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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第238話:凄草本格栽培開始!

「カカシー、やったぞお!」

「ど、どうしたんだい、ユーちゃんよ」


 自由開拓民集落バボから帰宅後、突然のあたしの大声に戸惑う畑番の精霊カカシ。

 ふっふっふっ、聞いて驚け。

 ドンとあの重い石の台を置く。


「手に入れたぞ! でっかい黒妖石!」

「えっ? 例の魔力を蓄えられるっていう?」

「ざっつらーいと! これで凄草育てられるぞ!」

「マジかよ!」


 カカシも大喜びだ。

 草を増やすことができて毎日食べられるようになるのなら、あたしだって嬉しいよ……凄草っておいしいのかな?


「ユーちゃんはやるときゃやる女だと思ってたぜ!」

「その評価は一分の隙もなく正しいね。……ところでどこに置いとくといいのかな?」


 魔力を取り出しやすい場所がいいだろう。

 カカシの都合に合わせよう。


「オイラに近いところならどこでもいいぜ。半分埋めといてくれ」

「りょーかいでーす」


 じゃあカカシの隣だな。

 黒妖石の台の足部分を埋め込む。

 よしよし、こんなもんだろ。

 次にやるべきことは……。


「さてアトムからだな。現在の持ちマジックポイントの半分くらいを、黒妖石に流し込んでみて」

「え? 何であっしから?」

「あんた『魔力操作』の固有能力持ちでしょーが」

「あ、そうでやした」

「頑張れ。アトムの活躍にかかってる」


 『魔力操作』は、自分のマジックポイントを他者に分け与えることができる固有能力だという。

 アトムなら問題なく黒妖石に魔力を込められるはず。

 今まで一度もその能力を使ってるの見たことないけど。


「やってみやすぜ」

「うん。コツがわかったら教えて」


 最悪アトムしか魔力供与できないことだってあり得るわけだが。

 もしそーゆーことなら毎晩就寝前にアトムのお仕事だな。

 さて、どうだ?


 ……あっ、なかなかいい感じじゃないかな。

 あたしも最近魔力の流れを何となく知覚できるようになってきているのだ。

 多分レベルが上がったからだろう。

 レベルの恩恵って大きいなあ。


 やがてアトムが台から手を離す。


「ふう、これで半分くらいだと思いやすが」

「御苦労さん。で、どうしたらいいのかな?」

「ぐぐぐーっとしていてふっって感じでさあ」

「うん、アトムの表現力が感覚的なのはわかってた」


 いや、アトムの説明に期待してたわけじゃない。

 実際に何をしてるかに注目していたのだ。

 大きい魔法を発動するイメージで身体全体で魔力を膨らませ、台に当てた手で移す、と。


「次、あたしやってみる」

「ユーちゃん頑張れ」

「応援されたぞ。張り切っちゃおうかなー」


 半分埋め込んだ黒妖石の台に右手を触れ、魔力を膨らませるイメージ……。

 あれ? 勝手に魔力流れてくじゃん。

 右手に意識を集中すると、あっ速い速い!


「ちょっと流し過ぎちゃったっぽい」

「ユー様、いかがです?」

「『魔力操作』の能力持ちじゃなくても全然大丈夫だわ、これ。台触ったまま魔法使う感じで集中すると、するする勝手に魔力が流れてくよ。パワーカード起動するのと大して変わんない。触ってる手の方に意識向けると、魔力の流れるスピードが速くなるみたいだな」

「では、次は私がやってみます」


 クララが台に手をかけ魔力を流し込み、ダンテも同様にする。


「カカシ、どう?」

「バッチリだ! これで四日分くらいの魔力になるぜ」

「うん、何の問題もなかった。これにて一件落着」

「よかったですねえ」

「何がよかったって、五万ゴールドがムダにならなかったことだよ。大金だもんねえ」


 思った通りに魔力を溜められない。

 あるいは魔力を取り出せないって可能性もあったのだ。

 考えてたことが嵌るとテンション上がるわ。


 ん? ダンテが黒妖石を眺めてるけど?


「どーした、ダンテ」

「溜まってるマジックパワーがジャスト半分くらいね。バットアイシンク、マジックパワーを流し込むほどリトルバイリトル入りづらくなりそうね」

「黒妖石の容量と現在溜まってる魔力量の問題か」


 ふむ、なるほど。


「抵抗が強くなるまで魔力を流し込むのはよくないかもしれません」

「壊れる予感ですぜ」

「嫌なフラグを立てようとするなあ。じゃ、最大容量の七、八割までが限度かな。抵抗強くなったら、それ以上魔力を詰め込もうとしないで」

「「「了解!」」」

「これから毎晩寝る前に少しずつ魔力注ごうか。でも何があるかわからないから、基本マジックポイント空にはしないように」

「「「了解!」」」


 よし、これでいい。

 アトムがどうしても腑に落ちないという顔で聞いてくる。


「姐御、あの盗賊村の黒妖石の台、一つあれば凄草栽培には十分だと思いやすが、全部買うのはどうしてでやす?」


 ふふふ、聞いちゃう?

 考えがあるんだよ。


「アルアさん家の近くの転移石碑のところにさ。大地の地脈から魔力を吸い上げる仕掛けがあったでしょ?」

「ああ、あの根っこみたいなやつでやすね」

「あの技術が欲しいんだよね。魔力量の多いところに黒妖石の台置いて吸い上げるでしょ? それと畑の黒妖石を繋げれば、一々魔力を注がなくても自動で供給できるようになる!」

「「「おお!」」」


 クララが聞いてくる。


「繋げると言っても、何を使えば?」

「生物の体は抵抗なく普通に魔力流れるみたいだから、『スライムスキン』なんかいいと思うんだ。あれなら比較的丈夫だし、手に入れるのも難しくないでしょ」

「ユー様すごいです!」


 ハッハッハッ、驚いたか。

 自分らの主をもっと尊敬したまえ。


「あの台全部手に入れたら、デス爺やアルアさんに大地の魔力を吸い上げる装置、あれ誰の技術か教えてもらおうよ。魔力を自在に使えたら、多分もっといろんなことができると思うんだ」


 転移石碑に使えるのはもちろんのこと、バエちゃんのところにあった魔道コンロや炊飯器、冷蔵庫にも応用が利きそうだ。

 感心しきりのダンテが言う。


「初めてボスがエクセレントに見えるね」

「初めてなのかよ! でも許す!」


 今後ほんと楽しみだなー。

 うらないのちからってすげー。

 マーシャ様々だよ。

 でも黒妖石の数が足りなくなっちゃうか?

 でっかい黒妖石を手に入れられる機会があったら、逃さないようにしないとな。


「カカシ、凄草頼むね!」

「おお、ユーちゃんがここまでお膳立てしてくれたんだ。あとは任せとけ!」


 カカシのやる気が頼もしいなあ。

 よーし、今日もいい一日だった。

 御飯食べて寝よっ!

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