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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第243話:『氷晶石』を手に入れた

「寒くなってきましたね」

「本当だ」


 今日の魔境探索もドラゴン帯に入ってしばらく経つ。

 寒いのはあんまり好きじゃないなー。

 でもこれ、秋が深まってきたからとか日が傾いてきたからとゆー寒さじゃないな。

 冷たい感じ?

 そーいやここ、この前アイスドラゴンがいた近くだわ。


「……おかしいな?」

「何がでやす?」

「ダンテ、天気ってどう?」

「安定してるね。グッドなウェザーがしばらく続くね」

「何でこんなに冷えるんだろ? 天気の方から説明つく?」

「……インポッシブルね」


 アイスドラゴンがいれば冷たいのはわかる。

 でも今いないのに気温が低いのは変だな?

 逆に冷たいからアイスドラゴンが好むのか?

 冷える理由は何だ?


 クララが何か気付いたようだ。


「ユー様、ここ植物が生えてません。地面が冷たいです」

「地面が冷たい? あっ!」


 ひょっとしてアレか?


「アトム! 『氷晶石』埋まってない?」


 アトムが大地に神経を集中する。


「ありやす! 地面のすぐ下!」

「やたっ、冷蔵庫作れるぞ!」


 『氷晶石』はバエちゃんとこにあった魔道の冷蔵庫に使われていたレア素材だ。

 魔力を流し込むと温度を下げる性質がある。

 ここでお目にかかることができるとは。

 やっぱ魔境のポテンシャルは素晴らしいなあ。


「魔境の魔力濃度は高いから、吸って冷えてるんだろうね」

「今度来るとき、クワとシャベル持ってきましょう」

「持って帰るのディフィカルトね。ベリーコールドね」

「姐御、これかなり大きい結晶でやすぜ?」


 場所は覚えた。

 いずれは全部回収したいものだが……。


「アルアさんに売る素材用として少し持って帰りたいな。アトム、あんたの石割る技術と『マジックボム』でどうにかなんない?」

「やってみやす」

「よし、任せた。クララとダンテは周り警戒。人形系以外の魔物が近付いて来たら、全員で一旦離脱するよ」

「「「了解!」」」


 ドラゴン帯は結構魔物の密度が高いんだよな。

 巨人やドラゴンはケンカっ早くて向かってくること多いし。

 戦闘になりゃしないかとヒヤヒヤする。

 まあ『煙玉』で逃げりゃいいんだけどな。


 アトムが頑張ってくれた結果、赤ちゃんの頭くらいの大きさの『氷晶石』を採取できた。


「うひゃー、冷たい冷たいっ!」


 ナップザックに入れるも背中が凍える。

 しもやけになりゃしないかと冷え冷えする。

 今日は十分な収穫だ。

 さっさと帰ろう。


「ボス、遠くに未確認の人形系レアモンスターね」


 魔境中央部の方向だ。

 デカダンスみたいにも見えるが、やや小さいか?


「デカダンスとはマジックパワーが全然違うね」


 おお、ダンテすごい。

 この距離で魔力を測れるのか。

 おそらくあれがあたし達の当面のライバル、ウィッカーマンに違いない。


「もう少し近付いて姿だけ確認して帰ろう。でないと背中がピンチだ」

「「「了解!」」」


 うちの子達が笑う。

 目標レベルの六五には今日の探索で達している。

 しかし耐性対策が十分でないことはわかっているのだろう。

 誰もあの得体の知れない人形系魔物と戦おうとは言わない。

 ハッキリ確認できる位置まで近づき観察する。


「うーん、さすがに魔境中央部の魔物だな。ドラゴン以上のプレッシャーだわ」

「デカダンスよりは少しスモールね」

「あの図体で素早いってのはヤベーぜ」

「黒っぽくて禍々しいです」

「うん、帰ろうか」


 立ち去ろうとするやいなやそいつが襲いかかってきた。

 今まで出現した人形系レア魔物のどいつよりもはるかに好戦的だ!

 ヤバい!


「アトムは防御!」

「了解!」


 レッツファイッ!


 ウィッカーマンのメドローア連発! ともにアトムが受け何とか耐える。クララの勇者の旋律! ダンテの実りある経験! あたしのハヤブサ斬り・零式! 『あやかし鏡』の効果でもう一度ハヤブサ斬り・零式! ウィッカーマンは逃走した……!


「リフレッシュ! アトム、大丈夫だった?」

「へえ。しかし防御なしではムリでやす」

「わかっちゃいたけど難物だな」


 話通り『メドローア』を連射してくるし、ダメージを受けると即撤退する。

 まだウィッカーマンのヒットポイントには、かなり余裕がありそうだった。

 うーん、倒すのメッチャ難しいな。

 アトムが『コピー』であたしの攻撃を繰り返して初めて勝機が生まれる。


「ま、いいや。ターゲットの強さを知ることができたと思えば。帰ろう」

「「「了解!」」」


          ◇


「ただいまー」

「お帰りなさいませ」

「オニオンさん、面白いもの手に入れたんだよ。ほらっ!」


 ナップザックから冷たい塊を取り出す。


「冷たい! 氷です?」

「『氷晶石』だよ。魔力を吸って冷たくなる石なんだ。前から欲しかったの」

「『氷晶石』でしたか。素材として売るのではなくて?」

「レア素材らしいからこれは売るけど、まだ取れる場所見つけたんだ。取ったお肉を冷やして保存しとくのにピッタリなんだよね」


 オニオンさんが感心する。


「なるほど……」

「食堂をオープンする時にこれあると便利だなーって思って。『氷晶石』を手に入れられるなんて、今日はいい日だ」

「ユーラシアさんはいつも楽しそうですね」


 あ、そうだ。

 報告しておかねば。


「ウィッカーマンと遭ったよ」

「ほう、ユーラシアさんのパーティーはついに魔境中央部に足を踏み入れましたか。いかがでした?」

「強いね。全然ヒットポイントを削れた気がしない」

「えっ? 戦ったんですか?」


 オニオンさんが驚く。


「いや、あたし達も準備足りてないから戦う気なかったんだよ。姿だけ確認して帰ろうと思ったんだけど、あたし達を確認したと思ったらいきなり襲撃してきたんだ。今まで遭遇した人形系で一番荒ぶってるね」

「ほう、危ないですね」

「とにかく『メドローア』の威力を減殺しないと、まともに戦えないことはわかった。再戦は耐性のパワーカードを手に入れてからだなー。そんでどれくらいのヒットポイント持ちなのか、じっくり見定めないと。今日は慌てちゃって詳しいとこまで探れなかったわ」


 オニオンさんがニコニコしている。

 美少女の笑顔は魅力的だからな。


「今日は帰るね。オニオンさんさようなら」

「お疲れ様でした」


 転移の玉を起動し帰宅する。

 レベルも六五になったし、『氷晶石』といういいものも手に入れた。

 なかなかの収穫だった。

 あ、オニオンさんにペペさん家のこと聞くの忘れたな。

 今度でいいけど。

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