハハ、うちも頑張るぜ。またな」
「さよならー」
ゼンさんに別れを告げ、外のギルド行き転移石碑を目指す。
◇
「こんばんはー」
ギルドに来たがポロックさんはもういない。
やはり五時過ぎてるな。
真直ぐ食堂へ。
おっぱいさんとオニオンさん、ヴィルと、何故かダンがいる。
「遅くなってごめんね」
「「いえいえ」」
食堂の大将に注文を入れる。
「ヴィル、余計なのが一人いるよ?」
「わっちもそう思うぬ」
思うだけか。
ニヤニヤしてる軽薄そうな男、ダンだ。
「つれないじゃねーか」
「いつも通りつれないってばよ」
「ソールとアンセリの同棲生活の話聞きたいだろ?」
「もちろんだよ親友。さあ好きなもの頼んで」
「「同棲?」」
おっぱいさんとオニオンさんが驚く。
「ソールとは『スキルハッカー』の固有能力持ちの少年でしたよね?」
「あの子達まだ若いでしょう?」
「三人ともユーラシアより若いぜ」
思ったよりオニオンさんおっぱいさんの食いつきがいい。
下世話な話題は皆の大好物。
「うーん、正しくは同居」
「もともと母子で暮らしてたソールだが、『アトラスの冒険者』になってお袋さんが一人ポツンなんだな。で、嫁もらえって話になってよ。アンとセリカがソールの家に転がり込んだんだ」
「アンとセリカはソル君のパーティーメンバーで、二人とも一四歳だよ」
オニオンさんは知らないだろうから補足説明しといた。
「嫁姑の関係だと、嫁にとって厳しいものっていう考え方もあるけど、その辺どーなん?」
「寂しいお袋さんにとっては話し相手ができる。アンセリは二人だから慣れない環境でも辛くない。いいことばかりらしいぜ」
「おおう、今んとこ万々歳じゃん」
「料理教わった裁縫教わったって、こっちが何も聞かなくてもアンセリが毎日嬉々として話してくれるんだ」
おっぱいさんのカットイン。
「ソールさんはどう思ってらっしゃるんでしょう?」
「ソル君は辛抱強いからな?」
「ソールは何も言わないな。お袋さんの嫁もらえ攻撃受けなくていいし、アンセリの機嫌いいのは冒険にもプラスだ。このままでいいと思ってるんじゃねえか?」
「嫁二人で正解だよねえ。今日ソル君達にも会ったんだけどさ。ラブい話は出なかったなー」
ペペさん世界樹折っちゃった事件の件でソル君パーティーと共闘したことを、おっぱいさんに説明する。
「ペペさんがいたから遠慮したんだろ。世界樹について聞かせてくれよ」
「根元付近でポキッっと折れてる感じだったな。新しい芽が根側から出始めてるんだけど、冬越せるかわかんないんだって。折れた幹側の枝を切って挿してきた」
「それで大丈夫なのか?」
「うーん、わかんないね。要は折れちゃった世界樹の代わりに魔力を吸う存在があればよさそうなんだ。挿し木が何本かでも根付けば平気なんじゃないかな。明日もう一度見に行くけど」
「明日? 一日置いたって状況変わんねえだろ?」
今度はオニオンさんのカットイン。
「いや、ユーラシアさんはレア魔物狩りに行くんですよ」
「どういうこった?」
「魔境世界樹エリアに人形系レアばかり出るようになってるの。明日も稼ぎに行こうと思って。ウィッカーマンっていう一番強いやつ倒すと羽仙泡珠とか鳳凰双眸珠とか、すごい高そーな魔宝玉落とすんだ。あ、サクラさん。黄金皇珠以上の魔宝玉一〇個越えたよ。頑張れば本当に一〇〇個も夢じゃないかも!」
「応援してますよ」
……心なしかおっぱいさんの笑顔が黒い気がする。
ダンもおっぱいさんの異変に気付いたみたいだな
本当に依頼者誰なんだよ?
「ダンも明日来ない? ピンクマンと」
「カールと? ああ、ペペさんがいるからか」
ピンクマン? カール? と首を捻るオニオンさんに説明する。
「いつもピンクの服着てる魔法銃使いの冒険者なんだ」
「『変態紳士』の二つ名を持つ、ロリの国の住人だ。ペペさんを崇拝してる」
おっぱいさんは頷いているが、オニオンさんが不可解そうな顔をする。
「ロリの国? ……ペペさんって、見かけはお若いですけど、実際の年齢はかなり上じゃありませんでしたっけ?」
「『小生、実年齢を愛でたいのではないゆえ』って言ってた」
「そこだけ聞くとすごいポリシーを感じますねえ」
うむ、激しく同意だ。
セリフだけ聞くと格好いい。
「人形系レア魔物ばかり出現するエリアで、魔宝玉狩り経験値稼ぎか。二度と経験できないだろうな。面白そうだ、付き合おう。カール捕まえとくぜ」
「うん、じゃ明日の午前中にギルドで」
ピンクマンをペペさんに会わせるのも一興だしな。




