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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第230話:ウィッカーマン

 ――――――――――五五日目。


 フイィィーンシュパパパッ。

 朝からギルドに来た。

 重要な目的としては、魔宝玉クエストがどうなったかの確認だが。


「チャーミングなユーラシアさん、いらっしゃい。今日のお供はヴィルちゃんだけかい?」

「そうだぬ。おはようぬ!」


 よーし、ヴィルいい子だね。

 普通の悪魔は皮肉屋が多いみたいだけど、ヴィルはとても愛想がよくて可愛いのだ。


「おっはよー、ポロックさん。実は……」


 かくかくしかじか。

 ドリフターズギルド・セットがどうのこうの。


「ああ、あるある。いくつかのクエストをまとめて、一つの石板クエストとして分配するケース。転送魔法陣の設置も一つですむので、コストを安く抑えられるからね」

「やっぱそーだったか」


 ダンテの考えが当たってた。

 確かにコストの問題と言われると素直に納得できる。

 でもギルド行きの転送魔法陣なら既にあったのだ。

 わざわざもう一つ設置されたのは、きっと何か理由があるに違いない。

 今のところ最終転送先が変わる説が有力だが?


 ポロックさんが詳しく教えてくれる。


「セットのクエストは、いくつかのクエストが一まとめになっているんだ。全部をクリアしたところで新しい『地図の石板』が配られるね。セットになったクエストの全てがレベルに見合った難易度というわけではなく、ほとんどは自分のレベル以下でこなせるものだよ」

「じゃあボーナス経験値分、得だねえ」

「ハハッ。ラッキーイベントだと思ってもらえばいいよ」

「ありがとう、ポロックさん」

「どういたしまして」


 ふむ、ラッキーイベントか。

 経験値の面では得かもしれないが、全部のクエストをクリアするまで新しい転送先が増えないというマイナス面もある。

 いずれにしてもギルド関係のクエストをいくつか振られるんだから、しょっちゅう来た方がよさそう。

 ギルドの内部へ。


「こんにちはー」


 依頼受付所のおっぱいさんに挨拶する。


「こんにちは、ユーラシアさん。ヴィルちゃんもこんにちは」

「すごいお姉さん、こんにちはぬ!」


 前も同じこと言ってた気がする。

 脳内のおっぱいさん呼びが、すごいお姉さんで上書きされちゃうかも?

 まーいーか。


「例の魔宝玉持ってこいってクエスト、どうなったかな?」

「はい、少々お待ちください」


 進展があったみたいだな。

 おっぱいさんが机の下から依頼書を出してくる。

 揺れる。


「こちらです。依頼内容としては同じですが、少し文面が訂正されました」


『期限は妖姫の月の末まで。黄金皇珠以上の魔宝玉。個数に制限なし。相場の五割増しで引き取ることを依頼料とする』


 おっぱいさんが期待を込めた目で見てくる。

 もしあたしが魔宝玉をゴッソリ持ってくるなんて解決の仕方になったら、ギルドに入る手数料もえらいことになりそうだからかな?


「いかがです? 請けていただけますか?」

「もちろん! どうしよう、嬉しいなあ。大富豪になっちゃうかもしれないよ!」


 おっぱいさんニッコリ。

 ……おかしいな?

 やっぱりおっぱいさんの笑顔が邪悪な気がする。

 魔宝玉クエストの依頼者とおっぱいさんの間に確執があるのか?


「健闘をお祈りしております。ユーラシアさんが大富豪になられることを期待しています」


 あたしが大富豪になっちゃうってことは、依頼者がビンボーになるからおっぱいさんは嬉しい?

 いやいや、考え過ぎかな。


 まあいい、とにかく魔宝玉クエストも決定だ。

 でもこれ期限が一ヶ月もあるんだよな。

 複数クエストがセットになってるとすると、その間に第三のクエストも来る可能性が高い?

 魔宝玉クエストの進捗報告も兼ねて、今までよりもギルドに顔を出すことが必須か。


「ちなみに、次掘り出し物屋さん来るのいつかな?」

「まだ連絡がありませんね。一〇日以内に来ることはないです」


 ふむふむ。

 掘り出し物屋さんに警戒されるのもやりづらいから、また今度来た時にいい買い方をしたいもんだ。


「ありがとう、さよならー」

「バイバイぬ!」


 買い取り屋で不必要なアイテムを処分し、食堂へ顔を出す。

 マウ爺とアンセリだ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」


 三人が会釈する。


「あれ、ソル君は?」

「今日、まだ来ないんだ」

「どうしたんだろ? 寝坊してるのかなあ?」

「たまにはのんびりしたいこともあるじゃろ。ゆっくりさせておけい」


 まーな。

 張り詰めてばかりもよくない。

 特にソル君はパーティーメンバーが女の子二人だから、気を使うこともあるだろうし。


「今、アンセリはレベルいくつなの?」

「我らが二二、ソール様が二一です」


 マウ爺が好奇心に満ちた目付きであたしを見てくる。


「嬢はまた面白いクエストでも抱えているのかの?」

「マウさんはカンがいいなー。面白いというか、こんなの請けたんだよ」


 先ほどおっぱいさんにもらった依頼書を見せる。


『期限は妖姫の月の末まで。黄金皇珠以上の魔宝玉。個数に制限なし。相場の五割増しで引き取ることを依頼料とする』


 アンセリが唖然とする。


「黄金皇珠以上の魔宝玉って……」

「ワクワクするでしょ? 二日前に一度この依頼断ったんだよ。魔宝玉一〇〇個持ってったら依頼料払えないだろうって。そしたらわざわざ『個数に制限なし』って入れてまた依頼してきたんだよ」

「「えっ?」」

「大金持ちになっちゃったらどうしよう!」


 アンセリは目を丸くしてるけど、マウ爺は笑う。

 経験豊富な冒険者は動じないものだなあ。


「ハハハ、嬢は相変わらず愉快だの」

「いやでも当てはあるのか?」


 アンが心配そうだ。

 期限のあることだしな。


「黄金皇珠はデカダンスのレアドロップだから、倒しまくれば何とか手に入ると思う。でもそれ以外の高級魔宝玉は、どうやって手に入れればいいか全然心当たりがないんだよね。どうせならガッポリふんだくってやりたいんだけど、マウさん何か知らないかな?」

「ないこともない」


 おお、さすがマウ爺。

 頼りになるなあ。

 拝聴しようじゃないか。


「魔境の中央部、イビルドラゴンら最強の魔物達が住まうエリアにのみ分布する、最上級の人形系レア魔物がおる。名を『ウィッカーマン』と言う」


 ウィッカーマンか。

 名前からしていかにも強そう。


「何をドロップするんだろ?」

「わからん。未だかつて倒した者がおらんのじゃ」


 えっ? 誰も倒したことのない人形系?

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