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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第239話:ちょーっと待つのだ

 ――――――――――五七日目。

 フイィィーンシュパパパッ。

 うちの子達を連れて朝からギルドにやって来た。

 美少女精霊使いは働き者だなあ、ふんふーん。


「やあいらっしゃい、チャーミングなユーラシアさん。今日は皆さんお揃いですね」

「おっはよー、ポロックさん」


 角帽がトレードマークの大男、ドリフターズギルド総合受付のポロックさんはいつも愛想がいい。

 そして今日もチャーミングなあたし。


 ……ちょっと気になってるから聞いとくか。


「最近、ペペさん見ないよーな気がするんだけど?」

「確かに。スキルの創作に時間がかかってるんだと思うけど……」


 笑えるトラブルを起こしてるんじゃなければいいけど。

 フラグを立てたつもりはないけど。

 フラグになると意識はしてるけど。


 少なくとも何か異常が起きていると、ギルドで把握しているわけじゃないようだ。

 あたし専用のスキルを作ってくれって頼んだから、苦戦してるだけだろ。

 ペペさんがギルドにいなくたって、特に困ることないから構わんのだが。


 ともかくギルド内部へ。

 昨日大きい買い物しちゃったから、またもやサイフがすっからかんだ。

 もっとも一昨日魔境で得た魔宝玉を売ればいいから、危機感はない。

 買い取り屋さんへ……。


「御主人!」


 先行させたヴィルが飛びついてきた。

 よしよし、いい子だね。

 しかし何故か人が多い。


「ヴィル、これはどーゆーことなん?」

「皆御主人に用があるんだぬ」

「おおう、あたしモテモテだな」

「モテモテなんだぬ!」


 アンセリ、ピンクマン、ダン、ラルフ君パーティーか。

 大勢だな。

 お店ゾーンは急ぎの人もいるだろうから、集まってちゃ邪魔だろ。


「「ユーラシアさん!」」


 最初に危機感に満ちた声で話しかけてきたのはアンセリだ。

 何事?


「あたしがモテてるわけじゃなさそうだね。どうかした?」

「この三日間、ソール様がギルドに来ないんだ」

「あれっ? 一昨日からずっとってこと?」

「はい」

「……変だな?」

「何か大変なことでもあったのかと……」


 続いてラルフ君。


「師匠、おはようございます。盗賊捕縛の褒賞金が出ておりますが……」

「おおう、褒賞金なんてものがあるのか」


 ピンクマン。


「クロード族長から話がしたいと……」


 ダン。


「ラルフから親父さんとの面会と盗賊退治の話は聞いた。面白いぜ。またどうせ愉快に決まってるから俺も噛ませろ」


 ヴィル、ぎゅー。


「ふおおおおおおおおお?」


 いい子だね。


「ちょーっと待つのだ。皆食堂行っててよ。あたしアイテム売って換金しないとおゼゼがないの」


 ダンがからかうように言う。


「あんたがいつも金欠なのは、ギルドの七不思議だな。かなり稼いでるだろうに」

「いい女にはお金がかかるんだよ。同じこと何度も言わせんなよ」


 とゆーかギルドの七不思議って。

 残り六つの不思議は何なんだってばよ?


          ◇


「じゃ、ピンクマンから」


 食堂のテーブルを三つくっつけて皆の話を聞く。

 まーピンクマンの話は大体想像できる。

 どうせ黒の民の族長クロードさんが、あまりにものが売れなくて焦っているってことだろう。


「あまりにものが売れなくて焦っているんだ」

「おお、一字一句その通り過ぎて、何かの陰謀を疑いたくなるくらいだね」


 これは話が簡単だ。


「呪術グッズは売れなくても仕方ないぞ? ギルドの武器・防具屋では評判いいんでしょ? 元々呪術グッズはニッチな商品だよ。人口の多いところに売り込めるほど商機は大きくなる。そこのラルフ君の親父さんが東の自由開拓民集落とレイノスの商売を取りまとめてるから、カラーズもお願いしようかって話が出てるところなんだ。ビビるなって言っといて」

「いや、呪術グッズは仕方ないんだが、調味料の方も売れなくてな……」

「え、あの酢が?」


 おかしいな?

 サフランの作る酢は良質で価格も高くない。

 これから冬を迎えるので保存食は重要だ。

 使い方さえ教えてやれば売れないはずはないんだが?


「……ちょっと確認するけど、どうやって売ってるの?」

「普通に販台の上に酢入りのビンを並べている」

「売り子は?」

「普通に黒の民が……」

「アホかーっ!」


 その場にいた全員がビクッとする。

 これってあたしが『発気術』の固有能力持ちだからなのかなあ?


「黒フードが売ってるビン詰め商品なんて、怪しい薬にしか見えないだろーが!」

「い、いやしかし……」

「しかしもカカシもあるか! あっ、これいっぺん言ってみたかったセリフだわ」


 黒の民は知らないかもしれないが、実は酢というものはあまり一般的な調味料ではない。

 お酒造る時のでき損ない程度の認識であって、黒の民の村以外ではレイノスの食堂くらいでしか使われてないはずだ。

 世の中あたしみたいに食に対して好奇心旺盛な人間ばかりじゃないんだぞ?


「だから認知度を高めなきゃいけないんだよ。酢漬けの試食品を出して食べてもらえ。レシピも提供すること。保存食に最適だ、使用後のビンも便利に使えるって付加価値を前面にアピールしてっ!」

「わ、わかった」

「あとは目立つ幟を立てて何を売ってるかハッキリさせること。売り子はピンクマンとサフランが担当すること」


 ラブい気配を察したダンとアンセリの表情が緩む。

 あたしもちょっとエンターテインメントを欲してしまった。


「何故小生とサフランが?」

「今あたしのアドバイスを聞いてるあんたと最も商品知識があるサフラン。あんた達以上の売り子いる?」

「なるほど」

「悪魔的な説得力だ」


 ダンがニヤニヤしながら呟く。

 うるさいよ、ニヤニヤ。


「ピンクマンは帽子と黒眼鏡を外して接客ね。人寄せのためにサフランには可愛いエプロン着させて。色味はあんたの好みでいい。青の民のショップで売ってると思うから、サフランと一緒に行って買っといで。青の民にも宣伝するの忘れるんじゃないよ」

「……帽子と眼鏡がないと落ち着かないのだが」

「ちょっと外してみ?」


 ピンクマンが帽子と黒眼鏡を外す。

 うん、ムダにいい男。

 何でいつもおっかしな格好してるんだろうな?

 また黒の民の評価が高そうなのがわからねえ。


「全員に聞くけど、着用してる方と外してる方、売り子としてどっちが相応しいと思う?」

「「「「「「「外してる方」」」」」」」「外してる方だぬ!」


 はい、決定。

 ヴィル含めて適切な判断です。

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