第257話:ぎゃーまずーい!
世界樹に辿り着くまでに、もう一体のウィッカーマンを倒すことに成功した。
やったぜベイビー!
今度は黄金皇珠と羽仙泡珠をゲット。
クララが言うには、価格的に黄金皇珠は必ず落とし、羽仙泡珠はレア、鳳凰双眸珠がスーパーレアなのではないかとのこと。
イコールウィッカーマンを倒せば、必ずクエストの対象となる魔宝玉が手に入るとゆー寸法だ!
心配はこっちのレベルが上がった時に、ウィッカーマンが問答無用に逃げちゃわないかってことだけだな。
ソル君がため息吐いてら。
「世界樹の上部は完全に分離していますね」
「まーペペさんのロマン砲だからな。ロマン溢れる惨状だろうとは思ってた。クララ、どお?」
ロマン溢れる惨状って我ながらひどいわ。
折れた世界樹の根付近を調べていたクララが答える。
「ひこばえが出てきてますので、折れた世界樹の根も生きてはいますね。しかしこのまま冬を越せるかどうかは未知数ですし、世界樹としての役割を今後果たすこともできないでしょう」
「やっぱ世界樹って特別な木なんだ? 珍しい?」
「樹種としてはトネリコで、魔力をたくさん吸収することのできる変種なのだろうと思います」
「ふんふん。対応としてはどうしとくのが一番良さそう?」
「時期的に難しくはありますが、若い枝を挿し木しておき、何本かでも根付いたらより安定が早いかと思いますが」
「よし、言う通りにしておこう」
皆で倒れた世界樹から若枝を切り、近くに挿して回った。
近くに挿したのは、漏れ出る魔力によって活性が高くなるのではないかという、ペペさんのアイデアからだ。
「せっかくだから帰りも経験値君達を倒していきたいけど、あたしのマジックポイントが心許ないんだよね」
ウィッカーマンを倒すためには、あたしの持つ最強のバトルスキル『ハヤブサ斬り・零式』を連発しなければならない。
与ダメージも大きいんだがマジックポイントもかなり持ってかれるのだ。
「ボス、魔法の葉がメニーメニーあるね」
「小腹がすいたところだし食べとこ」
こんなボーナスデーは滅多にあるもんじゃないしな。
魔法の葉を売却するためにキープしておくより、使ってマジックポイントにし、ウィッカーマンを積極的に倒した方が有意義だ。
魔法の葉をまとめて口にする、が?
「ぎゃーまずーい!」
何だこれ?
魔法の葉ってこんなに不味いの?
目がチカチカするんだけど?
「ユーラシアちゃん、魔法の葉の地獄の味を知らなかったの?」
「知らなかった。食べたの初めてなんだ」
地獄の味、まさにそんな感じだ。
アンセリが笑ってら。
魔法の葉が不味いってのは、冒険者界隈では有名な話みたいだな。
いつか誰かに食わせたろ。
◇
結局帰りも経験値ツアーとなり、ウィッカーマン二体を含め、人形系レア魔物を倒しまくった。
黄金皇珠六個、羽仙泡珠三個、鳳凰双眸珠一個の大戦果だ。
うちのパーティーのレベルは全員九二となる。
ダンテの経験値倍増スキル『実りある経験』と経験値五割増しのパワーカード『ポンコツトーイ』の恩恵があるとはいえ、ウィッカーマン倒した時の取得経験値って多過ぎない?
ソル君パーティーも全員レベル五〇を越えたようだ。
めでたしめでたし。
ペペさんがおずおずと話しかけてくる。
「ユーラシアちゃん、今日はありがとう。これあげる」
スキルスクロール?
「あっ、あたし専用のやつ? できたの?」
ペペさんが慌てて首を振る。
「いや、ユーラシアちゃんのはまだなの。これは『豊穣祈念』っていう、その戦闘中のアイテムドロップ・レアドロップ確率が増えるバトルスキルなのよ。誰でも覚えられるわ」
「ありがとう! 今一番欲しいやつだ!」
レベル九九カンストが迫っている。
ダンテの経験値アップスキル『実りある経験』を使わなくなるから、今後どうしようかと思ってたところだ。
効果も含めてとてもありがたい。
「今日、すごーく楽しかったわー」
「魔物がポロポロ魔宝玉落としてくの楽しいでしょ?」
「楽しい。あれは今まで知らなかった快感だったわ。ロマンね!」
うむ、あれは紛れもなくロマンだ。
共感者が増えて嬉しい。
「人形系を倒せるスキル作ってよ」
「え? でもユーラシアちゃんには必要ないでしょう?」
「ソル君に作ってやってくれると嬉しいな」
「えっ?」
ペペさんが戸惑っている。
わかる。
自分が認めた冒険者以外にスキルを作る気なんかさらさらないに違いないから。
「ソル君は『スキルハッカー』の固有能力持ちなんだ」
「『スキルハッカー』?」
やはり知らないか。
いつも寝てるもんな。
「魔法でもバトルスキルでも、一二個までなら何でも覚えられるっていうレアな固有能力だよ。強力なスキルを覚えるほどソル君は強くなれるんだ」
「何でも?」
「本来習得条件を満たしていないスキルであっても。例えば究極魔法『デトネートストライク』もソル君は覚えられるんだ。すごいでしょ?」
「うん、すごい」
ペペさんの目の色が少し変わってきた。
びしょうじょせいれいつかいのつむぎだす、たましいのねがいをけいちょうせよ!
「ソル君は多分、『勇者』って呼ばれる存在になるよ。あたしが推してる冒険者に乗るのもロマンだと思わない?」
「……それもそうねっ!」
ギルドカードでレベルを確認しているソル君パーティーに声をかける。
「おーい、ソル君! ペペさんがスキル作ってくれるって!」
「えっ!」
「アートでロマンでドリームなやつ作るからねっ!」
「ペペさんわかってる? 対人形系レア魔物のスキルは、一網打尽にしてゴロゴロドロップさせるのがロマンだよ?」
「わかってるわかってる!」
「よろしくお願いします!」
これでソル君パーティーもおゼゼや経験値獲得に困ることないな。
ドラゴンスレイヤーになるのも近いだろう。
「じゃ、あたし達は帰るよ」
「今日は本当にありがとお」
「あっ、そうだ! 経過観察を兼ねてもう一回ここに来たいから、ペペさん明日の朝もギルド来てくれない?」
「うん、わかった」
「じゃあね、ソル君もアンセリもバーイ!」
「「「さようなら」」」
転移の玉を起動し帰宅する。
『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』
予想通りこれもクエストだったか。
レベル九三だってよ。
もうすぐカンストしちゃうぞ?
あたし達もマスタークラスの冒険者かー。
これがぼろ儲けか。
明日も儲けたろ。




