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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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2443/2453

第2443話:ビバちゃん婚約カウントダウン

 ――――――――――エンディングエピソードその三四:ビバちゃん婚約カウントダウン。


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」

「ふおおおおおおおおお?」


 ウルリヒさんからビバちゃんが婚約するとゆー情報を聞いたので、ルーネを連れてフェルペダの王宮にやって来た。

 皆まとめてぎゅっとしている。

 ちなみに変な声を上げてるのはヴィルではなく、どこぞの知らない令嬢だ。

 えーと?


「ビバちゃん、この子は誰かな?」

「オクタヴィアンの姉のアドリーヌよ」

「初めまして」

「アドリーヌちゃんか。よろしくね」

「よろしくお願いしますぬ!」


 しかしオクタヴィアンっていう名前自体に心当たりがないんだが。

 マジで誰?

 侯爵令息?

 ビヴァちゃんの婿決めの際に顔合わせした?

 ああ、はいはい、一番年下の子か。

 ようやく理解したよ。

 あたしルーネヴィルの紹介をしておく。


「ビバちゃんにお友達ができたのか。出来の悪い娘だけどよろしくね」

「出来が悪いと決めつけないでくださいましっ!」

「あは、あははは」


 気の抜けた愛想笑いだ。

 おっとりしているというか、ノリの悪い令嬢だな。

 いや、高位貴族の令嬢なら普通はこんなもんか。

 さっきの『ふおおおおおおおおお?』の影響が抜け切れてないのかもしれない。

 あるいはあたしのエンタメに対する要求水準が高過ぎるとゆーこともあるか。


「今日はどうしたんですの?」

「ビバちゃんの婚約が発表されるみたいな話を聞いたんだ。それで様子見に来たの」

「そうなんですか?」

「あれ、アドリーヌちゃんは知らなかったか」

「私も存じなかったですわ」

「御本人様が? とゆーことは……」


 ウルリヒさんの受け取った連絡はフェルペダから受け取った正式なものだろうから、間違いがあるはずがない。

 ビバちゃん自身が知らないとなると、あえて隠してあるみたいだな。

 詳しい事情はわからんけど、まだ言っちゃいけないことだったようだ。


「誤報だったか。ま、そゆこともある」

「世の中真実ばかりとは限らんぬ!」


 ハハッ、ヴィルいい子だね。

 ぎゅっとしたろ。

 一方でルーネがあれっ? みたいな顔してるけど、目で合図する。

 どうやらビバちゃんの婚約については、厳密に発表のタイミングを計ってるってことなのだろう。


 ウルリヒさんからの祝賀の返信で漏れることだってあるんだから、おそらく数日中に発表されることは間違いない。

 あたしが転移で飛んできてバラすことは計算外だったんだろうな。

 計画してる人の思惑を外してしまってはよろしくない。

 ここで漏れるとビバちゃんの首ちょんぱタイマーが進んでしまうってことにもなりかねないので、一応誤魔化しとくのだ。

 聖女らしい配慮を見せるあたしは偉い。


「まーでも婚約発表の噂が出るってことは、順調なんだと思っておくよ。最近はアドリーヌちゃんと仲がいいんだ?」

「アドリーヌはのんびり屋さんですので、あなたに会ってささくれた心を癒してくれるんですのよ」

「おいこら、あたしに会うとささくれるって語弊があるだろーが。訂正しろ」

「しないぬ!」


 アハハと笑い合う。

 アドリーヌちゃんもちょっとあたし達のテンポがわかってきたようだ。

 エンターテインメントを楽しんでください。


「アドリーヌはシプリアンの婚約者に決まりそうですのよ」

「誰だシプリアン」

「あなたも顔合わせの時に会っているでしょう? ローランサン公爵家の令息の」

「おお、思い出した。顔はビバちゃん好みの」

「そうそう。きゃっ、恥ずかしい!」


 何を恥ずかしがっているのだ。

 あんたの旦那になる人の方がずっと優秀だわ。

 どーも顔で判断するビバちゃんのクセは治りそうにない。

 首ちょんぱタイマーの針が進む懸念あり。


「あのいかにも高位貴族っていう雰囲気のある人か」

「あなたどう思います? アドリーヌとの相性は」

「悪くない。ビバちゃん次第で幸せになれると思う」

「えっ? 私次第とはどういうこと?」


 ビバちゃんったらキョトンとしとるわ。

 わかってないのか。

 そのメイクでとぼけたような顔してると人形みたいに見えるな。


「公爵令息の婚約者が決まってなかったのって、どう考えてもビバちゃんの婿っていうセンがあったからだろーが。つまりアドリーヌちゃんの婚約が遅れたのはビバちゃんのせい」

「ご、ごめんなさいね、アドリーヌ。あなたの幸せを邪魔していたみたい」

「いえいえ、そんなことは……」

「アドリーヌちゃんとは仲良くしときなさい。でないと後々までビバちゃんのせいでーってネチネチ言われちゃうぞ?」

「あっ! ヘイト案件ね?」

「そゆこと」


 ビバちゃんが変な踊りを踊っているけど、これは単純なヘイト案件ではない。

 公爵令嬢たるアドリーヌちゃんとの関係はひっじょーに重要だ。

 ビバちゃん自身にこれまで社交経験がなく、しかも配偶者が他国人宰相の息子。

 フェルペダ貴族との繋がりが薄いからだ。


 侯爵や公爵が何人いるか知らんけど、アドリーヌちゃんやその婚約者の家がフェルペダを代表する大貴族であることは間違いない。

 おそらくアドリーヌちゃんは、大貴族と濃い目の繋がりを得るという国王の意図で、ビバちゃんとこに送り込まれてるんだろう。

 ビバちゃんのコントロールされた『アイドル』の効果なら、アドリーヌちゃんに普通に好かれると思われる。

 またアドリーヌちゃんは控えめな淑女で、ビバちゃんに悪影響を及ぼしそうにない。

 お友達としてベスト。


「弟のオクタヴィアンが固有能力持ちだと、ユーラシアさんが気付いたと伺いました」

「そーいえばそうだった。調べたかな?」

「はい。『饒舌』というものだそうで」

「沈黙無効のやつか。よかったねえ」


 お貴族様が『饒舌』持ちで大してメリットあるような気はしないけど、話のネタくらいにはなるだろ。

 フェルペダでもあんまり固有能力を調べる風習がないようだ。

 カル帝国も同じだけど、やっぱレベルが重視されない裕福で進んだ国は、固有能力の重要性が低いんだな。

 

「これあげる。弟さんにどーぞ。カル帝国でも導入予定の消火の魔法のスキルスクロールだよ。火事の初期消火に役立つ、レベル低くても一発は撃てるってやつ」

「ありがとうございます!」


 いずれ必要ならドーラから輸出するよ。


『ぐう』

「そーだ。昼御飯食べに来たんだった。お土産にお肉があるよ」

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