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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第247話:ダンは『タフ』

「マウ爺、俺も混ぜてもらっていいかい?」


 返事を待たずに腰掛けるずうずうしい男、ツンツン銀髪のダンだ。

 いつもいいタイミングで来るなあ。

 感心するわ。

 もっともダンがいるほうが都合がいいか。

 いろんな角度からシバさんの話を聞けるかもしれない。


 マウ爺がシバさんに説明する。


「うむ、こやつは『ギルドのパパラッチ』と言われているダンだ」

「聞いたことねえよ! でも悪かねえな」


 え、気に入ったのかそれ?

 ダンのセンスもわからんなー。


「シバさんの話を聞ける機会なんか、そうそうねえからな」

「シバさんもギルドあんまり来ない人なんだ?」

「一人が性に合うのでな」


 多分シバさんがポロックさんの義父なんだろう。

 あんまりしょっちゅう出入りしてると、ポロックさんの挙動不審が収まらなさそう。


「よいかな、お主のことをこの二人に話しても?」


 シバさんが頷き、マウ爺がダンに水を向ける。


「ダンよ、お主シバについてどんなことを知っておる?」

「シバさんと言やあ伝説的な存在だ。噂が噂を呼んで何が本当かわかりゃしねえし、大したことを知ってるわけじゃないが」


 前置きしてダンが話し始める。

 シバさんがすごい人なんだということは伝わった。


「現役の『アトラスの冒険者』で最強、ドーラに三人いるマスタークラスの一人。もっともこいつらのパーティーも、近い内にマスタークラスになるだろうけどな」


 と、あたしを指す。

 別にマスタークラスなんて狙ってないんだが。

 シバさんが興味を持ったようだ。


「ほう、そんなにか?」

「ユーラシアはレベルの上げ方がデタラメなんだ」

「デタラメゆーな。合理的とか効率重視って言ってよ」

「まだ『アトラスの冒険者』になって二ヶ月も経ってないが、レベルは五〇超えてるんだぜ」

「あ、今六五だよ」


 ダンとマウ爺は苦笑するだけだが、シバさんは相当驚いたようだ。


「あり得ない。どういう理屈で?」

「いや、お金がなくって人形系レア魔物を選んで倒してるだけなの。今は黄金皇珠以上の魔宝玉持ってこいってクエスト請けてるんで、ウィッカーマンをどーにかして倒せないかって、試行錯誤してるところなんだ」


 シバさんが腕を組み大きく頷く。


「非常に面白い!」

「シバがこんなに興奮するのは珍しいの」

「面白い扱いだよ。もうちょっとこう、あたしの美貌に配慮してもらえると」


 ダンがスルーする。

 ツッコミどころを用意したのに。


「続けるぜ? シバさんはほとんどソロで戦っている。職種は吟遊詩人と聞いた」

「吟遊詩人?」


 いわゆる旅芸人的な吟遊詩人ではなくて、冒険者としての吟遊詩人とかバードとかいう職種があることは知っている。

 でも音楽で味方を鼓舞したり敵を意気阻喪させたりする支援職だと思ってた。

 違うのかな?


「驚異的な『デスソング』で味方にも被害が出るからソロなんだとか、傷一つなく魔物を倒すから素材屋や剥製に引っ張りだことか聞くな」

「何それ、『デスソング』すごい」

「すごいぬ!」

「一体どこまでが本当なんだ?」

「全部本当じゃよ」


 マウ爺が語り始める。


「シバは若い頃、本来の意味での吟遊詩人志望での。しかし歌うと客が調子を崩すのでやっていけぬと悟った。絶望していたところに地図の石板が届いて『アトラスの冒険者』となったのじゃ」


 ごく低レベルの頃の話だろうに、歌うだけで客の調子を崩すってヤバくない?

 うまいこと『アトラスの冒険者』に拾われたんだなあ。

 そんなおかしい能力持ちの人は冒険者が天職だわ。


「固有能力は『バード』と『鑑定』持ちじゃ」


 ダンがため息を吐く。


「『鑑定』はいいな。使いでがある。食っていける能力だ」

「『鑑定』ってどんな固有能力持ってるか見るやつだっけ?」

「ああ。俺は何の固有能力も持たないからな。羨ましいぜ」

「羨ましいぬよ?」


 ん? ダンが固有能力を持ってない?

 そーかな?


「ねえシバさん。固有能力ってどういうものなの?」


 あたしも固有能力について根本的なことは知らない。

 なくてもいいけど、あれば便利な能力くらいの認識だ。

 いい機会だから専門家の意見も聞いとこ。


「個性の一種だな。人は必ず一つ以上の固有能力の素因を持つ。ただし発現するのは四、五人に一人だ。ユーラシア君のように多くの素因を持ち、しかも四つも発現しているのは珍しい。非常に興味深い」


 しげしげとシバさんに見られる。

 まるで珍獣扱いだよ。

 ってのはともかく……。


「ダンって固有能力発現してないのかな? あたしにはそう思えないんだけど」

「『タフ』が発現しているな。クリティカル攻撃を受けない、ガードした際の防御力上昇効果が高いというものだ。少しだが、レベルが上がればスキルも覚えるはず」

「えっ?」

「あんた、自分のことだとそんな間抜けな反応しかできないの? ギルドが誇る芸人でしょ?」

「芸人じゃねえよ! ……俺も固有能力持ちだったのか」


 すげえ嬉しそうだな。

 しかも前衛冒険者として悪くない能力だ。


「初めてギルドに来た時調べてもらったんだが、固有能力はないって言われたんだ」

「あとから発現したのだろう。珍しいことじゃが、ないわけではない」

「あとから固有能力が発現することって、ほとんどないみたいだね。でもあたしも知らない間に『ゴールデンラッキー』が増えてたんだよ。どういう時に増えるとか、法則があるのかなあ?」

「同じような生活を続けていて発現することはない。自分の身に起きた衝撃的な出来事や影響力の強い何かが、たまたま自分の持ってる固有能力の素質に合致している場合に、発現のきっかけとなる。また発現を促す固有能力もある」


 へー、発現を促す固有能力ってすごいな。


「嬢よ、お主ダンに何かしたか?」

「いつもオチ担当にしてるだけだよ」

「それじゃな」「それだ」


 マウ爺とシバさんが断定する。

 何だってばよ?


「嬢ほどの個性が弄り回すから、ダンの耐え受け流す固有能力が日の目を見たのじゃろう。よかったの」

「あんたのせいかよ! いや、おかげかよ!」

「ええ? おかしなところで持ち上げられても複雑なんだけど?」

「今度何か奢るぜ」


 気にせんでいい。

 固有能力の発現とか関係なく、ダンには奢らせると決めてるから。


「もう一つ、固有能力には強さがある」

「強さ?」


 今日は勉強になるなあ。

 クララを連れてくればよかったよ。

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