表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

255/2453

第255話:ロマン砲とムダになる先行投資

 ――――――――――六〇日目。


 フイィィーンシュパパパッ。

 今日もまた朝からギルドに出勤だ。

 最近よく働いてる気がするなあ。

 角帽を被った大柄なギルド総合受付が挨拶してくる。


「やあ、ユーラシアさん。今日もチャーミングだね」

「ポロックさん、おっはよー」


 いつも感じのいい人だなあ。

 ポロックさんがクイクイと親指でギルドの中を指す。


「ペペさんが待ってるよ。かなり気合入ってる」

「あっ、待たせちゃったかな」

「ペペさんが世界樹を折ってしまったという、例の件の調査なんだろう?」

「うん。現地で何が起きてるか楽しみで」

「楽しみか。ユーラシアさんは大物だね」


 大物なのは間違いないよ。

 急いでギルド内部へ。

 紫のローブとつば広の帽子を身に着け、むやみとデカい杖を抱えたごく小柄な女魔道士がいる。


「ごめんね、ペペさん。遅かった?」

「そんなことないよ。来てくれて嬉しい」


 恥ずかしそうにモジモジするペペさん。

 可愛いな、おい。


「よお、ユーラシア」


 ダンとソル君パーティー?


「こいつらも手伝いたいってよ」

「おはようございます、ユーラシアさん。先日はお世話になりました」

「ソル君も元気そうでよかったよ。アンセリはもっと元気そうだね?」

「「はい!」」


 母ちゃんの仮病でソル君が数日ギルドに来ないことがあった。

 その後アンセリもソル君の家で同居を始めるようになり、今日で三日か。

 居心地良さそうだなあ。

 うんうん、何よりのことだね。


 ダンと視線を合わせる。

 イチャイチャ生活のこと聞いてる? もちろんだ。本人から聞くより面白そうだから、あとで聞かせて。奢れよ。オーケー。

 一瞬の内に意思疎通する。

 こういう時のダンは異常に有能だ。


「ソル君達手伝ってくれるんだって?」

「ええ、オレ達の経験にもなることですから。正直足手まといだとは思いますが……」

「いやいや、すごく助かる。ソル君達はペペさんに余計なことさせないよう、ガードしてくれる?」

「余計なことってひどーい」


 ペペさんは不満顔だし、ソル君パーティーも戸惑っている。

 あ、意味がわかってないみたいだな。


「ガードと言われても、ペペさんってマスタークラスで、最強の魔法の使い手であるドーラ屈指の魔道士なんですよね?」

「君達はペペさんというものをわかってないな。ペペさんが使えるのは魔法じゃない。ロマン砲なんだよ」

「それはそうね」「「「はい?」」」


 まだ理解できないようだ。

 ダンよ、あんたは何をニヤニヤしてるんだ。


「ペペさんは世界樹をぶち折ったりドラゴンをまとめて始末したりするロマン砲は撃てるけど、ふつーの魔法は使えないんだよ。この前の掃討戦でもあのデカい杖でプチプチ魔物を潰してたんだぞ?」

「えっ、そうなんですか?」

「魔法使いの戦い方とは思えないな」

「……つまり、ペペさんに魔法撃たせると調査も何もあったもんじゃないから、絶対に撃たせるな、と?」

「ピンポーン! 世界樹が折れると一時的に周辺の魔力濃度が上がって、素材がたくさん出るかもって話なんだ。ペペさんのロマン砲が炸裂して素材が台無しになったら大損害でしょ?」

「私の役割は案内だけ?」


 ペペさんが悲しそうに言う。


「案内だけではないとゆーのに。これ背負って」


 家から持ってきた予備のナップザックを渡す。


「素材運搬係ね。儲けは山分けだぞ?」

「さすがだぜ、ユーラシア」


 笑いながらダンが言う。

 うっかりエンターテインメントを提供してしまったようだ。


「こっちで聞いた世界樹の情報はいるか?」

「あっ、聞く聞く」

「総じて一時的な混乱に留まるだろうって話だ。新しい世界樹候補があって育てられるならば、混乱の収束は早いだろう。環境の急変に耐え得る一部の魔物のみが増殖する可能性がある、だとよ」


 ふむふむ、やっぱ折れた世界樹の代わりに新しいやつがあれば、一番いいみたいだな。

 しかし一部の魔物のみが増殖する可能性か。

 面倒なのが増えてると困るが。


「わかった、ありがとう」


 ペペさん、ソル君パーティーに向き直る。


「さあ、行こうか」


 あれ、ペペさん家ってどうやって行けばいいんだ?


「私もギルドカードと転移の玉を持ってるから」

「そーだったの?」


 職員や嘱託の店主も皆持ってるのかな?

 フレンド登録して転移の玉を起動、ペペさんの家へ。


          ◇


「すごいですね」

「うん、まあ予想はしてた」


 地形がボッコボコだ。

 魔法の試し撃ちの結果だろう。


「外出るのちょっと待ってね。結界外すから」


 なるほど、魔物避けの結界が張ってあるんだな。

 玄関の横にあるのは、転移石碑?


「ああ、これ回復の石碑なの。以前マルーさん達が作ってくれたのよ。親切よねえ、『先行投資だ』って。後に『ムダになった』って言ってたけど」


 ペペさんの魔法の才能を見込んで投資したものの、ロマン砲で見切りつけたんだろうな。

 その時の状況が見えるようで笑えてしまう。 


「マルーさん……『強欲魔女』って言われてる?」

「うん、そお」


 大地から魔力を吸い上げて黒妖石に溜める技術はマルーさんのものなのか?

 あれ使えれば凄草の栽培楽になるし、冷蔵庫にも応用が利きそうだ。


「会ってみたいな」


 途端にアンセリが嫌そうな顔をする。


「冗談でも関わりたくないようなやつだぞ?」

「『強欲魔女』の名に恥じないがめつさなのです」

「知ってるんだ? ダンもクソババアって言ってたな」

「カトマスの有名人だよ」


 『強欲魔女』マルーさんはカトマスの人なのか。

 レイノスと西方を結ぶ村カトマスは、アンセリの出身地でもある。

 ダンもアンセリも実力者と知り合いでいいなあ。


「鑑定士なんだが、鑑定料が法外でな」

「でも正確は正確なので、カトマスの少年少女は成人になると必ず見てもらうことになってるんです」

「裏金を巻き上げる仕組みが作られているのに違いない」


 ふーん、ますます興味あるが、今日はマルーさんがどうのって目的じゃないし。


「ヴィルカモン!」


 しばらくしてヴィルが現れる。


「ヴィル参上ぬ!」

「よーし、ヴィルいい子! ペペさん、世界樹ってどっちにあったの?」

「あっち。北西に強歩二〇分くらいのところ」

「ヴィル、ここからあっちへ、どんな魔物が出るか見てきてくれる? 他に注意しなきゃいけないようなことがあったら教えて」

「わかったぬ!」


 ヴィルが飛んでいく。

 任せておけば安心だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ