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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第2451話:かれえと赤眼族&おめでたおっぱいさん

 ――――――――――エンディングエピソードその四四:かれえと赤眼族。


「むーん?」


 材料を持っていって、赤眼族の集落でかれえを作って披露したのだが?


「これがカレーか。実に美味いじゃないか」

「未完成だ」


 村長とミサイルの評価が正反対。

 今までかれえと称してた草の汁よりはずっと美味い。

 でもミサイルはチュートリアルルームで、本当に美味いかれえを食べてるから。


「不味くはない。それなりに食べられるレベルではあるけど、ミサイルの言う通りこれは未完成だな。でもこれ、赤眼族に残されてるレシピ通りに作ったんだよ」

「尖った味がする。俺は前に食べさせてもらったかれえがいい」

「これは反論できないわ」


 どうやら現在の『アガルタ』のかれえは、一〇〇年前のレシピとは別物と考えた方がいいとゆーことがわかった。

 一〇〇年の間に進化したんだろう。

 当然考えられることだった。


「でも、かれえと言われればかれえだよね」


 ミサイルも頷いている。

 くみん、たあめりっく、こりあんだあの組み立ては同じだもんな。

 かれえの特徴的なところは赤眼族のレシピでも出ている。


「なるほど、ドーラ式に改造しなきゃいけないとゆーことは理解した」

「もっと美味くなるのか?」

「絶対になる」


 要するに肉感と野菜感が足りていないのだ。

 骨スープと野菜のペーストを加えるだけで格段においしくなるはず。

 しかしるうはどうなんだ?

 このまとまりの感じられない味を一体にするのは、るうの役割のような気がしなくもない。

 要検討だな。


「あたしもこんなんがかれえと思われたんじゃ納得いかないわ。色んな野菜が使える夏から秋の内に改良しよっと」

「十分美味いと思うんだが」

「美味くない」

「その通りだ。かれえはもっと美味いはずだ。ま、赤眼族は赤眼族で改良してってよ」


 あたしにはこのかれえをどう弄っていくか、あたしなりの方向性がある。

 けど、赤眼族ふうに進化したかれえもおいしいかもしれないし。

 待てよ? 魚粉を大量に投入したら旨みが強くていいかもな。

 魚臭さは香辛料で消えそう。

 とすると進化の方向性も思ったよりたくさんあるかも。

 可能性がたくさん感じられるのは楽しみだなあ。


「くみんとこりあんだあの種、たあめりっくの根っこは置いてくから増やしてね」

「すまんね」

「くみんとこりあんだあは栽培難しいことないけど、たあめりっくはまだうちも手探りのとこあるんだ。上手な育て方がわかったらまた教えに来るよ」


 さて、今日の用は以上かな。

 かれえについての所見が得られたのは大いなる前進だ。

 『アガルタ』みたいにるうを使って誰にでも作れる家庭料理にするのもいいけど、せっかくだから美味さを追求して違った方向に進化させたいものだ。

 いずれドーラ名物にしてくれる。


 村長が言う。


「あの縞模様の建物あったろう? 近付いても痺れる感覚がなくなったんだ。どういうことか知らないか?」


 ははあ、『アークセコイア』を破壊したことで異世界との連携が途切れて、麻痺のバリアかなんかが切れたんだな?

 実に都合がいいじゃないか。


「今後はもう痺れなくなるから、あの建物を有効に使ってやってよ。倉庫にいいんじゃないかな。入り口教えるから今から行こー」


 ついでにあたしもガンガンしてこ。


          ◇


 ――――――――――エンディングエピソードその四五:おめでたおっぱいさん。


「ポロックさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、ユーラシアさん。今日もチャーミングだね」


 ギルドにやって来た。

 今日も玄関からだ。

 あたしはヴィルとの連携でどこへでも飛べるので、わざわざ皆の転移先であるギルドエントランスに合わせることない。

 ほら、誰か転移してきた。


「ピンクマンとサフランだったか」

「カールさん、いらっしゃい。カールさんもユーラシアさんも、まだ新しいギルドカードを持ってないだろう?」


 おお、新しいギルドカードか。

 この前アルアさん家で見せてもらって満足した気でいた。

 ポロックさんが後ろからゴソゴソ取り出す。


「これだよ。一人分三〇〇〇ゴールド。ヴィルちゃんもエクストラメンバーだったね」

「そうだぬ!」

「じゃ、あたしは六〇〇〇ゴールドの支払い。ヴィルの分ももらってくね」


 いつもニコニコ現金払いだ。

 やり方知ってるけど、ポロックさんの指示に従って登録を終える。

 ハハッ、ヴィルが嬉しそうだ。

 ぎゅっとしたろ。

 しかし……?


「ポロックさん。こういうことはサクラさんの担当ではないのか?」

「あ、ピンクマンも疑問に思ったか」

「いや、サクラさんは調子を崩されていてね」

「えっ?」


 ピンクマン驚いてるけど、あたしは心当たりある。

 魔境でのオニオンさんのあの不審な態度は……。


「いや、大事ではないよ。妊娠されたとのことで」

「ああ、そうだったのか」

「おめでとうございまーす!」


 知り合いのおめでたってのは嬉しいことだなあ。

 でも調子を崩してるのに押しかけちゃ悪いか。

 お見舞いに何かおいしいものでも持っていってやりたいけど、妊娠すると味覚が変わるって聞いたことあるわ。

 オニオンさんに確認した方がいいな。


 あれ、サフランがうちもそろそろみたいな顔して、ピンクマンにぴとっとひっついてるぞ?

 あんたらまだ結婚してないんじゃないの?


「ポロックさんのところも二人目がそろそろなんだろう?」

「あと二ヶ月くらいだね」

「賑やかになりそうだねえ。今度は男の子だろうから」

「ユーラシアさん、わかるのかい?」

「何となく。ただのカンだけど」


 ポロックさんピンクマンサフランが驚いたような目で見てくる。

 いや、ポロックさんとローラさんの子で長女がポーラなら、二人目はロロックで男の子だなって勝手に思ってるだけだよ。

 あたしを過大評価すんな。


「サクラさんが休みがちなので、依頼受付所の業務が滞るんだ。誰かサポートにちょうどいい人材はいないかい? できればある程度『アトラスの冒険者』の事情に通じている人がいい」

「『アトラスの冒険者』の事情に通じているという条件が難しいな」

「魔境需要が減ってるから、期間限定でペコロスさんをギルドに戻す手はあるんだが」

「魔境は魔境でガイドいないと危ないもんな。あっ、ちょうどいい人がいる! 話してくるよ。その人用の転移の玉とビーコンのセットちょうだい」

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