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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第2439話:メイドリリー

 ――――――――――エンディングエピソードその二八:メイドリリー。


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 飛びついてきたヴィルとリリーをぎゅっとする。

 ハハッ、リリーもノリがいい。

 リリー黒服イシュトバーンさんを連れてガータンにやって来た。

 画集第二弾帝国版の絵を描くためだ。

 何でガータンかって?

 そりゃヘルムート君にも今日のリリーを見てもらいたいからニヤニヤ。


「なあ、ユーラシア」

「何だろ?」

「この装いはやはりおかしいのではないか?」


 リリーには皇宮侍女の格好をさせているのだ。

 リリーらしくもなくモジモジソワソワしている。

 着慣れない格好は落ち着かないらしい。


「おかしくはないよ」

「可愛いぬよ?」

「まあでもスカートがちょっと長いかな、とは思う。皇宮侍女のユニフォームはクラシカルだよね。ハンネローレちゃん家かビアンカちゃん家の侍女の格好の方がベターだったかもしれない」


 皇宮侍女の服装はくるぶし近くまでスカート丈があるのだ。

 とってもエレガント。

 ハンネローレちゃん家やビアンカちゃん家の侍女服は軽快な動きを念頭に置いてるのか、やや丈が短いとゆー特徴がある。


「そーいや金髪ブタ男爵んとこの侍女服はメッチャキュートだったな。あれを借りてくる手もあったか」

「クラシカルなのはグッとくるんだぜ」

「あれ、イシュトバーンさんはスカート短い方がいいのかと思ってた」

「いや、侍女服の必要性があるのかということなのだが」


 まだそれを言うのか。

 必要だとゆーのに。


「リリーは前の画集でカッコいいとこ見せたじゃないか。画集を買ってくれる人には敬意を表さないといけない。満足感を与えなきゃいけないんだよ。だから第二弾ではリリーの可愛いところを見てもらおうというコンセプトだね」

「何故侍女服なのだ。ユーラシアだって次回もモデルなのであろ? 前回は凛々しい表紙だったではないか」

「だからあたしは次回は水着だわ」

「あの布面積の小さいやつか?」

「そうそう。リリーも水着モデルが良ければそーするけど」


 ブンブン首を振るリリー。

 よしよし、そもそもどうして今回もモデルになるのかという疑問は持ってないようだな。

 帝国でリリーの人気は鉄板だ。

 新聞アンケートも一位だったから、第二弾を買ってくれる人にはぜひとも可愛いリリーを見てもらわねばならん。


「でもリリーの水着姿は見たい気がするな」

「オレもだぜ。どうにかならねえか?」

「み、水着姿は他人に見せるものではないのだ!」


 イシュトバーンさんの心眼だか煩悩眼だかにリリーの水着姿を晒す理屈は、ちょっと思いつかないな。

 着ること自体に抵抗はなくても、見せることには抵抗があるらしい。

 なるほど?


「おーい、ヘルムート君!」


 領主のヘルムート君と領宰のベンジャミンさんが出てきた。


「ユーラシア殿か。ん? そちらはリリー様?」

「そーなんだよ。リリーのこういう格好は新鮮でしょ?」

「ハハッ、しかしどうして侍女服を?」

「ユーラシアにムリヤリ着させられたのだ!」


 ムリヤリ着させられたではわからんだろーが。

 もっと情報をサービスしろ。

 画集第二弾のモデルがどうのこうの。


「……とゆーわけで、今回のリリーは趣向を変えてキュートアピールなんだ」

「うむ、侍女服でもお美しいですよ」

「おおう、ナチュラルに殺しにいくなあ」


 リリー真っ赤やないけニヤニヤ。

 いい絵になりそうだな。


「こっちが絵師のイシュトバーンさんね」

「そうでしたか。今後ともよろしく」


 さて、絵の方がスタートだ。

 ポーズは?

 膝を曲げて腰を落としスカートの裾を摘まむ淑女の礼、いわゆるカーテシーってやつだな。

 うむ、このポーズにはリリーもさほど抵抗ないと思う。

 長時間は結構きつい姿勢ではあるが、そこはリリーのレベルが仕事するだろ。


「描き上がるまで三〇分くらいかかるんだ」

「ふむ、早いのだな」

「画集の出版はまだ先になるけど、ドーラでは先行してポスター販売はするんだ。刷り上がったら一枚持ってきてあげるね」

「ありがたい」

「あたしはあたしの仕事しないとな。黒妖石もらってくよ」

「うむ、いつものところに山にしてある」

「それから今後は、ドーラから黒妖石の供給元であるガータンまで転移できるようにしたいんだ。いずれあたし以外の『アトラスの冒険者』も紹介しに来るよ。リリーも自由にガータンに来られるようになるからね」

「そうか」


 ヘルムート君嬉しそう。

 まーリリーはああ見えてシャイだから、しょっちゅう来ることはないだろうけどな。


「転移先を決めなきゃいけないんだ。転移元のドーラでも管理はするけど、不埒なやつが転移して来ないとも限らないから、どこだと都合がいいかな?」

「やはり領主屋敷の側だろう。案内しよう」

「お願いしまーす」


 てくてく。

 領主屋敷の側なら治安もいいしな。

 ふむ、ここなら見通しがよくて人があんまり来なさそう。

 いいだろう。

 ビーコンを埋める。


「よーし、バッチリ! これからはここにドーラ人が転移してくるけど、ヘルムート君やベンジャミンさんと面識のないやつは寄越さないようにするね」

「うむ、わかった」


 初めは真面目なソル君や人当たりのいいダンがいいかな。

 ああ、ギルド職員のポロックさんでもいいや。

 ガータンの人達とも親交を深めるべき。


 さて、絵はどうなってるかな?


「「「「「「「「画伯! 画伯! 画伯! 画伯!」」」」」」」」

「おお? いつの間にか村人集まってきてるじゃん」

「これはどうしたことだ?」

「イシュトバーンさんの絵はすごいから、野外で描いてると見物人が集まってきちゃうんだよ」


 ハハッ、リリー恥ずかしそう。

 しかし観客のこのテンションだと、描き上がるのもそろそろだな。

 時間通りだ。


「よし、終わりだ。皇女殿下、御苦労さん」

「エロ可愛いね」


 可憐で初々しくどこかぎこちない要素が満載なのに、何故かえっちな相変わらずの謎絵だ。

 ヘルムート君とリリーが仲良く並んで眺めているぞニヤニヤ。

 リリー、邪魔してすまんけど、モデル料の透輝珠ですよ。


「さて、帰ろうか」

「昼食くらい食べていってくれ」

「いただきまーす!」


 ガータン産自慢の農作物だな?

 ヘルムート君もベンジャミンさんも自信がありそうだから楽しみだなー。

 朝採れのトウモロコシは、あたしも大好きだ。

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