表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

235/2453

第235話:おいはぎむらがきちです!

 フイィィーンシュパパパッ。


 予定通り、ほこら守りの村にやって来た。

 木々の隙間から漏れる陽の光、幹を抜けて吹く風。

 ここは晴れてさえいれば、今の季節でもすごく気持ちがいいな。

 きっと初夏くらいだと最高だろう。


 転送地点より先、北の開けたところへ足を進める。


「こんにちはー」

「おお、これは精霊使い殿ではないですか。こんにちは。よくいらっしゃいました」

「ほこら守りの村に来るといつも思うんだけど、メッチャいいところだねえ」

「御神体がおられるからかもしれませんなあ。それ以外に何もない村ではありますが」


 村長だ。

 のんびりしてるな。

 特に困ったことが起きてたりはしないのだろう。

 冷凍コブタ肉を渡す。


「お土産だよ。皆さんでどーぞ」

「これはこれは。大層なものをすいませんな」


 お肉は御馳走だ。

 魔物なんて誰にでも狩れるものじゃないから。

 あたしも冒険者になってよかったことベストテンを挙げるとしたら、お肉・お肉・レベルが上がった・お肉・あちこち行けるようになった・お肉・知り合いが増えた・お肉・視野が広がった・お肉ってなもんだわ。

 ハハッ、半分以上お肉だった。 

 どこに持っていっても喜んでもらえるから、お土産にピッタリなのだ。


「アルハーン平原の掃討作戦ではかなりの御活躍だったそうで。こちらにも勇名は轟いておりますぞ」

「チャーミングな美少女だって広めといてちょうだい」


 アハハと笑い合う。

 魔物掃討戦も随分昔のことみたいに感じるなあ。

 まだ一ヶ月くらいしか経ってないけど。


「御神体リタの様子はどーです?」

「大変落ち着いております。参道入り口に土地神様の碑を建てましてな、よろしかったら参っていってくだされ」

「うん、参ってくね」


 リタも調子いいようだ。

 希望通り土地神様の碑が建ったからということもあるだろう。

 落ち着いてさえいれば霊験あらたかな神様だからな。

 信仰を集めてますます調子よくなるだろ。


「マーシャは今、御神体のところにいるのかな?」

「いや、もう戻ってきてると思いますが」

「あ、そーですか」


 ダンテがあたしの袖を引く。

 マーシャの魔力を感知したようだ。


「ちょっと会ってくるね」

「はい、ごゆっくり」


 土地神様を参ってから、マーシャの魔力を辿る。

 水路を越えた向こうの小さな小屋だ。

 ここがマーシャの家なんだろうな。

 初めに来た時は、匂いの強い香草だか香木だかをたくさん詰め込んだ仮小屋にマーシャはいた。

 まあ肥溜めガールだったから。


 小屋の中を覗く。


「こんにちはー」

「あっ、ゆーしゃさま!」


 マーシャが飛びついてくる。

 ヴィルと行動が似てるな。

 よしよし、いい子だね。

 大分髪の毛伸びたなあ。

 あたしと似た髪色かと思ってたけど、もう少し薄い色だったわ。


「マーシャもいい子だねえ」

「いいこですよ?」


 『いい子ぬよ?』という幻聴が聞こえたような気がする。

 大人の女性から声をかけられる。


「精霊使いさん? あの掃討戦の女傑?」


 女傑かー。

 女傑って表現は堅苦しくて響きが良くないな。

 キュートガールとかビューティーヒロインとかがいいです。


「精霊使いユーラシアでーす。初めまして。マーシャのお母さんかな?」

「そうです。あらまあ、よくいらっしゃいました……」


 何なの。

 お母さん、メッチャ普通の人やん。

 どーしてマーシャみたいな特別な力を持った子が生まれたんだろうな?

 土地神様や少女霊リタのいる村ってことも影響してるのかしらん?


「ちょっとマーシャに聞きたいことがあったんだ」

「あらあら、まあまあ」

「ゆーしゃさま、おそとへさんぽにいきましょう」

「そーしよっか。マーシャをお借りするね」

「はい、お願いいたします」


 マーシャを外に連れ出し、散歩する。

 原っぱがあるな。

 寝転がったらすげえ気持ちいいわ。

 いいところだなあ。


「リタは元気かな?」

「はい。とてもあんていしています。ぜんぜんしんぱいないのです」


 安定か。

 霊なのに元気ってのはおかしかったか。

 村長よりマーシャに言われるほうが安心できるな。


「毎日リタのところへ遊びに行ってるの?」

「はい。りたとまーしゃは、とてもなかよしですから」

「うんうん。マーシャは偉いねえ」

「そんなことはないです。ゆーしゃさまのほうが、ずっとずっとえらいのです」


 マーシャが少し照れて、頬が赤くなっている。

 可愛いやつめ。

 ぎゅっとしたろ。


「ゆーしゃさまは、きょうはどうしましたか?」

「マーシャに占ってもらいたくて来たんだよ。やろうとしてることはいくつかあるんだけど、優先順位がわかんなくて」

「はい、では、わたしをじっとみてください」

「お願いしまーす」


 マーシャをじっと見つめる。

 すーっと染み入るようなマーシャの魔力を感じる。

 まだ髪の毛が短くて寂しいから、何か頭飾りがあると似合うかな。

 帽子の方がいいか。

 これから冬になって寒いもんな。


 バエちゃんの髪の長さもカツラ外すとこんなもんか。

 『ハゲ子シスターズ』という言葉が頭に浮かび、ちょっとおかしみを覚える。

 『肥溜めガール』とどっちがひどいかな?


「こんなんでました!」


 不意にマーシャが元気よく叫ぶ。


「おいはぎむらがきちです! さがしていたものがみつかります!」

「え?」


 追い剥ぎ村ときたぞ?

 皇女リリーの件の盗賊村こと、西域の自由開拓民集落バボのことだろう。

 完全に想定外キター!

 あそこにもう一度用ができるとは思わなかったけど、どういうことだろ?

 探してたものって何だ?


「もう少し詳しく教えてくれる?」

「はい、おいはぎむらはひょうばんがわるいので、ひとがきません。ゆーしゃさまがすくうのです!」

「ははあ、なるほど」


 バボが盗賊村だってことは、どうやらあの辺では結構知られてるってことのようだ。

 悪評が広まっちゃうと西域街道まで村域を広げたとしても、宿場として成り立たせるのは難しくなっちゃうな。

 何か手を打たなきゃバボの発展は望めない。


「それからまきょうはさんどめのしょうじきとでました!」


 これは魔宝玉ゲットクエストについてだろう。

 三度目でウィッカーマンが倒せるといいな。

 デカダンス三体目で黄金皇珠をドロップするだけかもしれないが。


「ありがとう、マーシャ」

「ゆーしゃさまのぜんとにさちあれっ!」


 マーシャを家まで送り、転移の玉を起動し帰宅する。

 バボを何とかせねばならん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ