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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第2441話:ビアンカちゃんの幸せ

 ――――――――――エンディングエピソードその三一:ビアンカちゃんの幸せ。


「意外だな」

「意外ですか?」

「意外だぬ!」


 ビアンカちゃんが婚約者に内定している人に会わせてくれるとのことで、帝都のドレッセル子爵家邸にお邪魔した。

 社交シーズンになるとヤニック君とハンネローレちゃんの婚約がまず盛り上がるだろうから、ビアンカちゃんの正式な婚約と発表はタイミングをずらすそうな。

 余計な配慮が必要なんだなあ。

 そしてそのお相手というのが……。


「宮廷魔道士かー」

「ニミッツ子爵家三男のイエルクと申します」


 以前のルーネの推測通り、ビアンカちゃんのお相手は宮廷魔導士だった。

 ただビアンカちゃんは何だかんだ言っても今上陛下のお従妹様だ。

 どこぞの大貴族の跡継ぎのお嫁さんになる、とゆー考え方が本線だったと思われる。

 貴族の出の人だろうけど、宮廷魔道士とはね。


「あとはお若いお二人で」

「早過ぎるぬよ?」

「最近ヴィルのツッコミが実に的確だな。ぎゅっとしてやろうね」

「ありがとうぬ!」


 あれ? 何故ルーネとビアンカちゃんまでぎゅーしに来るのだ。

 若き宮廷魔道士が苦笑しとるがな。


「そもそもどこで知り合ったの?」

「たまたまお話をいただいて」

「そりゃ帝国貴族が知り合うなんて社交か紹介しかないか」

「お会いしてみたら共通の話題で楽しい時が過ごせまして」

「えっ?」


 ビアンカちゃんと宮廷魔道士に共通の話題?


「つまりイエルク君もラブ話が好きと」

「違いますよ。魔法です。ユーラシアさんに教えていただいた」

「あっ、『全知全能』か」


 マジックポイントを使用し触れたものの情報を得るという、固有能力『道具屋の目』に似た効果の魔法だ。

 『魔法スキル大全』にも載ってない魔法だから、確かに宮廷魔道士なら興味あるかもしれないな。


「そーか、あたしのおかげだったか」

「ユーラシアさんのせいです」

「お? ルーネが突っかかるね」

「どう思います?」


 子爵家の三男じゃ家は継げない。

 わざわざ選んでそんな相手じゃなくてもっていう、ルーネの考えみたいだな。


「いいと思うよ」

「相性がってことですか? でも……」

「二人の相性もいいんだけどさ。ビアンカちゃんが大貴族の奥さんになってバリバリ社交をこなしたり領地を切り回す手伝いしたりってゆーのが、どーも想像つかない」


 ルーネもわずかに頷く。

 人間向いてないことやるのはよろしくない。

 皆が不幸になっちゃうよ。


「私の両親も同じことを言っているんです」

「さすがに親御さんはビアンカちゃんのことをよく見てるな。宮廷魔道士はお給料もいいって近衛兵が言ってたし」

「まあ、それなりに」

「宮廷魔道士は騎士爵もらえるんだっけ?」

「一級魔道士以上の階級だと騎士扱いになります」

「貴族出身の宮廷魔道士は一級になるの簡単みたいだぞ? 騎士爵持ってるなら社交も全然問題ないんじゃないの?」


 とゆーかビアンカちゃんは社交で主役になるような子じゃないわ。

 そのくらいのポジションにいる方が、アワアワしなくて気楽な感じがする。

 代わりに作家として文壇をリードすればいいよ。


「作家としても帝都住みの方が都合がいいじゃん。領主貴族の奥さんだと、領地での付き合いが重要になるケースも多いんだろうし。集中して執筆ってわけにもいかないでしょ?」

「そうでしょうね」

「ほら、万事都合がいい」

「ユーラシアさんは社交に出ないんですか?」

「いや、あたしにドレスはどー考えても似合わないから」


 社交に活発な人と知り合いになるのは難しくない気がするしな?

 わざわざパーティーに出なきゃいかん必然性がないとゆーか。


「男装すればいいじゃないですか」

「おいこらルーネ。あたしを何だと思ってるんだ」

「ふあああ、似合ってましたよ」


 ルーネやビアンカちゃん的に舞踏会はツボだったらしい。

 わかってないイエルク君に説明っと。


「ははあ、仮面で舞踏会に登場と」

「そーなの。お父ちゃん閣下の我が儘も困ったもんだ」

「ところで『全知全能』なんですけれども」

「そっちを掘り下げるのか」


 さすがは宮廷魔道士だな。


「オリジナルではないんですよね?」

「レベル上がった時の自然習得だよ。あたしは『限突一五〇』っていう、レベル上限が一五〇になる固有能力持ちなんだけど、カンストした時に習得したの」

「レベル一五〇というのはマネできませんねえ」

「レベルだけが習得条件なのか、あるいは他に要件があるのかはわかんないけど」


 メチャクチャ使う魔法ではないけれど重宝している。

 今後あたしの世界が広がると、わけのわからんアイテムに出遭う機会も多いだろうから。


「僕は魔法の研究がしたかったのですけれども、平民が研究、貴族は護衛や社交という住み分けがあるようで」

「うーん、平民出身者に護衛や社交は基本的にムリじゃん? 必然的に貴族出身者の役割になっちゃうんだろうなー」


 マーク青年みたいにレベル上げすれば軍務は務まるだろうけど、効率考えるとなあ。

 それこそ平民出身の宮廷魔道士は、研究で結構な成果を出すと思われてる天才揃いみたいだし。

 魔道研究所行くと天才揃いって気は全くしないけど。


「暇な時は訓練ばっかりですよ。若い内は魔物退治で出張することも多くて」

「貴族の宮廷魔道士は軍人みたいなんだねえ」

「ハハッ、研究には憧れますけれどもね」


 でもビアンカちゃんがホンワカしてるから、旦那さんはパリッとしてる人の方がよさそう。

 お似合いだと思います。


「ビアンカちゃんのお相手がちゃんとした人で安心した。ルーネ、帰ろうか」

「えっ、もうですか?」

「二人のラブラブタイムを邪魔する気はないんだ」


 赤くなるビアンカちゃんとイエルク君。

 わかってるって。

 研究に勤しんでる平民出身者の手前、あんまり休暇も取れないんでしょ?

 思う存分イチャイチャしてくださいニヤニヤ。


「ドーラの天才魔導士が作った、『大魔道士の祝福』ってゆー魔法があるんだ。いい機会だから見せてあげよう。大魔道士の祝福っ!」


 支援魔法は奇麗なやつが多い。

 『大魔道士の祝福』は視覚効果の範囲は狭いけど、星が降るみたいで素敵なのだ。


「ふあああああ……」

「美しい……」

「ビアンカ様の本、帝都でも発売されたんですよ。売れ行きいいらしいです」

「よしよし。二重におめでたいね」

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